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猫に多いがん「リンパ腫」最新の治療法を獣医師が解説

猫がかかりやすい病気の事は、飼い主さんならよく知っておきたいもの。この記事ではそんな病気の解説のほか、実際に体験した飼い主さんの「気になりながら聞けずにいた疑問」について重本先生が回答! 

今回は「リンパ腫」の予防法や気を付けるべきことは?といった疑問を取り上げます。
お話をお伺いした先生

重本 仁先生
王子ペットクリニック院長(東京都北区)

リンパ腫ががん化し、全身どこにでもできる

イラスト/はなさきロージー
急激な体重の減少や食欲不振は、リンパ腫のサインかもしれません
リンパ腫は血液のがんで、白血球の中のリンパ球とよばれる細胞が、がん化したもの。造血器(血液をつくる臓器)に見られる腫瘍の大半がリンパ腫で、皮膚やリンパ節、腸や腎臓など、あらゆる部分にできるのが特徴です。

リンパ腫には種類があり、猫の場合は腸などにできる「消化器型」がもっとも多く見られます。そのほか、胸の中のリンパ節が腫れる「縦隔型」、体表のリンパ節が腫れる「多中心型」、リンパ節以外の器官・組織にできる「節外型」などがあります。

治療法は、リンパ腫の種類によりますが、抗がん剤を使用する化学療法が中心です。がんのできている部位によっては、腫瘍を小さくしていく放射線療法や、外科手術で病変部を切除するケースもあります。
おもな初期症状
・急激に体重が減少する
・頻繁に嘔吐する
・下痢が続く
・食欲不振

飼い主さんからの疑問「そこが知りたい」① 


下痢に出血も見られ、かかりつけの動物病院で受診すると、血液検査などを受けて様子を見ることに。
その後、体重減少で数回受診しましたが、原因不明のままだったので思い切って転院。
そこには獣医腫瘍科認定医の先生がおられ、内視鏡検査などを受けてリンパ腫と判明しました。
1年余りの闘病の末に旅立ちましたが、どのタイミングでセカンドオピニオンを考えるのがベストだったのでしょうか?

滋賀県 H・Yさん
チェリーくん(オス・享年10才/スコティッシュフォールド)

※リンパ腫と診断されたのは9才当時。

今の治療を続けていいのか、と 悩んだときがベストな タイミングでしょう

イラスト/はなさきロージー
獣医腫瘍科認定医は、インターネットなどでも探せますが、かかりつけの獣医師から紹介してもらうのが一番。その場合、猫の治療歴をセカンドオピニオンの獣医師に伝えてもらえるので安心です
セカンドオピニオンとは、治療中の病気について、ふだん診てもらっている主治医以外の獣医師から意見をもらうこと。がんのように重い病気になると、治療の選択肢は多岐にわたることが多いもの。愛猫の治療法を最終的に決断するのは飼い主さんなので、悔いが残らないように検討するといいでしょう。

今の治療を続けていいのかと、飼い主さんが悩んだときが、セカンドオピニオンを検討するタイミング。チェリーくんが診てもらったように、全国には専門性の高い獣医腫瘍科認定医がいますから、そのような獣医師を探すのも一案です。猫のがんの事例を多く知っているため、最適とされる選択肢を提案してくれる可能性もあります。

飼い主さんからの疑問「そこが知りたい」②


一昨年、嘔吐と下痢が続き、詳細な検査を受けることに。
その結果、獣医さんから「消化器型のリンパ腫」といわれ、現在、症状は安定しています。
2日に1回の抗がん剤と、ときどきステロイド剤を投与していますが、病気が進行したら
どのような治療が考えられますか?

東京都 霜田ちとせさん
パンコくん(オス・12才)
※リンパ腫と診断されたのは10才当時。

今と異なる 抗がん剤を用いる、 レスキュー療法があります

イラスト/はなさきロージー
抗がん剤は薬の種類によって、注射や点滴のタイプと、飲み薬のタイプがあります。注射や点滴のタイプは動物病院で投与し、副作用が出ないか様子見が必要です
リンパ腫は、発生した部位や病変の広がり、悪性度などを把握したうえで治療が行われます。なお、パンコくんのような消化器型リンパ腫は、抗がん剤を投与するのが一般的です。

現在の抗がん剤治療の効果が減少した場合は、レスキュー療法を試すことになると思います。レスキュー療法とは、これまで投与していたものとは異なる抗がん剤を用いる治療法です。抗がん剤によっては嘔吐・下痢などの副作用を起こすことがあるため、その場合は吐き気止めなどの投与も必要。通院回数も多く飼い主さんは大変ですが、治療を続けることで比較的良好な状態を保ちながら長生きできる猫も。獣医師とコミュニケーションをとりながら、愛猫にとってベストな治療法を考えていきましょう。
先生、ご回答いただきありがとうございました。ご紹介した飼い主さんのエピソードは、あなたの愛猫に起こる可能性もあります。いざというときに思い出し、役立ててくださいね。

お話を伺った先生/重本 仁先生(王子ペットクリニック院長)
参考/「ねこのきもち」2022年5月号『ねこに多い病気、そこが知りたい!』
文/marihey
イラスト/はなさきロージー
※この記事で使用している画像は2022年5月号『ねこに多い病気、そこが知りたい!』に掲載されているものです。
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