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隣のご飯は美味しそう? ししまるが妹分まるこのご飯をつまみ食いしたお話【連載】渋ネコししまるさん #136

 2階の部屋から抜けだし階段を駆け下りた、ししまるの妹分まるこ。ししまる用自動給餌器に向かうと、残っていたカリカリフードをつまみぐい。ポルターガイスト現象のごとく突然響いた「カリッ」という音に、箱から顔を上げて驚いていたのは、我らがししまるです。
「秘蔵のカリカリを食べたのはだれだ?」
 せっかくなので、同じ部屋でご飯をあげてみることにしました。プランはこうです。

1 ししまるにご飯をあげる
2 離れたところでまるこにご飯をあげる
3 二匹の間で見守る

 早速試してみると、最初ししまるは自分のご飯にがっついていたのですが、まるこの皿にフードを入れると、音に反応してこちらの皿へやってきました。

 自分のフード皿を取られてしまったまるこ。すると今度は、ししまる用のご飯に向かって走って行ったのです。
「ん?そのカリカリの音は…」
「ししまるのごはん!食ったるで!」
 予行演習でもしていたかの様なスムーズさで、ご飯の交換会をした二匹。その様子に失笑した僕ですが “食事内容が違うのでやっぱりそれぞれのご飯を食べて欲しい” とまるこを止めようと手を伸ばすと、まるこは腕の間をするりと抜けて自分の皿へと戻り、一方のししまるは押し出されるように元いた場所へと戻っていきました。
「やっぱりあのご飯が気になる…」
 無事に、ししまるもまるこも自分の皿に。

 しかし、ししまるはまるこのご飯が忘れられないのか、自分の皿へと戻る途中も恨めしそうに振り返っていました。ご飯入れの前で「もっとちょい足ししてクレ」と背中で語るししまる。僕はその哀愁漂う猫背を優しくなでました。

“背中をなでるのはね、これ以上のちょい足しは無い意味なんだよ、ししまる”

 僕の気持ちを理解してくれたのか、ししまるは目の前のご飯を黙々と食べ始めました。食後は空になったまるこの皿を舐めるように調べてから、箱へと戻っていきました。

 いつか一緒の部屋で暮らす日もあるかも知れない二匹ですが、それはまだ先のようです。

Taco(たこ)プロフィール

東京在住の漫画家・イラストレーター・キャラクタデザイナー。
「ちいさな猫を召喚できたなら」「3匹のちいさな猫を召喚できたなら」「ぷっちねこ。」(徳間書店)など、好評発売中。「ちいさな猫を召喚できたなら」は重版後、中国版・韓国版・インドネシア版も発売。
現在、Web上では不定期に新作漫画を更新中。詳しくは以下のSNSへ。
・Instagram
 Tacoのインスタ: @tacos_cat
 ししまるのインスタ: @emonemon
・Twitter@taco_emonemon
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