完全室内飼いの猫は、外で生きているノラ猫と比べて危険が少ないため、大幅に寿命が延びています。しかしそれに伴い、内臓などが衰えやすくかかりやすい病気もでてくるよう……。
今回はそんな猫の高齢化によりかかりやすくなる病気について、さっそくご紹介します。
腎臓病
腎臓の細胞が崩壊
腎臓の細胞が壊れていき、尿に異変が表れます。腎臓の細胞は一度壊れると元に戻らないため、高齢になったときには腎臓の機能がかなり低下している猫も多いです。
色の薄い尿が大量に
腎臓の機能が低下すると、初期は尿を濃縮できなくなり、色の薄い尿が多く出るようになります。その結果、水をよく飲み、尿の量が増えます。場合によっては、貧血やけいれんが起こることも。
甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンが過剰に分泌
新陳代謝を促進する甲状腺ホルモンが過剰に分泌。臓器に負担がかかり、衰弱していきます。早期に発見できれば、薬や療法食で分泌を抑え、付き合っていくことも可能。また、手術で治療することもあります。
食欲はあるのに痩せたり…
目がギラギラして攻撃的になったり、食欲は旺盛なのに痩せていったり、吐く回数が増えたり、のどが腫れたり、毛づやが悪くなったり。症状が多岐にわたるのがこの病気の特徴といえます。
ガン
悪性の腫瘍が発生する
原因は諸説ありますが、年を重ねるにつれ、抵抗力が落ち、腫瘍ができやすくなるといわれています。腫瘍には良性のものと悪性のものがあり、内臓や皮膚、さらには骨など体のあちこちに発生します。
命に影響しやすい
人と同様、治療が難しい病気のひとつ。発生した部位にもよりますが、悪性腫瘍は比較的進行が早く、全身に転移すると、命に関わる可能性が高まります。早期発見が肝心なので、高齢の猫は積極的に健康診断を。
認知症
脳の機能が低下する
高齢になり、脳が萎縮したり脳の神経が衰えたりすることによる病気。一説では、自律神経の機能低下も原因とか。英国のある研究では、15以上の飼い猫の半分以上が行動に障害をきたしているという結果もあるそう。
奇妙な動きをするように
認知症の猫は、目の焦点が定まらず、うつろに。さらに、同じ場所をぐるぐる歩き回ったり、大きな声で鳴いたり、粗相をしたり。奇妙な行動を見せるようになります。ふだんから遊びなどで刺激を与えることが予防に。
寿命が延びて高齢になってくると、どうしてもかかりやすい病気は増えてきます。ですが、飼い主さんが気を付けてあげることで防ぐことができるものも。愛猫に長く健康でいてもらうためにも、愛猫の細かな変化などにも気を付けられるようになるといいですね。
参考/ねこのきもち2015年9月号『愛猫の生活習慣病に気を付けて』(監修:聖母坂どうぶつ病院獣医師 鵜飼佳実先生、帝京科学大学助教 動物看護師 小野寺温先生)
文/浪坂一
撮影/石原さくら、栗林 愛
※この記事で使用している画像は2015年9月号『愛猫の生活習慣病に気を付けて』に掲載されているものです。