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年末年始にかかりつけの動物病院が閉まっていたら…知っておきたい「夜間救急病院」

愛猫の具合が悪くなったとき、もしもかかりつけの動物病院が閉まっていたら、あなたはどのような行動をとりますか? 年末年始では閉まっている動物病院も多いので、愛猫に異変が起こったときにどうすればいいか、今から考えておく必要があります。

この記事では、いざというときの夜間救急病院について紹介します。

夜間救急とは?

イラスト/山村真代
イラスト/山村真代
動物病院が開いているのは通常日中ですが、その診療時間外に対応してくれるのが「救急動物病院」です。

救急動物病院は、地域の獣医師が交代で、あるいは地元の獣医師会が夜だけ診療するタイプや、24時間営業タイプ、獣医師が飼い主さんの家に行って診察する往診タイプなど、さまざま。この記事では、それらを総称して「夜間救急」としています。

どんな症状のコが夜間救急にくるの?

診察を受ける猫
getty
夜間救急を受診する猫の症状は多岐に渡っており、とくに多いのが嘔吐や下痢などの消化器症状。また、血尿が出たり、何度もトイレに行くなどの泌尿器の病気。フード以外のものを食べてしまう誤食も多いです。

また、はっきりとした症状はないものの、「なんとなくいつもよりぐったりしていて…」といった理由での受診もあります。

夜間救急の体験談

イラスト/山村真代
イラスト/山村真代
実際に夜間救急にかかったことがない飼い主さんもいると思うので、ここからは「ねこのきもち」読者が体験したリアルなエピソードを紹介します。

夜になって生気がなくなった愛猫。いざというときのために教えてもらっていた夜間救急へ

まずは、あいすちゃん(メス・2才/ラグドール)の飼い主A・Yさん(北海道)から寄せられた体験談。

生後3カ月頃のある日、夕方から元気がなかったというあいすちゃん。夜になって突然嘔吐し、生気がなくなったのだそうです。

パニックになってしまった飼い主さんですが、かかりつけの獣医師から教えてもらっていた夜間救急をインターネットで調べて、電話をかけてみることに。すると、「お金がかかっても大丈夫か」「かかりつけの動物病院が開くまで待つのは無理そうか」などを尋ねられたといいます。あいすちゃんの状態が心配だった飼い主さんは、夜間救急に車で向かうことに。

診察を受けると、猫カゼ、脱水症状の疑いがあることがわかり、注射を打ってもらって3万2000円を支払ったそうです。

明け方に帰宅し、開院時間を待ってかかりつけの動物病院でも受診。夜間救急がかかりつけに病状を共有してくれており、安心できたといいます。

持病が悪化した愛猫。夜間救急に電話をかけたら、応急処置をしてくれることに

イラスト/山村真代
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続いて、きりくん(オス・享年19才)の飼い主Y・Mさん(大阪府)から寄せられたエピソード。

ときどき胸に水が溜まってしまい、動物病院で定期的に抜いてもらっていたというきりくん。ある日の深夜、口呼吸をしていて苦しそうだったため、獣医さんから名刺をもらっていた夜間救急に電話をしてみたのだそう。

そのときの指示通りに、きりくんにハーネスをつけ、キャリーケースに入れ、タクシーで30分ほどかけて連れて行きました。このとき、念ため服用していた薬も持参したといいます。

夜間救急では、胸水が溜まっている、心筋が厚くなっているとの診断があり、水を抜いて酸素ルームで休ませてもらったのだそう。

夜間診療費5000円のほかに検査や入院費を合わせて2万5920円。往復の交通費を含めると3万円ほどかかったそうです。


愛猫が深夜にけいれんして頭が真っ白に…かかりつけの動物病院に連絡したら、対応してくれた

最後に紹介するのは、あさちゃん(メス・4才)の飼い主A・Kさんから寄せられたエピソード。

3才のときに突然けいれんを起こしたあさちゃん。さっきまで元気だったのにどうしていいかわからず、飼い主さんは頭が真っ白になったそうです。

夜間救急は調べていたものの、とりあえずかかりつけの動物病院に電話をかけてみたところ、つながったので相談してみることに。時間外料金について説明を受けた上で、対応してもらうことにしたといいます。

動物病院に着いたときには、あさちゃんは元気になっていたそうですが、念のため血液検査をしてもらった結果、血液中のアンモニアの数値が高いとの診断を受けたそう。

治療費5600円のほかに、時間外料金1000円が加算されて、合計7000円ほどかかったといいます。

夜間救急受診の手順

イラスト/山村真代
イラスト/山村真代
いざ夜間救急で受診したいというときには、下記のような手順になります。

①夜間救急に電話する

まずは、夜間救急に電話をかけましょう。そして、受診したい旨を一番に伝えるようにしてください。夜間救急には、命の危険がある猫の飼い主さんから、獣医師にとりあえず相談してみたいと思う飼い主さんまで、さまざまな電話がかかってきます。受診を希望するのであれば、最初に伝えましょう。

その上で、異変を起こしている愛猫の様子(症状)をできるだけ具体的に伝えましょう。その際に、電話口のスタッフの質問をよく聞き、できるだけ的確に答えて、指示に従うのが効果的です。愛猫の命を救うことにつながります。

電話をかけるのは飼い主さんで!

夜間救急に電話をかけるときは、飼い主さんがかけるようにしましょう。じつは、電話をかけてくるのが飼い主さんではないことも多いのだとか。

病状によっては一刻一秒を争うので、ふだんの愛猫の様子を一番よく知っている飼い主さんが電話口で説明するようにしましょう。

②いざ行くことになったら準備する

イラスト/山村真代
イラスト/山村真代
夜間救急に向かう際は、猫に負担をかけないようにするためにも、キャリーケースを使いましょう。上面のトビラが開くタイプのほうが受診時に猫を取り出しやすいので、猫に負担がかかりにくいそうです。

また、夜間救急では、診察する獣医師に猫のこと、とくに病歴をくわしく伝えることが大切です。過去に受診したときのデータや、ふだん飲ませている薬といった診断の手がかりになる資料は、必ず持って行くようにしましょう。

排泄物や誤食物があれば持って行こう

もし血便や下痢、吐瀉物などがある場合、また誤食物の残骸がある場合には、ポリ袋などに入れ持参しましょう。持って行くことができないのであれば、スマホで撮影した画像だけでもOKです。

動きに異変を感じたら動画を撮影しておこう

落ち着きがない、呼吸がおかしい、けいれんしているなど、猫の動きに異変がある場合は、動画を撮影しておきましょう。夜間救急に到着したときには症状がおさまっていることもあるので、あとで獣医師が見ることができると参考になります。

もしも心臓が止まってしまったら、心臓マッサージをしよう

夜間救急に連れて行くまでに、飼い主さんも応急処置をしたほうがいいケースもあります。とくに心臓が止まってしまったときは一刻を争うので、人と同様に心臓マッサージが必要に。落ち着いて行ってください。

心臓の位置は?
心臓マッサージの方法
※写真は説明をわかりやすくするために、ぬいぐるみで行っています。
ねこのきもちWEB MAGAZINE
心臓の位置は、猫を右に倒して寝かせ、左前足を曲げたときのひじの下あたりに。

1秒に2回のペースで心臓を押して
心臓マッサージの方法
※写真は説明をわかりやすくするために、ぬいぐるみで行っています。
ねこのきもちWEB MAGAZINE
心臓があるあたりに両手を重ねてあてます。そして、1秒に2回くらいの速さで強めに押し続けてください。


夜間救急に到着したら、動物病院の指示に従ってください。後日、かかりつけの獣医師にも報告をしましょう。

いざというときのために! ふだんからできる「備え」は

イラスト/山村真代
イラスト/山村真代
いざというときに慌てないためにも、日頃からの備えが大切です。落ち着いて対応することが、猫の命を左右します。

愛猫の病歴を把握しておこう

病気や薬の名前は覚えにくいものではありますが、夜間救急で伝え間違えてしまうと適切な治療ができないことがあります。

ふだんの受診のときにかかりつけの獣医師に病気や薬の名前を書いてもらったり、人の「お薬手帳」のように専用ノートを用意して書き込むようにすると、いざというときに役に立ちます。

ほかにも、「○月○日頃から排泄回数が2〜3回増」など、愛猫に小さな異変を感じたときにもメモをとっておくといいでしょう。

夜間救急を探しておこう

イラスト/山村真代
イラスト/山村真代
かかりつけの動物病院の診療時間外になにかあったとき、どこの夜間救急に連れて行くかは必ずシミュレーションしておきましょう。いざというときにそれをしていたか否かが大きな差となります。

夜間救急を選ぶポイントは?

夜間救急を選ぶ基準はさまざまですが、猫の体への負担を考えたときに一番優先したいのは、自宅からの距離と時間です。そのほか、気になることをチェックしておくとより安心です。

よりよい夜間救急を探す手順

イラスト/山村真代
イラスト/山村真代
最後に、夜間救急を探すときの手順について紹介します。

①かかりつけの獣医師の相談しよう

愛猫の体を一番知っているのは、かかりつけの獣医師です。診療時間外に異変が起こった際にどうすればいいかを相談しておきましょう。信頼できる夜間救急を紹介してくれるかもしれません。

また、持病がある猫であれば起こり得る異変も想定しやすく、いざというときの応急的な薬をあらかじめ処方してくれることもあります。

②ネットなどで探してみよう

自分で調べる場合は、インターネット検索などをしてみましょう。最近では、夜間救急をまとめたサイトもあります。

地域差はありますが、よりよい夜間救急を見つけるための選択肢のひとつとして考えてみてください。

③どうしても近くになくても、一番近い夜間救急を調べてみよう

地域によっては、近くに夜間救急がないこともあるでしょう。その場合には、遠方の夜間救急に電話をかけて、獣医師の指示をもらうのもいいです。その際も、自宅からできるだけ近い夜間救急を選びましょう。

多少遠かったとしても、動物病院に行かないとどうしようもないこともあります。


撫でてもらう猫
getty
もしものことを想定して、今からでもいざというときのために夜間救急を調べておきましょう。

参考/「ねこのきもち」2018年12月号『年末年始、かかりつけの診療時間外、いざというときのための夜間救急病院』
(監修:ひがし東京夜間救急動物医療センター センター長・獣医師 上野元裕先生)
イラスト/山村真代
文/sorami
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