猫と暮らす
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【獣医師監修】猫から人にうつる!?「トキソプラズマ」に要注意。とくに妊婦の方は必読!
猫から人に、または人から猫にうつる可能性がある病気を「人獣共通感染症」(ズーノーシス)と呼びます。今回はその中で、猫のウンチを通じて感染するトキソプラズマという病気に注目。妊婦が感染すると流産するおそれがあるので、予防には猫との暮らし方の見直しが必要になります。

荒木 陽一 先生
健康な人にうつっても、ほとんどは無症状ですが……
ただし妊娠中の女性は要注意。妊娠中に初めてトキソプラズマに感染すると、流産の原因になることがあるのです。また、妊娠中に胎児に感染し、先天性トキソプラズマ症になると、水頭症に加え視力障害、脳内石灰化や精神運動障害などを発症することがあります。
猫の排泄物から人へと感染
さらに、妊娠している人が初回感染すると、胎盤を通じて胎児に感染する可能性もあります。空気感染や、皮膚を通じて感染することはありません。
知らず知らずのうちに感染していることも
また、すべての猫がトキソプラズマの病原体を持っているわけではありません。現在、猫がトキソプラズマに感染している確率は5~6%だといわれています。そして、トキソプラズマ原虫のオーシストが排泄されるのは、猫が初めてトキソプラズマに感染してから数週間ほどの期間だけです。
トキソプラズマは、猫以外の動物にも感染します。人への感染の可能性は、猫を通じてより、食肉、特に豚肉や羊肉を完全に火を通さずに口にすることのほうが高いといわれています。
猫にうつったときの症状は?
また、猫も妊娠中にトキソプラズマに感染することで人と同じように胎盤を通過して胎児に感染し、流産を引き起こすことがあります。
「人も猫も感染歴なし」が一番危険
そして猫の場合も、ウンチの中にオーシストを排出するのは、トキソプラズマに初めて感染したときだけ。感染から3~24日後に排出が始まり、数週間(3日~3週間ほど)続きます。ということは、すでにトキソプラズマに感染している猫は安全で、逆に危険なのはまだ感染していない猫なのです。
心配な方は、動物病院に相談してトキソプラズマの感染歴があるかどうか、検査してもらいましょう。
妊娠したら猫を手放したほうがいい?
猫を飼っていて妊娠しても、トキソプラズマへの感染を心配して、猫を手放す必要はありません。ただ猫も人も感染歴がなく心配な場合は、妊娠中は猫をどこかへあずけることを考えてもよいでしょう。
一緒に暮らす場合は、猫のトイレの片付けや掃除は、妊婦以外の人がするようにしたほうがよいでしょう。
猫をトキソプラズマに感染させないために
・猫に生肉を与えない
・ほかの猫と接触させない
妊娠が判明したり、これから妊娠を考えたりしているなら、猫をトキソプラズマに感染させないことも大切。ほかの猫の排せつ物に触れる機会をなくし、生肉も食べさせないようにしましょう。猫同士の接触で感染する可能性もありますから、ほかの猫と接触させないようにさせましょう。
猫との接し方で注意したいこと
口移しやキスはしない
排泄物に触ったら必ず手を洗う
また、野良猫が多い場所や砂場で子どもを遊ばせた後や、ガーデニングなど外の土を触った後も、しっかり手洗いをする習慣をつけましょう。猫のウンチに付いていた病原体が、その後、手を洗わずに食べ物に触って口に入ることが考えられます。
さらに、猫のウンチはなるべく早く片付けるようにしましょう。トキソプラズマ原虫のオーシストは、排泄後1日たってから人に感染するようになります。排泄後ウンチをそのままにしておくのは避けるようにしましょう。
引っかかれたらすぐに水洗い
まず流水で数分間傷口をすすいで、市販の外傷用の殺菌・消毒薬で傷口を消毒しましょう。もし傷が深いようなら、早めに病院で受診することをおすすめします。
まとめ
文/コージー根本
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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