猫の肝臓の病気「肝リピドーシス」をご存じでしょうか? 発症すると肝臓がうまく機能しなくなり、死に至るケースもあるので、とても危険な病気です。大切な愛猫の命を守るためにも、「肝リピドーシス」についてよく理解し、早期発見に役立てましょう。
「肝リピドーシス」ってどんな病気?
「肝リピドーシス」は、肝臓に脂肪がたまり、肝臓の組織が脂肪に置き換わることで、本来の働きができなくなる病気です。
猫が食欲不振になったときに、体が体内の脂肪を肝臓に運搬してエネルギーにかえようとすることで、「肝リピドーシス」を発症するおそれがあります。
肥満体型や高齢の猫は発症しやすい傾向があり、肥満体型の猫が2日以上食べないと命の危険にさらされることも。放置すると死に至る危険性があるので、飼い主さんが異変に気付いてあげることが重要なのです。
飼い主さんが気付ける「肝リピドーシス」の症状
そもそも猫の肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、ある程度病気が進行しないと、自覚症状が出ないことが多いとされています。そのため、明らかな異変が見られてから受診すると、病状がかなり進行しているというケースは少なくないので注意が必要です。
「肝リピドーシス」のおもな症状
猫が「肝リピドーシス」にかかると、徐々に元気がなくなって食欲が落ち、好物のフードやおやつを与えてもいつものように反応しなくなります。それと同時に、頻繁に嘔吐や下痢をするようになることも。
さらに進行すると黄疸が出て、皮膚や粘膜が黄色くなるので、耳の内側が変色して気付くこともあるようです。
「肝リピドーシス」の検査法と治療法
「肝リピドーシス」の診断・検査法
まずは、血液検査で肝臓の機能を示す数値を確認します。それから、必要に応じてレントゲンや超音波検査を行いますが、確定診断には手術でお腹を開けるか、腹腔鏡で肝臓の一部を取り出して調べることもあるようです。
また、食欲の有無が判断材料となるため、問診時にいつから食べていないかなどの報告が必要になるでしょう。
「肝リピドーシス」の治療法
胃にチューブを入れて強制的に栄養補給を行い、食事からエネルギーを作り出して、肝臓に運搬される脂肪をストップさせます。同時に点滴や抗生物質などの投与を行うことも。
「肝リピドーシス」は命の危険がある病気ですので、飼い主さんがいち早く異変に気付いてあげることが大切です。日頃から猫の様子を観察し、体重や食欲のチェックを怠らないようにして、少しでも異変を感じたらためらわずに動物病院へ相談に行きましょう。
参考/「ねこのきもち」2016年11月号『症状に気付きにくい"沈黙の臓器"だから 進行すると怖い肝臓とすい臓の病気』(監修:日本大学生物資源科学部獣医学科獣医外科学研究室教授 附属動物病院外科長 浅野和之先生)
文/こさきはな
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