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愛猫とのお別れを意識したとき、飼い主さんが考えておきたいこと7つ

悲しいことですが、愛猫との別れは必ずやってきます。
残された時間をどのように過ごすか、最終的な看取りをどのようなかたちで迎えるか、とても辛いけれど飼い主さんは考えておく必要があるかもしれませんね。

愛猫の死を意識してからの日々について、飼い主さんから雑誌「ねこのきもち」に寄せられたエピソードをまずはご紹介。
獣医師・動物病院専任カウンセラーの宮下ひろこ先生に、愛猫とのお別れを意識したとき、飼い主さんがやっておきたいことも教えてもらいました。

病気が悪化してからも少しでも長生きしてほしい一心で通院を続けた

三重県 A・Hさん、みいちゃくん(オス・享年14才)

11才の頃、甲状腺機能亢進症と関節炎を発症した愛猫。定期的に動物病院へ通いながら、自宅で投薬もしましたが、原因不明の腹水がたまるなど、徐々に体調は悪くなっていきました。
最期の1カ月、外に出たことのない愛猫が、なぜか外に出たがるように。弱った体で玄関へ行き、鳴いて訴える姿を見るといたたまれず、晴れた日は玄関先まで一緒に出て見守りました。日光に当たると、そのときだけはしんどそうな体が少し楽になるようで……。気持ちよさそうに太陽に向かって座る姿が、今でも目に焼き付いています。
獣医さんの話からお別れが近いと悟り、最期の1週間はできるだけ離れず過ごしました。愛猫が寝ている場所に布団を運び、家族一緒に就寝。そのおかげで、苦しまずに眠っているように息を引き取る姿を見届けられました。
最期を振り返ると、身体的な苦しみを取り除きたい、一日でも長く生きてほしい一心で通院を続けていたと思います。しかし、亡くなる直前まで苦手な場所へ連れて行かれて辛かったのでは、という思いも。「今度は最期まで大好きな家で過ごさせるから、また生まれ変わってウチにおいで」と伝えたいです。
画像/2020年2月号「いつかは訪れるサヨナラのために。大好きなあのコと過ごした最期の日々」
お気に入りの布団の上でくつろぐ、病気を発症する前のみいちゃくん
画像/2020年2月号「いつかは訪れるサヨナラのために。大好きなあのコと過ごした最期の日々」

老衰でもできる限りのことをしようと夫婦で決めた

長野県 Oさん、ぴーすけくん(オス・享年23才)

26年前にノラ猫だった、ぴーすけをわが家に迎え、長い共同生活が始まりました。
3年前から徐々に体力が落ち、痩せてきた愛猫。心配になってかかりつけの獣医さんに診てもらうと老衰とのこと。一緒に過ごせる時間は短いから、大切な家族として最期まで手を尽くし、かわいがっていこうと夫婦で話し合いました。
終末期は、すでに定年退職していた夫が活躍。毎日、動物病院へ連れて行き、点滴などの処置を受けさせました。自宅では私がスポイトで流動食を与えたり、オムツを取り替えたり。また、居間にベッドをしつらえて見守りました。
最期の日、仕事で県外にいた私は、夫からの「危ない」というメールで大急ぎで動物病院へ。でも、愛猫はすでに冷たくなっていて……。切なかったですが、獣医さんから「ぴーすけくんは天寿を全うしました。幸せでしたよ」と声をかけていただき救われました。
それから2年、ぴーすけのあとを追うように夫も天に召されました。一人で心細いこともありますが、現在の愛猫2匹を最期まで大切にし、看取ることは私の大切な務めだと感じています。
画像/2020年2月号「いつかは訪れるサヨナラのために。大好きなあのコと過ごした最期の日々」
ぴーすけくん
画像/2020年2月号「いつかは訪れるサヨナラのために。大好きなあのコと過ごした最期の日々」

終末期にしたいこと

①延命か自然に任せるかを考える

少しでも長く生きてもらうために延命治療を受ける、無理せず自然な形で死を迎える、どちらの選択も間違いではありません。飼い主さんの希望を獣医師に伝えて、最善の方法を一緒に考えてもらいましょう。

②自宅で看取れる状態か確認する

最期は自宅でと希望する飼い主さんが多いでしょうが、病状によっては動物病院で処置しないと、痛みや苦しみを軽減できないまま息を引き取ることも。獣医師はどのように臨終を迎えるか予測できるので、自宅で看取れるか確認を。

③治療費など経済的な問題を考慮する

動物病院での治療には費用がかかるため、経済的な問題も出てきます。延命治療にどこまで費用を出せるか、遠慮なく獣医師に伝えましょう。状態にもよりますが、薬や通院の回数を減らすなど、調節できることもあります。

④密度の濃い時間を共有する

仕事をしていると一緒に過ごせる時間は限られますが、長さよりも質が大切と考えましょう。愛猫が好きなスキンシップを積極的に行い、密度の濃い時間を過ごして。呼吸が苦しそうなときは体の向きを変えず、やさしく声かけを。
Getty

⑤最期の数日間は暖かい寝床の用意を

最期の数日間はほとんど寝て過ごすので、体温が低下しないよう暖かい寝床の用意を。嘔吐物や排泄物で汚れることを考慮し、浅めの段ボール箱を使っても。その場合、クッションなどを置いておくと床ずれの予防になります。

⑥前向きな気持ちでお世話をする

日々衰弱する姿を見るのは辛いですが、お別れのことを考えて悲観するより、目の前で懸命に生きている愛猫に目を向けましょう。飼い主さんにやさしくお世話されると、猫は安心でき、心穏やかな時間となります。

⑦役割分担など家族で話し合う

家族がいる場合は、どのような治療をしてどのように最期を迎えさせるのかなど、話し合いをしましょう。その上で日中のお世話をする人、夜一緒に寝る人など、役割分担が決めておくと、介護の負担が分散されます。

いつかなるかも…ペットロスのこと 

ペットロスとは、愛するペットとのお別れによる悲しみから、感情、身体、認知、行動など、私たちに起るさまざまな反応のこと。「もっとこうしてあげればよかった」という後悔や、強い罪悪感がある場合、長く悲しみが続くケースもあるよう。その悲しみと上手に折り合いをつけながら過ごすために、できることを知っておきましょう。

悲しみを分かち合える人に話す

愛猫をかわいがってくれた人、同じ体験をした猫飼いの人などに悲しみを打ち明けて。否定されると逆効果なので理解してくれそうな人を選んで。

写真の整理などをして幸せな時期を思い出す

愛猫が元気だった頃の写真を見返すことで、幸せだった日々が思い出され、気持ちが癒されることがあります。1冊の愛猫アルバムを作っても。

月命日に愛猫の好物だったものをお供えする

愛猫の遺影を飾る人は多いと思いますが、月命日ごとに、大好きだったおやつなどをお供えしても。その際、ありがとうの気持ちを込めましょう。

いつかは訪れるサヨナラのために…

いかがでしたか? 最愛の愛猫とのお別れを考えるのは辛いのですが、最期まで充実した日々を送り、理想的なかたちで看取るためには必要なこと。悔いが残らないよう、あらかじめ考えておきたいものですね。
参考/「ねこのきもち」2020年2月号『いつかは訪れるサヨナラのために。大好きなあのコと過ごした最期の日々』(監修:動物病院専任カウンセラー、獣医師 宮下ひろこ先生)

※この記事で使用している画像は「ねこのきもち」2020年2月号『いつかは訪れるサヨナラのために。大好きなあのコと過ごした最期の日々』に掲載されているものです。

文/SAY
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