言葉を話さない猫は体の不調がわかりにくいですが、猫の体から排出されるオシッコには、“病気のサイン”があらわれやすいため、日ごろからよく観察することが大切です。
今回は、オシッコの異変で気づく、猫に多い5つの病気をご紹介します。
オシッコの異変で気づく猫の病気(1)尿石症
「尿石症」とは、腎臓や尿管、膀胱、尿道に結石ができ、排尿障害を起こす病気です。猫は体の構造上、オシッコが濃くて少ない傾向があり、さらに体質や生活習慣などで濃度が上がると、尿中の成分が凝縮して結石ができやすくなります。
尿石症はこんなオシッコの異変に注意!
オシッコが少量しか出ない、あるいはまったく出ないときは尿石症の疑いがあります。また、ミネラルの濃度が高いと結晶化して、オシッコがキラキラしたり濁って見えたりするほか、結石が粘膜を傷つけてオシッコに血が混じり赤くなることが。
膀胱や尿道に結石ができている場合は、痛みからトイレの中でうずくまる、頻繁にトイレに行くなどの様子も見られるでしょう。
オシッコの異変で気づく猫の病気(2)膀胱炎
「膀胱炎」とは、オシッコがたまる膀胱に炎症が起こる病気です。猫の場合、ストレスが関係していると考えられているものの、はっきりとした原因は不明の「特発性膀胱炎」が多い傾向に。また、膀胱内の結石や、細菌が侵入して発症することもあります。
膀胱炎はこんなオシッコの異変に注意!
猫が膀胱炎になると、オシッコがチョロチョロと少量しか出ない、残尿感からトイレ内に座ったり外に出たりを繰り返す、頻繁にトイレに行く、オシッコに血が混じって赤くなるなどの様子が見られます。細菌が原因の場合は、オシッコのニオイがいつもと違うと感じることもあるでしょう。
オシッコの異変で気づく猫の病気(3)糖尿病
「糖尿病」とは、すい臓でつくられるインスリンが不足して、細胞に必要な糖を取り込めず、全身にさまざまな悪影響を起こす病気です。悪化すると失明したり、足に神経障害が出たりすることも。肥満や中高齢の猫がかかりやすく、完治が難しい病気ともいわれています。
糖尿病はこんなオシッコの異変に注意!
初期の糖尿病では、糖を多く排出しようとして、水をよく飲むようになるため、オシッコの量や回数が増えるほか、色が薄く(透明に近い薄い黄色)なる傾向に。また、オシッコのニオイがいつもと違うと感じることもあるでしょう。
オシッコの異変で気づく猫の病気(4)慢性腎不全
「慢性腎不全」とは、オシッコをつくる腎臓が正常に機能しなくなり、血液中の老廃物を体外に出せなくなる病気です。初期症状はほとんど見られませんが、中期になると多飲多尿の症状が見られます。慢性腎不全を発症する猫の大半は高齢猫で、一度発症すると完治は望めません。
慢性腎不全はこんなオシッコの異変に注意!
慢性腎不全になると脱水症状を起こし、のどの渇きから水をよく飲むようになるため、オシッコの色は薄く(透明に近い薄い黄色)、ニオイもあまりしなくなる傾向があります。また、老廃物を排出するためにオシッコの量や回数が増え、排尿ポーズを長時間とる猫も。高齢猫の場合はトイレに間に合わず、粗相(そそう)してしまうこともあるでしょう。
オシッコの異変で気づく猫の病気(5)肝臓病
「肝臓病」とは、肝臓に炎症が起きたり、細胞が壊れたりして肝臓の機能が低下し、全身に障害があらわれる病気です。肝臓で分解された物質は尿中に排泄されるため、オシッコの異変が肝臓病の診断の手掛かりになることがあります。
肝臓病はこんなオシッコの異変に注意!
肝臓の機能が悪いと、ビリルビンという成分が尿中に出るため、濁ったようなオレンジ色のオシッコになる猫もいます。
ふだんから愛猫のオシッコをよく観察することで、病気の早期発見につながることがあります。ぜひ参考にしてみてくださいね。
参考/「ねこのきもち」2017年5月号『出たもの企画前編 健康のバロメーター 大切なことはオシッコが教えてくれる ふろくの使い方も』(監修:聖母坂どうぶつ病院獣医師 鵜飼佳実先生)
文/ハセベサチコ
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