猫と暮らす
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【獣医師監修】O型の猫はいない? 猫の血液型の種類や検査法、知っておくメリットは?
人と同じように、猫にも血液型があります。人は「A・B・O・AB」の4種類で区別されますが、猫は「A・B・AB」の3種類。今回はそんな猫の血液型について、その特徴や検査方法、血液型を知っておくメリット、血液検査で分かること、血液型で性格診断ができるのかなど幅広く解説します。

後藤 瞬 先生
相模原プリモ動物医療センター第2病院勤務
東京農工大学農学部獣医学科(現 共同獣医学科)卒業
●資格:獣医師
●所属:日本獣医皮膚科学会/日本獣医がん学会/動物介在教育・療法学会
●主な診療科目:一般診療(外科、内科)/麻酔科
猫の血液型はA・B・ABの3種類
一方、猫の血液型はA・B・ABの3種類のみです。血液型遺伝子が生産する「血液型物質」というたんぱく質を調べる「猫AB式」で「A・B・AB」の3種類に分けられており、O型は存在しません。なお、犬の場合は10種類以上の血液型があり、今も研究が続いているため、まだ増えていく可能性があるそうです。
猫の血液型はA型が多い
猫種による血液型分布
サイアミーズ、オリエンタル、アメリカン・ショートヘア、バーミーズ、オシキャット、トンキニーズ、ロシアン・ブルー
【A型93~97% B型1~10%】
メインクーン、ノルウェージャン・フォレスト・キャット、マンクス
【A型82~86% B型10~25%】
アビシニアン、バーマン、ジャパニーズ・ボブテイル、ペルシャン、スコティッシュ・フォールド、スフィンクス、ソマリ
【A型59~73% B型25%以上】
ブリティッシュ・ショートヘア、エキゾチック、コーニッシュ・レックス、デボン・レックス
猫の血液型の検査方法や費用
費用は動物病院にもよりますが、約5,000~7,000円程度が一般的です。しかし、血液型だけを調べることは少ないので、このほかに診察代や治療費などがかかることもあります。
事前に愛猫の血液型を知っておくメリット
1. 輸血が必要になった場合
猫の場合も基本的な理由は同じで、猫は自分の血液型以外の抗体に対して自然抗体を持っており、違う血液型を誤って輸血してしまうと、強い拒絶反応を起こします。特にB型の猫が持つ「抗A型抗体」は非常に強いため、B型の猫にA型の血液を輸血すると、重篤な状態になることが多いのです。
猫の輸血の流れは?
2. 危険な交配を避けるため
先述したように、B型の猫が持つ抗A型抗体は非常に強力。そのため母猫がB型で子猫がA型だった場合、母猫の母乳に含まれる抗A型抗体によって子猫の赤血球が攻撃されて壊れる溶血反応が起こり、命を落としてしまうのです。なお、メス猫がB型の場合は、B型のオス猫と交配すれば生まれる子猫もB型になるので、「新生児溶血」を避けることができます。
血液生化学検査で分かること
血液化学検査で分かる5つの病気
腎臓の機能が衰え、血液中の老廃物をスムーズに排出できない「腎臓病」になると、血液化学検査の項目「BUN(尿素窒素)」「Cre(クレアチニン)」「P(リン)」の数値が高くなります。
【肝臓病】
炎症や中毒など、肝機能に大きな負担がかかって肝細胞が壊れる数が過剰に増えた場合や、胆汁うっ滞の病状が続いている場合には、ALT、AST、ALP、GGTなどの酵素の値が、正常な範囲を超えて上昇します。
更に、細胞の壊死や線維化が進み、肝臓の機能が衰えると、「TP(総たんぱく)」「Glu(血糖値)」「Alb(アルブミン)」の数値が下がります。また、「NH3(アンモニア)」の数値が上昇する場合もあります。
【糖尿病】
細胞のエネルギー源として必要な糖分を細胞内に取り込めなくなる「糖尿病」になると、「Glu(血糖値)」が上がります。
【高脂血症】
血液中に中性脂肪やコレステロールが高値で含まれている状態です。無症状な場合もありますが、嘔吐下痢などの消化器症状や食欲不振、元気のなさなど、さまざまな不調の症状が見られる事もあります。
以下の記事でも血液検査のメリットなどについて解説していますので、参考にしてみてください。
猫も血液型で性格診断!?
愛猫の血液型を知っておこう
監修/後藤瞬先生(相模原プリモ動物医療センター第2病院勤務)
文/kagio
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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