猫が、壁や床に耳を擦りつけている……!?ちょっとかわいいその行動、実は、耳の中がかゆくて行っているのかもしれません。ダニには、猫の耳に寄生する「耳ダニ」というダニがいるのです。この記事では、激しいかゆみを引き起こす「耳ダニ症」について解説します。
耳ダニ症って、どんな病気?
耳ダニ症とは、正式名称を「耳疥癬症(みみかいせんしょう)」といい、猫の耳にダニが棲みつく病気です。原因となる耳ダニは、その多くが「ミミヒセンダニ」という種類で、「ダニ」という名前からも推測できるように、寄生すると強いかゆみを引き起こします。
耳ダニ症はどうやって感染する?
気になる耳ダニの感染ルートはというと、その多くが「生まれたときに親猫からうつる親子感染」と、「野良猫など他の猫からの感染」の2つです。耳ダニは感染力が強いため、耳ダニが寄生した猫と触れ合うことで伝染していくのです。
耳ダニ症の症状とは?
耳ダニに感染すると、激しいかゆみの症状が現れます。猫は「かゆい」と口では言えませんが、以下のような行動、もしくは症状が見られたら注意が必要です。
- 後ろ足を使って何度も耳の中をかく
- 壁や床などあらゆる場所に耳を擦りつける
- 頭を振る
- 耳垢が黒くなって増える
- 耳に触れられることを嫌がる
- 耳が臭くなる
愛猫に1個でも当てはまる項目があったら、猫ダニ症の感染を疑い、動物病院を受診しましょう。耳ダニは繁殖力が強いため、放っておくと慢性の外耳炎を引き起こすことがあります。さらに悪化すると、中耳炎や内耳炎に進行するおそれもあるので、早めの治療が大切です。
早めの治療がポイント
耳ダニ症が自然に治ることは、まず、あり得ません。そのため、動物病院での適切な治療が必要です。治療は、耳ダニの駆除剤である「レボリューション」という外用薬を用いて行います。通常は肩甲骨の間に1回投与しますが、症状が悪化している場合は、2~3回投与することもあるようです。
また、耳の中がゴミや耳垢で汚れていると、耳ダニの温床となり薬が効きづらくなるため、治療と併せて耳掃除も行いましょう。日頃から、猫の耳を清潔に保つことも耳ダニ症の予防につながります。
ただし、ケアのしすぎは、かえって症状を悪化させる心配も……。“正しい耳のケア”について、もっと詳しく知りたい人は、下記の記事も参考にしてください。
耳ダニ予防には、日頃のケアが大切
強いかゆみを引き起こす耳ダニ症は、感染力が強く、自然治癒しない厄介な病気です。しかし、適切な治療を行えば必ず治る病気でもあります。普段から、猫の耳を清潔にすることを心がけ、耳ダニ予防に努めましょう!
参考/「ねこのきもち」WEB MAGAZINE『【獣医師が解説】猫の「耳ダニ症」は人にも感染する?予防法も解説』(監修:ねこのきもち相談室獣医師)
文/しばたまみ
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。