猫と暮らす
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【獣医師監修】症状・原因etc.…あなどれない「猫風邪」ってどんな病気?|ねこのきもち
あなたの愛猫は、くしゃみをしていたり、鼻水が出ていたりしませんか? 当てはまる場合、愛猫は「猫風邪」にかかっているかもしれません。一見人の風邪と似ている病気ですが、猫の“風邪”は重症化すると命にかかわることも。今回は、そんな「猫風邪」について、症状や原因のほか、「人間にはうつるの?」「多頭飼いはどうすれば?」など、素朴な疑問にもお答えします。

田草川 佳実 先生
獣医師
聖母坂どうぶつ病院副院長
北里大学獣医畜産学部(現 獣医学部)獣医学科卒業
●資格:獣医師/認定こいぬこねこ教育アドバイザー(JAHA認定)/General Practitioner Certificate IN Small Animal Surgery(小動物外科学)
●所属:日本獣医動物行動研究会/日本獣医がん学会/日本獣医腎泌尿器学会
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聖母坂どうぶつ病院副院長
北里大学獣医畜産学部(現 獣医学部)獣医学科卒業
●資格:獣医師/認定こいぬこねこ教育アドバイザー(JAHA認定)/General Practitioner Certificate IN Small Animal Surgery(小動物外科学)
●所属:日本獣医動物行動研究会/日本獣医がん学会/日本獣医腎泌尿器学会
原因はウイルス!? 猫の風邪は「猫同士でうつる」「治らない」病気です

猫風邪の原因は、ウイルスと細菌、そしてクラミジア。なかでもヘルペスウイルスとカリシウイルスが原因で発症することが多く、それぞれ正式な病名を「猫ヘルペスウイルス感染症(猫ウイルス性鼻器官炎)」、「猫カリシウイルス感染症」と言います。ただし発症の際は、特定の病原菌ひとつで発症する場合もあれば、複合して発症する場合もあります。
ウイルスや細菌は、発症した猫の唾液や涙、鼻水に含まれます。それらを介して同居猫にうつることもあるので、多頭飼いはとくに注意しましょう(猫風邪のウイルスは人にはうつりません)。また、体調が回復しても、ウイルスは体内に潜伏し続ける(キャリア)ので、免疫力が低下するとぶり返すことも。さらに人の風邪と違い、重症化すると最悪死んでしまうこともあるので、免疫力が低い子猫や高齢猫はとくに注意が必要です。
ウイルスや細菌は、発症した猫の唾液や涙、鼻水に含まれます。それらを介して同居猫にうつることもあるので、多頭飼いはとくに注意しましょう(猫風邪のウイルスは人にはうつりません)。また、体調が回復しても、ウイルスは体内に潜伏し続ける(キャリア)ので、免疫力が低下するとぶり返すことも。さらに人の風邪と違い、重症化すると最悪死んでしまうこともあるので、免疫力が低い子猫や高齢猫はとくに注意が必要です。
目やにやよだれが…猫風邪の症状とは

以下のように、猫風邪の症状の多くは、人の風邪の症状と似ています。
症状 | 詳細 |
---|---|
くしゃみ、鼻水、鼻づまり | 発症すると水っぽかったり、粘度の高い鼻水が出ます。くしゃみも普段より増え、鼻通りが悪くなるので味覚が鈍り、食欲を落とす場合もあります。 |
発熱 | 猫の平熱は38度程度。しかし猫風邪を発症すると、39~40度まで上昇することもあり、触れると熱く感じることもあります。 |
口内炎、舌炎 | ウイルス性の猫風邪の場合、口内トラブルを併発することも。痛みのせいで食欲が落ちたり、よだれが出やすくなる場合があります。 |
目やに、充血 | 猫風邪になると、結膜炎や角膜炎を発症する猫も。目に赤みやかゆみが出るほか、膿っぽい目やにや涙が出ることも。目をかき壊したり開きにくそうにする、さらに目やにで目が開かなくなる場合もあります。 |
喉の腫れ | 喉に炎症が見られることが。痛みで食べ物が飲み込みにくくなるため、食欲が落ちることが多いです。 |
発症したら…薬は? 食事は? 猫の風邪の治療

猫風邪は放っておくと重症化・長期化しやすいうえに、先住猫などの同居猫がいる場合、うつるリスクもあります。だからこそ猫に上記のような症状が見られたら、なるべく早めに動物病院で受診しましょう。
治療は、たとえば目に症状が出ているなら点眼するなど、対症療法が中心。抗生物質や抗ウイルス薬など、猫の症状に合わせた薬を使用します。ただし重症と判断された場合は、入院が必要になる場合もあります。
治療は、たとえば目に症状が出ているなら点眼するなど、対症療法が中心。抗生物質や抗ウイルス薬など、猫の症状に合わせた薬を使用します。ただし重症と判断された場合は、入院が必要になる場合もあります。

また、投薬といっしょに飼い主さんにお願いしたいのが、食事管理です。猫風邪の症状などによってはご飯を食べない猫も多いので、食事の工夫が必要になることも。おすすめは、ウエットフードを人肌程度に温めて与える方法です。柔らかいウエットフードなら、喉を傷めている猫でも食べやすいですし、温めて香りを立たせることで、猫の食欲をかきたてることができるでしょう。
一番はワクチン接種! 猫の風邪の予防法

猫風邪の一番の予防は、原因となる細菌やウイルスから猫を遠ざけること。そのために効果的な方法を紹介します。
年に1回のワクチン接種
ワクチン(3種混合など)を接種することで、猫風邪のウイルスに対する抗体を作ることができます。接種のペースは、1才までは年に2~3回、以降は年1回が理想です。費用は動物病院によって異なりますが、5,000円ほどになります。
※ワクチン接種については、獣医師によって見解が異なりますので、必ずかかりつけの獣医師と相談してください。
生活環境を整える
猫の体力や免疫力が低下すると、感染しやすくなります。ですから食事やトイレ環境を整えるほか、こまめに遊ぶなどして、猫にストレスのない環境づくりを心がけましょう。
外から原因菌を持ち込まない
人の風邪が猫にうつることはありませんし、猫風邪のウイルスも人にうつることはない病気です。ただし飼い主さんが外出先から猫風邪の原因菌を持ち込み、猫が感染してしまう可能性も。外出先で猫に触ったら必ず手を洗ったり、帰宅後愛猫と触れ合う前に部屋着に着替えるなどの配慮ができるといいでしょう。
人の風邪とは違う! 猫風邪は、ずっと付き合い続ける病気です
いかがでしたか? 猫風邪は、一度かかると病原菌が体内に潜伏し続けるため、人の風邪と違って回復後も注意が必要な病気です。体力や免疫力が落ちたときに再発しやすいので、猫が元気になっても、環境への配慮はしっかり続けましょう。また、少しでも症状が見られたら、自己判断はせず、早めに動物病院で診てもらいましょう。
監修/田草川佳実先生(聖母坂どうぶつ病院副院長)
文/ねこのきもち編集室
文/ねこのきもち編集室
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