猫を飼う前は、楽しい猫との生活を思い描いている人も多いはず。しかし実際には、楽しい中にも大変と感じることもあります。この記事では、猫を飼う前に知っておきたいことや、飼い主さんに向かない人の傾向、猫との暮らしの理想と現実をご紹介します。
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猫との暮らしは大変? 飼う前に覚悟したいこと
猫を飼って特に大変だと感じることには、主に次の5つが挙げられるでしょう。
飼いつづけるためにお金がかかる
猫の平均寿命は15年といわれています。愛猫が天寿を全うする間には、食事代、トイレの砂代、猫用グッズ、健康診断、ワクチン接種、避妊や去勢手術、ノミ・ダニ予防など、さまざまな費用が必要になります。また、猫が病気で通院する際には、思った以上の治療費がかかることもあるでしょう。
猫との暮らしにかかる費用については、以下の記事を参考にしてみてください。
トイレ掃除が欠かせない
猫はとてもきれい好きなので、トイレが汚れていると排泄を我慢して、病気につながることがあります。そのため、排泄後はなるべく早くトイレ掃除をし、複数飼いする場合は1匹につき1つ以上のトイレが必要になるでしょう。
また、トイレには毎日の掃除では落としきれない汚れが蓄積するので、定期的に丸洗いする必要もでてきます。
猫も病気になることがある
ずっと健康でいてくれればよいのですが、定期的にワクチン接種や健康診断をしていても、猫は病気になることがあります。腎不全は老猫に多くみられる病気ですが、ほかにも猫がかかりやすい病気の中には完治が難しく、長期間の治療が必要になるものもあるのが現実です。
簡単に家を空けられない
猫は長時間の留守番やペットホテルの滞在が苦手です。留守番は飼い主さんがいないことに不安を感じるうえ、行動できる範囲が制限されるのでストレスを感じます。また、ペットホテルも知らない猫や犬の鳴き声やニオイがするので、猫にとっては大きなストレスになるでしょう。
爪とぎや排泄物のニオイに耐えなければならない
猫は本能的に爪とぎをして、物を噛む生き物です。家具や壁が傷つけられるのが嫌な人は、ストレスを感じるでしょう。
また、猫の排泄物はニオイが強いため、ワンルームなどの狭い部屋ではニオイが充満しやすくなります。排泄物のニオイやトイレのお世話にストレスを感じる人も、猫との生活が苦に感じるかもしれません。
猫の飼い主さんに向かない人の傾向は?
次のような傾向がある人は、猫を飼うのに向いていないかもしれません。
人の指示に猫を従わせたい人
犬と同じようにしつけをしっかりとして、飼い主さんの号令や指示に従わせるような生活を望む人には、猫を飼うのはあまり向いていないでしょう。
飼い主さんがしつけに従ってほしいと思っても、猫はそれに必ず従うタイプの動物ではありません。基本的に猫はしつけられないので、猫にしてほしくないことは、猫がしないように人が工夫する必要があります。
爪とぎや狩りなど、猫の習性を好まない人
猫は爪とぎをしたり、高所に登ったりするほか、狩りに似た激しい遊びすることがあります。それらの行為を好ましく思わない人も、猫との生活には向かないでしょう。
ペットの飼育不可の物件に住んでいる人
マンションやアパートなどの場合は、猫の飼育が可な物件であるかどうかの確認は必須です。「小型犬は飼育可でも、猫の飼育は不可」「猫の飼育はOKでも、複数飼いは不可」など、条件の違いがありますので、細かく確認する必要があるでしょう。
もし、入居条件を守らずに隠れて猫を飼育したとしても、いいことはありません。
長期外出や出張の多い人
長期の旅行などで家を空けなければならないときは、知り合いや親戚にお世話をお願いするほかにも、ペットホテルに預けたり、ペットシッターさんなどに頼んだりといったことが必要になることがあるでしょう。前述したように、長時間の留守番や慣れない環境での預かりは猫のストレスになるので、長期外出や出張の多い人も猫の飼育には向かないかもしれません。
自分や家族にアレルギーがある人
猫と暮らし始めたあとで、喘息や湿疹などのアレルギー疾患を発症する人もいます。自分はもちろん、同居する家族にアレルギー体質の人がいる場合は、事前に医師に相談しておく必要があるでしょう。
お世話をする体力がない人
個体差はありますが、猫によっては20年以上生きる場合もあります。猫は食事やトイレ掃除、遊び、健康管理を自分で行えないため、飼い主さんにもそれなりの時間と体力が必要です。
どんな状況になっても猫のお世話をする覚悟をもてない人は、猫を飼わないほうがいいでしょう。
猫の飼い主さんが「こんなはずじゃなかった!」と思うこと
猫を飼ったあとで「思い描いていた理想と現実は違う」と後悔しないためにも、猫を飼う飼い主さんが感じる理想と現実のギャップをご紹介します。
家中が猫グッズだらけになる
猫を飼う前は「おしゃれな猫ライフ」を思い描いていても、いざ猫に必要なものを揃えると、ものすごい量の猫グッズが。猫タワーに猫ベッド、ケージ、爪とぎ、留守番カメラなどを配置すると、部屋中が猫グッズで占領されてしまうことも珍しくありません。
意外とつきまとわれる
猫は気ままで単独でも平気な性格といわれ、自立した関係が築けると思われがちですが、なかには驚くほど寂しがり屋な性格をした猫もいます。
毎日のように昼寝もせず、どこまでも追いかけてくるので、ストーカーキャット状態になることだってあるのです。飼い主さんを慕って追いかけてくれることはうれしいですが、足元でチョロチョロされると落ち着かないかもしれません。
抱っこさせてくれない
抱っこを嫌がる猫もいます。自分が甘えたいときにだけ寄ってくるのに、抱っこは断固拒否。愛猫が抱っこ嫌いの場合は、抱っこ好きな性格の猫を見ると羨ましく感じることもあるでしょう。
イタズラが好きすぎて、掃除に追われる
おとなしい猫もいれば、いろいろなものに興味を示し、イタズラをする猫も。愛猫が何でもなめたり、触ったりしてしまう場合には、毎日の掃除が欠かせないでしょう。特に、猫が食べると危険な食材のあるキッチンは、柵などの設置が必要になることも。
真夜中に大運動会をする
犬と違い、猫は散歩の必要がないから運動量も少ないと思っているなら、それは勘違いかもしれません。飼う前はしおらしい猫でも、部屋の中を走り回り、真夜中に大運動会を始めることがあるのです。例え散歩の必要がなくても、しっかり遊んであげる時間をつくる必要があるでしょう。
布団に乗られ、起床時間前に起こされる
猫とゆっくり眠りたいところですが、現実はそううまくいかないこともあります。布団に入ってきた猫は我こそはとベストポジションを取り、飼い主さんの寝場所がなくなることもありますし、予定した起床時刻より早く起こされることだってあるのです。
※「ねこのきもち」2018年6月号『“想定外”が続出…!猫との暮らし理想と現実』より抜粋
覚悟を決めて迎えたら、最期まで猫をかわいがって
猫を飼うことは、1つの命を預かるということ。一度飼うと決めたならば、最期まで責任をもって飼うことが大切です。
猫は自分で飼われるお家や飼い主さんを選べませんし、飼い主さんが思い描いていた理想の生活が必ずしもできるというわけでもありません。ときには、猫との関係がうまくいかずに悩んだり、病気になったりすることもあるでしょう。もちろん猫には寿命があるので、人よりも先に亡くなることが多はずです。ですが何があっても、最期まで見届けてあげる覚悟が必要です。
そのことをしっかりと考えたうえで、猫をお迎えできるのであれば、飼い主さんは猫といい関係を築いていけることでしょう。大変なことはたくさんありますが、猫と暮らす幸せはかけがえのないものです。
参考/「ねこのきもち」2019年1月号『猫との暮らしでかかるお金はいくら?CAT計簿』
「ねこのきもち」2017年6月号『一緒に暮らすことがもっともっと楽しくなる ねこと私のHAPPY100』
「ねこのきもち」2017年4月号『治りにくいからこそ予防と早期発見が大事です!一度かかると長いお付き合いになる病気』
「ねこのきもち」特別編集『シリーズ愛猫の健康を守る 気を付けてあげたいことがわかる!猫ストレス大事典』
「ねこのきもち」2018年6月号『“想定外”が続出…!猫との暮らし理想と現実』
監修/ねこのきもち相談室獣医師
文/こさきはな
※写真は「いぬ・ねこのきもちアプリ」て投稿されたものてす。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。