新型コロナウイルスによる自粛期間中、犬や猫などのペットを飼い始めた人もいるようです。今回は、猫を飼いたいと思った人に事前に確認してほしいことや、猫と暮らす心構え、一人暮らしで猫を飼うコツ、猫を飼うときに必要なグッズなどについて解説します。
ねこのきもち獣医師相談室
愛猫の困りごとや悩みについてアドバイスをする、「ねこのきもち」獣医師チームです。豊富なアドバイス経験をもとにした丁寧な情報発信を心がけています。
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猫を飼いたいけど「飼えない」とあきらめる人もいる
「猫を飼いたい」と考える人のなかには、以下のような事情から、猫を飼うことを断念している人もいます。
家の中がボロボロになると困るから
猫は本能的に爪とぎをしたり、ものをかじったりする生き物なので、家がボロボロになることがあります。そのため、賃貸物件に住んで猫を飼う場合は、退去時に費用がかかる可能性も。また、持ち家に住んでいたとしても、家具や家の中が猫に傷つけられてしまうことにストレスを感じる人もいるでしょう。
「猫飼育不可」の物件に住んでいるから
マンションやアパートなどの場合、小型犬は飼育可でも猫は飼育不可だったり、猫の飼育はOKでも複数飼いは不可だったりすることもあるので、「猫飼育可の物件」であるかどうかの確認は必須です。入居条件を守らずに隠れて猫を飼育するのは、絶対にやめてください。
愛猫の異変に気づいたときに、すぐに病院に連れて行けないから
日中は仕事の都合で留守にする人も多く、その場合、猫の異変にすぐに気づいてあげられないケースも。いざというとき近所に夜間救急対応の病院があったり、代わりに通院をお願いできる家族や友人が近くにいたりすればいいのですが、そうでない場合は猫を飼うことが難しいかもしれません。
排泄物のニオイに耐えられないかもしれないから
ワンルームなどの狭い家で猫を飼うと、まめに掃除をしていたとしても排泄物のニオイが充満しやすくなります。また、猫のトイレはこまめに掃除してあげる必要があるので、排泄物のニオイやトイレのお世話にストレスを感じる人は、猫の飼育に向いていないかもしれません。
猫の運動量を確保してあげられないから
猫にとって運動不足は、ストレスや肥満などの原因になります。そのため、狭い家でキャットタワーが設置できない、猫と遊ぶ時間が取れない人などの場合は飼育が難しいでしょう。
長期間家を空けることが多いから
出張などで長期間家を空けることが多い人は、猫を飼うのに向いていないといえるでしょう。
介護が必要になったときに面倒を見てあげられる自信がないから
早い猫では7才くらいから体や行動に変化が見られ、足腰が弱くなったり、反応が鈍くなったり、病気にかかったりすることがあります。介護はかなり大変なので、最期まで面倒を見る自信のない人は、猫を飼わないほうがいいでしょう。
猫の生涯にわたってお世話をする覚悟がもてないから
個体差はありますが、なかには20年以上生きる猫もいます。どんな状況になっても猫のお世話をする覚悟をもてない人は、猫を飼わないほうがいいでしょう。
収入に不安があるから
猫の飼育にはお金がかかります。猫の食事やトイレ(砂)、ワクチンなどの疾患予防や去勢・不妊手術、病気になった場合の費用など、日常のさまざまな面でお金が必要になってくるでしょう。そのため、収入に不安がある場合は、猫の飼育は難しいといえます。
猫を飼いたいと思ったときに、事前に確認すべきポイント
このように、事前にさまざまなことを考えて猫を飼う・飼わないと決められる場合はいいのですが、かわいさのあまり勢いで猫を飼ってしまうと、「こんなはずじゃなかった」と後悔することも。猫を飼う前は、最低限でも次のことを確認しておきましょう。
飼いたい描種はライフスタイルに合っているか
猫を飼う前に、自分のライフスタイルや猫を飼う目的を確認しておきましょう。猫種によって、お世話の仕方も異なります。見た目のかわいさやイメージだけで選ぶのではなく、その猫の特性をよく理解したうえで、冷静に判断することが必要です。
長毛種を飼いたい場合は、お手入れについて知っておく
ラグドールやメインクーンなどの長毛種を飼いたいと思っている人は、長毛種ならではのお手入れについて知っておく必要があります。長毛種はまめにブラッシングをしないと大きな毛玉になることがありますし、毛が激しく抜け変わる換毛期には、シャンプーをしてあげなければいけません。
定期的にお手入れをしてあげられる余裕があるか、今一度考えてみてください。
家族の同意をとることとアレルギーの有無
猫を飼ううえで、一緒に住む家族の同意は必要不可欠です。いくら家族の同意がとれていても、猫と暮らし始めたあとで喘息や湿疹などのアレルギー疾患が起こることも。家族にアレルギー体質の人がいる場合は、医師に相談するなど、事前に慎重な判断をする必要があるでしょう。
お世話をする時間と体力があるか
猫を飼うと、毎日の食事からトイレの掃除、遊び、健康管理など、しなくてはならないことがたくさんあるので、それなりの時間や体力が必要になります。癒やしばかり求められない現実があることも、飼う前によく理解しておきましょう。
猫の生涯にわたる計画ができているか
人生には、就職や結婚、出産といったさまざまなライフイベントが訪れますが、猫が生きている間はお世話をし続けなければなりません。万が一自分が病気になったときに、代わりにお世話をしてくれる人を見つけておくことも必要になるでしょう。
一人暮らしでも猫は飼える? メリットや飼うときのポイントとは
一人暮らしでも猫を飼っている人はいます。また、一人暮らしで猫を飼う場合、猫と人がとても強い信頼関係で結ばれるため、よいパートナーとして暮らしていけるケースが多いです。
しかし、一人暮らしの家庭に住む猫は刺激に弱く、運動不足になりがちなので、以下のような工夫が必要になるでしょう。
来客やキャリーバッグに慣れさせる
一人暮らしの人と暮らす猫は刺激に慣れていないため、知らない人と会ったり、大きな物音がしたりしたときにパニックを起こすことがあります。そこで、できるだけ来客を招いたり、キャリーバックで一緒にお出かけしたりして、さまざまな刺激に慣れさせましょう。ただし、決して猫に無理強いをさせないようにしてください。
出勤前や帰宅後に遊ぶ時間をつくる
一人暮らしの家にいる猫は、運動不足になりやすい傾向があります。そのため、10分でもいいので早起きをして、出かける前に遊んであげたり、帰宅後にかまってほしそうにしているときは、短い時間でもいいので遊んであげたりしましょう。
自動給餌器を用意する
仕事で突然帰宅が遅くなるときに備えて、自動給餌器を置くことも考えましょう。また、事前に仕事が遅くなることがわかっていれば、近くに住む友人などにお願いしておくのも手です。
帰省時にお願いできるペットサービスを探しておく
帰省などで数日家を空けることもあるでしょう。個体差はありますが、猫は場所の変化に弱いので、頼れるペットシッターを探しておくことも大切です。
猫を迎え入れる前に用意しておきたいもの
猫を飼うときは、以下のようなグッズが必要になります。猫と豊かに暮らすためにも、最低限そろえておくことが大切です。
- 猫用のトイレ(砂)
- 食器(フード・飲み水用)
- キャットフード
- 猫用ベッド
- キャリーバッグ
- 爪とぎ
- 猫用おもちゃ など
猫用グッズに関する詳しい情報は、以下の記事も参考にしてみてください。
まさかの事態に備えることも大切
いくら経済的な問題をクリアしていたとしても、猫の通院は全額自己負担になるため、病気やケガをすると高額になることが。万が一に備えて、ペット保険などに加入することも考えておくといいでしょう。
ペット保険については、以下の記事を参考にしてみてください。
猫と一緒に生活をすることは、ひとつの命と向き合うということ
突発的に猫を飼うのはおすすめできませんが、家庭環境やこの先の計画を見据え、猫の性質を理解したうえで迎えるのであれば、猫も幸せになれるでしょう。
猫の迎え入れ方には、ペットショップで購入する方法や譲渡会で譲り受ける方法などがありますが、どの方法で迎え入れても、最期まで責任をもってお世話することが大切です。
猫と一緒に生活をすることは、ひとつの命と向き合うということです。しっかりとこのことを踏まえたうえで猫をお迎えできるのであれば、飼い主さんと猫はいい関係を築いていけるのではないでしょうか。
参考/「ねこのきもち」2017年1月号『“○人暮らし”ならでは 家族の人数別LOVEのカタチ』
「ねこのきもち」2017年8月『猫の「快適」を追求した暮らしは、飼い主さんにもやさしい。キャット・ファースト24h』
監修/ねこのきもち相談室獣医師
文/こさきはな
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。