高温多湿が苦手な猫。気温や湿度が急に上がると、夏バテや熱中症になるおそれがあります。愛猫を夏の暑さから守るには、室内環境を工夫することが大切です。今回は、夏バテと熱中症の違いや室内環境の整え方などを、獣医師の小林清佳先生に伺いました。
夏バテと熱中症の違いは?
夏バテ
夏バテは、食欲不振や嘔吐・下痢など、夏の暑さによって引き起こされる体調不良の総称です。夏バテは数日から数週間かけて、ゆるやかに体調不良が進行していきます。ほかの病気の症状との区別が付きにくいため、愛猫の体調に異変を感じたら、早めに動物病院で診察を受けましょう。
熱中症
一方熱中症は、高い気温や湿度によって体温が上昇し、体温の調節機能がうまく働かなくなる状態のことです。急激に体調が悪化し、重症化すると意識を失ったり、最終的には命を落としてしまったりする場合も。熱中症と疑われる症状が出た場合は、速やかに動物病院へ連絡し、獣医師の指示を仰ぎましょう。
室内の温度や湿度を整えよう
愛猫を夏の暑さから守るためには、室温の調整がとても大切です。短時間の暑さでも熱中症になることがあるため、天気予報を確認して、一日の気温や湿度の推移を把握しておきましょう。
猫にとって、室温は28~29℃、湿度は50%程度が理想だといわれています。外がそれほど暑くなくても、室内の環境によって温度や湿度は変化しやすいので、エアコンやサーキュレーターを使って室温が一定になるよう工夫してくださいね。
また、室内が涼しくても、直射日光が当たる窓辺だけ暑くなることがあります。日当たりのいい窓がある部屋は、カーテンを閉めることで室温の上昇を抑える効果もあります。ただし、布は熱がこもることがあるので、暑い日はエアコンも併用して適正な温度になるよう調節してください。
おうちの中を猫が移動しやすくしよう
先ほど紹介した猫が快適に感じる温度は、あくまでも目安です。猫によって感じ方は違うので、冷房の効いた部屋が「寒すぎる」と感じている場合も。猫がより快適な場所に自分で移動できるよう、各部屋のドアを開放しておくといいでしょう。
猫は涼しい場所だけでなく、逆に冷えすぎを解消できるような場所も好みます。
クローゼットの中や浴室、廊下や階段などが好まれやすい傾向にありますが、浴槽の水は抜いておく、廊下や階段には脱走防止柵を設ける、布を噛む癖がある猫にはクローゼットは開放しないなど、猫が移動する可能性がある場所の安全対策は万全に。
乾燥した暑さには強いといわれている猫ですが、高温多湿は苦手です。愛猫が夏バテや熱中症にならないよう、日頃から室内環境には気を付けてあげましょう。
お話を伺った先生/小林清佳先生(モノカどうぶつ病院院長)
参考/「ねこのきもち」2022年7月号『夏バテ・熱中症を防ぐための おうちづくり』
文/東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。