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【獣医師が解説】症例写真でわかる!猫の下痢の対策や予防法
オシッコにウンチ、嘔吐物……。“出たもの”は、愛猫の体調が表れるバロメーターです。だからこそ、愛猫がふだんと違うウンチをしていたときに、受診すべきかどうかの見極め方や、飼い主さんができることを知っておくことはとても大切。今回は、下痢の原因となる病気や予防法など、知っておきたい猫の下痢についてご紹介します。
監修/鵜飼佳実先生(聖母坂どうぶつ病院)
猫の下痢、「原因」は病気だけじゃない⁉

猫の下痢には、必ず何らかの原因があります。一例として以下のような原因が挙げられますが、なかには病気のサインの場合もあるので、下痢が数日続いたり、ほかにも不調が見られたりする場合は、必ず獣医師に相談しましょう。
原因の例 | 詳細 |
---|---|
食事が合っていない | キャットフードを切り替えたタイミングで下痢をする猫も。腸内環境の乱れによる消化不良や、食物アレルギーを起こしていることなどが考えられます。 |
誤食 | おもちゃの一部やひもなどを誤って口にして腸を通過した際に刺激になって下痢が見られることがあります。 |
ストレス | 引っ越しや新しく猫を迎えるなど、環境の変化も原因になり得ます。 |
ウイルス | ウイルスに感染し胃腸炎を発症すると、下痢をすることが。とくにパルボウイルスによる「猫汎白血球減少症(ねこはんはっけっきゅうげんしょうしょう)」にかかると、激しい下痢や嘔吐を引き起こします。 |
寄生虫 | 腸に回虫や条虫、原虫などが寄生すると、下痢を引き起こす原因に。とくに子猫に多く見られる原因です。 |
ほかにも、細菌が原因だったり、膵臓や肝臓、腎臓など消化管以外の臓器の異常でも下痢を引き起こすことが。さらに悪性腫瘍などがある場合も、ウンチが緩くなることが多いです。
どこからが下痢?「状態」を見極めよう

そもそも、どんなウンチの状態なら下痢というのでしょうか? じつはそのポイントは、ウンチの形にあり。ウンチがどんな形かによって水分量が見極められるのです。
まずは愛猫のふだんのウンチを把握しましょう
異変に気付くには、ふだんの状態を知ることが大切です。健康管理のためにも、愛猫のウンチの色やニオイ、形、固さを観察してみましょう。トイレ掃除のついでに、割り箸で持ったり割ったりしてみるのもおすすめです。
理想のバナナ形より、緩かったら下痢
一般的にいいとされる便は写真のように、塊状の便が長くバナナのように連なり、適度な水分でツヤがある状態のもの。トイレ砂がしっかり付く程度の固さをしています。一方でバナナ形より水分が多く形が保てない泥状になると下痢、逆に水分量が少なくなると、コロコロとしたウンチが出ます。
下痢を発見したら…まずは愛猫の観察を

愛猫の下痢を発見したら、すぐに愛猫に他の症状が出ていないか確認しましょう。嘔吐や食欲の有無を見たら、次に下痢自体の観察をします。異常が疑われる場合、猫を動物病院へ連れて行きますが、できればウンチも持参できるとベターです。難しければ、スマートフォンで撮影したものを獣医師に見せましょう。
愛猫の下痢を防ぐ対策は、飼い主さんにもできます
下痢の中には生活環境を整えることで改善が期待できるものもあります。主に次のことに配慮して、愛猫の健康管理に努めましょう。
愛猫の体に合ったフードを与える/飲み水の環境を整える

フードはパッケージの記載などを参考にして、まず与え過ぎに注意しましょう。それでも下痢をする場合は、かかりつけの獣医師に相談して、消化しやすいものや高繊維のもの、低アレルギーのものなど、愛猫に合ったフードを与えてみるのも一案です。また、飲み水も大事なポイントですので、愛猫が毎日キレイな水が飲めるよう、こまめに水を取り替えるなどの工夫ができるといいでしょう。
適度に運動させる

肥満は、腸の動きを鈍らせるので下痢や便秘の原因に。毎日短時間でもいいので、愛猫と遊んであげましょう。ほかにも、猫タワーを置くなどして、猫が自分で運動できる環境を整えるのも効果的です。
「温活」に努める

猫は体質上、寒さが苦手な動物なので、冷えた環境はストレスになります。冬はもちろん、夏でも1カ所は猫ベッドや毛布を置くなどして猫自身で暖まれる場所を作っておくといいでしょう。
ワクチン接種をしっかり受ける

ウイルスの一種・パルボウイルスの感染は、下痢になる一因です。室内飼いだからといって油断せず、定期的にワクチン接種(3種混合など)を行いましょう。
※ワクチン接種については、獣医師によって見解が異なりますので、必ずかかりつけの獣医師と相談してください。
トイレをこまめに掃除する

こまめにトイレをキレイにするということは、頻繁に排泄物をチェックできるので、いち早く愛猫の異変に気付くことができます。
監修/鵜飼佳実先生
東京都新宿区にある聖母坂どうぶつ病院獣医師。地域に根差したアットホームな動物病院づくりを目指す。愛猫は小町ちゃん、VIVIちゃん、剛くん、礼二くん、おすぅちゃん
文/ねこのきもち編集室
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