一日の大半を寝て過ごす猫たち。ずーっと眠っているようにも見える猫たちの平均睡眠時間は、いったいどのくらいなのでしょうか。今回は猫の睡眠時間が長い理由を、成長段階別にご紹介します。眠りにまつわるQ&Aや、キュートな寝姿写真も要チェックです。
猫の平均睡眠時間は○○時間
猫の平均睡眠時間は?
もともと狩猟動物だった猫の睡眠時間は、1日の3分の2といわれています。これは人に比べてとても長く、平均すると大人の猫でおよそ14時間~16時間ほど眠っていることになります。さらに子猫にいたっては、20時間近く寝ていることも。
猫の睡眠時間が長いのは、その昔狩りや縄張り争いに備えてエネルギーを蓄えていたことが理由とされています。また敵の攻撃を受けて襲われる心配のない飼い猫は、野生の猫よりもさらに熟睡する時間が長いようです。
猫の睡眠時間中もレム睡眠とノンレム睡眠があるってほんと?
猫も人と同様に、ノンレム睡眠と呼ばれる深い眠りと、レム睡眠と呼ばれる浅い眠りとを繰り返します。しかし狩猟動物である猫は敵の攻撃にすぐ気づくため、ノンレム睡眠よりもレム睡眠を繰り返すことのほうが多い傾向に。眠りの深いノンレム睡眠は、多くても1回7分、1日分でも60分程度しかありません。
人の場合にはレム睡眠が2割、ノンレム睡眠が8割といわれていますので、猫と人とでは睡眠サイクルがほとんど真逆ということになります。一見ずっと眠っているように見える猫ですが、長い睡眠時間のなかで熟睡している時間はほんのわずかしかありません。愛猫がぐっすりと眠っているときには、起こさずにそっと見守ってあげてくださいね。
猫の睡眠時間が長い理由とは?~成長段階別~
子猫の睡眠時間が長いワケ
子猫の体の成長を促す「成長ホルモン」は、眠っている間に分泌されます。また脳内で情報を整理したり新しい神経がつくられたりするのも睡眠中ですので、成長期の子猫にはたっぷりとした睡眠時間が必要なのです。
シニア猫の睡眠時間が長いワケ
子猫の時期とは反対に、7才を過ぎてシニア期に入ったあたりから、睡眠時間が長くなる猫もいます。シニア猫がよく眠るようになるのは、加齢によって筋力が低下し活動量が減ってくるからです。とはいえ熟睡しているというよりは、うとうととしていたり、浅い眠りであるレム睡眠の状態でいたりすることのほうが多いでしょう。
猫の睡眠にまつわるQ&A
猫は夜行性のはずなのに、家族と一緒に夜眠るのはなぜ?
飼い猫の場合、フードをもらえたり遊んでくれたりするからという理由で、飼い主さんが起きているときに元気いっぱいに動き回ることも多いですよね。本来夜行性の動物であっても、飼い主さんの都合に合わせて睡眠サイクルを調整したほうが都合がよいため、夜間に起きている必要がなければ眠っている猫もいます。
猫がお腹をみせて眠っていることがあるのはなぜ?
猫の寝ている姿のなかでも人気の高い、「ヘソ天」と呼ばれるポーズ。仰向けにごろんと寝転ぶこの姿は、暑いときに体を広げて空気に触れる面積を増やすことで、体温を下げようとする体勢だといわれています。愛猫が急所にあたるお腹を出して眠るヘソ天をした場合は、リラックスしている証拠ともいえるでしょう。
猫が眠りながらピクッと動いたり「むにゃっ」と鳴いたりするのはなぜ?
猫が睡眠中に体を動かすのは、浅い眠りのレム睡眠状態にあるからだといわれています。おそらく人と同じように猫も夢を見ていて、そのなかで体を動かしたり鳴いたり、舌なめずりをしたりしているのではないでしょうか。
眠っている猫の名前を呼んだらしっぽを動かすことがあるのはなぜ?
レム睡眠状態を繰り返しているときには、眠っていても周囲の音がぼんやりと聞こえることもあるようです。起きる元気はなくても飼い主さんに名前を呼ばれたことが分かると、呼びかけに応えようとしてしっぽで返事をする猫もいます。
猫の寝相がずっと同じ……床ずれの心配は?
シニア猫や体調のすぐれない猫は、同じ体勢のまま眠り続けることがあります。ずっと同じ姿勢で寝ていると、いわゆる「床ずれ」を起こしやすくなるので注意しましょう。飼い主さんが気付かないうちに症状が進行すると、血行不良から皮膚がはがれて肉や骨が見えてしまうこともあります。猫の寝相がずっと変わらないときは定期的に体勢を変えたり、よりやわらかい素材の上で寝かせてあげたりすることが大切です。
猫が眠りにつきやすい場所~目指せ!ご長寿猫~
ご長寿猫への第一歩!愛猫の睡眠の質を高めるには
1日の3分の2以上を眠って過ごす猫は、その睡眠の質を高めてあげることで長生きできる可能性が高くなるといわれています。ご長寿猫の秘訣ともいえる、睡眠時間。その睡眠時間の質を向上させるために大切なのが、落ち着いて眠れる場所や、眠りにつきやすい場所をつくってあげることです。
猫が眠りにつきやすい場所
夜行性の猫にとっては、適度に薄暗く閉鎖的な場所が安心して寝られる快適空間だといえます。段ボールのなかや小さなすき間を好むのは、狭い空間のほうが落ち着くからなのでしょう。一方で、適度に日差しを感じられる窓際などもお気に入りの睡眠スポットです。寒い時期になると、窓際で日向ぼっこをしながら眠っている姿を見かけるのはそのためです。
さらに敵に狙われにくい高いところも、寝場所としては好都合だといえます。不安定そうに見えても誰にも邪魔されずに眠れる高所は、猫にとって快適な安全空間なのですね。
猫が眠るときの明るさ
野生下で人工の光に照らされる機会がなかった猫のなかには、照明をつけたままだと眠れない子もいます。猫の目は光に敏感につくられているため、明るいところでは人以上に眩しいと感じてしまい、目を覆うようなポーズで眠ることもあります。愛猫が眩しそうなしぐさをしたときには、できるだけ電気は消して寝るようにしてください。
猫の睡眠を妨害することはNG
部屋のなかが暑すぎたり寒すぎたりすると、愛猫が良質な睡眠をとれないことがあります。またストレスを感じやすい猫にとって、寝ている間に人や他の動物にちょっかいを出される行為や、大きな音で騒がれる行為は体調不良を起こす原因となる場合も。
猫が丸まって顔をうずめるように眠っていたら、室内の気温が低すぎないかどうかを確認してみてください。反対にお腹を見せて足を伸ばしている状態のときには、暑がっている可能性もありますので、気温を調節してあげることが重要です。
癒されたい飼い主さん大集合!猫ちゃんのかわいい寝姿写真
どんなに疲れていても落ち込んでいたとしても、愛猫の寝姿を一目見た途端に癒されて心が落ち着く方も多いのではないでしょうか。ここではスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」に投稿された写真のなかから、選りすぐりのキュートな寝姿写真をご紹介します。
人が寝るようにお布団に包まって眠っているのは、スコティッシュフォールドのレーヴ君。お布団が大好きで、よくママやパパと一緒に眠っているのだとか。お布団から頭だけひょっこりと出している姿に胸キュンです!
ベンガルのロディ君は、弟のフェレットぷく君と仲良くおやすみ中。すやすやと寝息が聞こえてきそうな、心安らぐベストショットです。頭と頭をぴったりとくっつけ合って眠っている二匹。いったいどんな夢を見ているのでしょうか。
歩いているの…?いいえ、寝ているんです。ブリティッシュショートヘアのシャーロック君は、今にも歩き出しそうな格好で気持ちよさそうに眠っています。長い手足と上品な毛並みからは想像もつかないお茶目な寝姿に、ほっこりとしてしまいそうですね。
猫が睡眠中に不自然ないびきをかいていたら動物病院へ
猫のなかには、人のようにいびきをかきながら眠る猫もよく見られます。特に鼻が低いペルシャなどの種類は気道の構造上、甲高いいびきをかきやすいといわれています。
愛猫が眠っている間に不規則なリズムのいびきをかいたり、鼻水が出ていたりするときには猫カゼにかかっている恐れがありますので注意してください。もしいつもと違って不自然ないびきをかいていたら、なるべく早めに動物病院を受診するようにしましょう。
猫の「睡眠」について理解を深めることで、愛猫の健康管理にもつながることがわかりましたね。人と同じく猫にとっても睡眠は重要な要素ですので、飼い主さんの責任としてしっかり管理してあげてください。
参考/「ねこのきもち」2016年4月号『とろりん猫のフシギ』(監修:小野寺 温先生)
監修/加藤憲一先生(相模原プリモ動物医療センター院長)
文/子狸ぼん
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。