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【獣医師が解説】猫の腎臓病・腎不全の治療法や療法食などの重要事項

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「慢性腎臓病、慢性腎不全」は、最終的には死に至ることもある怖い病気です。しかし、最近では新しい治療法が誕生し、治療の選択肢も増えてきました。今回は、猫の慢性腎臓病、慢性腎不全の症状や最新治療法、療法食等の重要事項について解説します。

どうして猫は腎臓の病気にかかりやすいの?

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「慢性腎臓病」とは?

腎臓は血液中の老廃物を取り除き、その老廃物を体外に出すための「尿」を作る働きをしています。そして尿の濃さや量を調整し、体内の水分量を一定に保つ役割も担っています。猫の腎臓は「ネフロン」と呼ばれる組織の集合体です。このネフロンが正常に機能することで、腎臓は尿を作るなどのさまざまな働きができるのです。

そのため、ネフロンが壊れると腎臓の働きが低下し、血液中の老廃物を体外に出せなくなります。この状態が「慢性腎臓病」です。壊れたネフロンは再生しないため、病気は少しずつ進行していきます。

「慢性腎臓病」が犬よりも猫に多いのはなぜ?

慢性腎臓病は、犬よりも猫に多く発症することがわかっています。ではなぜ、慢性腎臓病は犬よりも猫に多いのでしょうか?それは以下のような理由が考えられています。

①ネフロンの量の違い
猫の保持するネフロンの量は、犬の約半分しかありません。そのため、犬よりも慢性腎臓病を引き起こしやすいと言われています。

②飲水量の違い
猫は犬よりも水を飲む量が少ないため、尿が濃くなって腎臓に負担をかけやすくなります。水分不足による負担は、猫が慢性腎臓病になりやすくなる原因の一つだと考えられています。

③食べ物の違い
雑食動物の犬に比べると、肉食動物の猫はタンパク質をより多く摂取します。そのため犬よりも代謝の過程で多くの老廃物を作り、腎臓にかける負担が大きくなります。

慢性腎臓病になりやすい猫の特徴

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猫の体質上、慢性腎臓病になりやすいことがわかりましたが、もちろん、すべての猫が慢性腎臓病になるわけではありません。では、どのような猫が慢性腎臓病になりやすいのでしょうか?

シニア猫(高齢猫)

猫は加齢とともに腎臓の機能が低下することがわかっています。シニア猫の2~3匹に1匹は慢性腎臓病になるとも言われており、年齢を重ねるにつれて発症リスクが高まります。

尿石症にかかったことがある猫

これまでに尿石症にかかったことのある猫は、慢性腎臓病になりやすい傾向があるようです。特に尿管に結石ができた経験のある猫は要注意。

急性腎不全になったことがある猫

急激に腎臓の機能が低下していくのが「急性腎不全」ですが、すぐに処置をして回復した場合でも、後遺症として慢性腎臓病になる確率が高くなります。

他にも遺伝的に腎臓の発達が悪い猫や血圧が高い猫、ウイルス感染症にかかっていたり、自己免疫疾患をもっていたりすると、慢性腎臓病になりやすいと考えられています。偏った食事が原因になることもありますので注意してください。

慢性腎臓病の症状は?放置すると「慢性腎不全」に?

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高齢になれば、どんな猫でも慢性腎臓病になる可能性が出てきます。そのため、慢性腎臓病の初期症状をあらかじめ知り、早期発見に努めることが重要です。

慢性腎臓病の初期症状

慢性腎臓病の初期症状は大きく分けて2つあります。

1. オシッコの量や回数が多く、尿の色が薄くなる
尿量や回数がいつもの2倍以上になったら要注意です。腎臓機能が低下してくると、尿の色が薄くなるのも特徴のひとつです。

2. 水をよく飲む
急にいつもの1.5倍以上の水を飲むようになったら、慢性腎臓病を疑ってみましょう。このような症状が出るのは、腎臓が66~75%(ステージ2)以上機能しなくなってからだと言われています。水を飲む量が気になったら、すぐに獣医師に診てもらうのが賢明です。

多飲・多尿といった症状以外にも、脱水で便秘になる、食欲不振や嘔吐などの症状が出るケースもあります。どこか違和感を感じたら、念のため動物病院を受診することをおすすめします。

慢性腎臓病が進行すると「慢性腎不全」に

慢性腎臓病が進行すると、「慢性腎不全」へと病気のステージが上がることがあります。慢性腎不全になると上記のような症状に加え、貧血の症状がみられることがよくあります。末期になると老廃物の排出ができなくなり、尿毒症の症状が出て衰弱し、最悪死に至ることも。しかし適切な治療を行えば、病気の進行を遅らせることが期待できます。では、慢性腎臓病、慢性腎不全には、どのような治療方法があるのでしょうか。

慢性腎臓病、慢性腎不全の治療方法&予防薬

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食事療法

食事療法は、慢性腎臓病(腎不全)の進行を遅らせる、重要な治療法のひとつです。慢性腎臓病(腎不全)は、低タンパク質・低リン・低ナトリウムの食事にすることで、進行を遅らせる効果があると言われています。まずは獣医師の指導の下に腎臓病専用の療法食に切り替え、これ以外のフードは与えないようにしましょう。

ここ数年で腎臓病の療法食の種類は増えており、食欲が低下している猫でも食いつきがよくなるような、嗜好性の高いフードも数多くあります。また、定番のドライフードやウェットフードに、リキッドフードも加わり、選択肢も豊富です。猫が療法食を食べない場合は色々試してみましょう。

治療薬による治療

猫の年齢や病気の進行具合に応じて、治療薬を投与することがあります。昨今は「動物用医薬品」として初めて「腎機能低下の抑制」の効果・効能で認められた治療薬「ラプロスⓇ」が発売され、病気の進行を遅らせる効果が期待されています。臨床試験では食欲不振や体重減少などの改善効果が認められたと発表されているので、試してみる価値はあるかもしれませんね。他にも、老廃物や毒素をウンチと一緒に排出させる活性炭や、高血圧や貧血などの症状を軽減する薬が処方されることがあります。

透析治療

基本的には急性腎不全に対して行われる治療で、慢性腎不全においては最期の延命治療という位置づけで考えられることが多く、実際にはあまり推奨されずに行われることも多くはありません。回復があまり期待できず、莫大な費用もかかるからです。長期の延命も難しいのですが、慢性腎不全の一時的な憎悪期なら効果が期待できます。

予防薬が製品化される日が近づいている

東京大学の疾患生命工学研究チームが、血液中にある「AIM」というタンパク質を使って、猫の腎臓病の予防薬の開発を始めました。もし、この予防薬が製品化されれば、救える猫の命が増えるかもしれませんね。

出来ることも増えた!まずは定期健診で早期発見・早期治療を

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動物医療の進歩によって、慢性腎臓病、慢性腎不全治療の幅が広がり、飼い主さんができることが増えてきました。現在、慢性腎臓病、慢性腎不全の治療中の場合は、進行性の病気だからと諦めずに、獣医師の先生と相談しながら他の治療法を試してみるのもいいでしょう。

また慢性腎臓病、慢性腎不全は、早期発見・早期治療が命を繋ぐカギを握ります。健康そうに見える猫でも定期的に血液検査(Cre、BUN、SDMA)や尿検査、エコー検査を受けることで、慢性腎臓病、慢性腎不全を含め、さまざまな病気を早い段階で発見できる可能性があります。特にシニア期に入る7才を越えたら、3カ月に1回を目安に検査を受けるように心がけましょう。

出典元/ 『ねこのきもち』 2017 年11月号「飼い主さんに「できること」が増えている慢性腎臓病」(監修:重本仁先生)
監修/ねこのきもち相談室獣医師
文/hasebe
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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