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愛猫にハゲが!? 猫の「心因性脱毛症」飼い主が気を付けるべきこと

猫がかかりやすい病気の事は、飼い主さんならよく知っておきたいもの。この記事ではそんな病気の解説のほか、実際に体験した飼い主さんの「気になりながら聞けずにいた疑問」について重本先生が回答! 

今回は「心因性脱毛症」の愛猫の飼い主さんが気を付けるべきことは?といった疑問を取り上げます。
お話をお伺いした先生

重本 仁先生
王子ペットクリニック院長(東京都北区)

ストレスが原因となり、過剰に毛づくろいをして起こる皮膚疾患

イラスト/はなさきロージー
猫は不安やストレスを感じると、同じ行動を繰り返して、気持ちを落ち着かせようとします。とくに多いのは前足・内もも・お腹・お尻などのなめやすい部位を、過剰に毛づくろいする行動です。猫の舌はザラザラしているため、やがて特定の部位が脱毛し、さらには皮膚炎を起こすケースが。また、過剰な毛づくろいだけでなく、毛を噛み切る猫もいます。そのような心因性脱毛症は、皮膚疾患の一種です。
脱毛の症状が見られた場合は、ほかの病気の可能性もあるので、まずは動物病院で受診を。検査を受けて心因性と診断されたら、ストレスの原因を取り除くことが一番の治療法です。また、心を落ち着かせる効果が望めるサプリメントや、薬が処方されることもあるでしょう。
《おもな症状》
●体の一部分を過剰に毛づくろいする、毛をガジガジと噛み切る
●部分的に脱毛する、毛が薄くなる

飼い主さんからの疑問「そこが知りたい」① 


前足とお腹の毛をしきりになめて、皮膚が見えた時期があります。
動物病院で検査をしてもらいましたが、異常は見つからず…。
獣医さんから「環境の変化によるストレスでは?」といわれましたが引っ越しなどはしておらず、心当たりがありません。
脱毛につながりやすいストレスはどのようなものですか?

宮城県 K・Tさん 
Sくん(オス・14才/アメリカンショートヘアー)
※脱毛の症状で受診したのは8才当時。

長く続く騒音や飼い主さんの生活パターンの変化もストレスに

猫が感じる大きなストレスに住居環境の変化があげられます。たとえば、引っ越しや模様替えなど。そのほかは、家の外の工事などの騒音、留守番時間が長くなるなど飼い主さんの生活パターンの変化、家族構成の変化、新しい猫を迎えた、慣れ親しんだおもちゃを取り換えた、などが考えられます。
ちなみに心因性ではありませんが、最近は柑橘系の洗浄剤(クリーナー)による、皮膚トラブルが増えています。柑橘類に含まれる成分に猫が触れることで、皮膚炎を起こすケースがあるので、洗浄剤で床掃除などをした際は注意が必要です。また、みかんの皮に含まれる成分が、猫に悪影響を及ぼすという報告もあります。
イラスト/はなさきロージー
外から聞こえる道路工事の音や、バイクや車のエンジン音が苦手な猫は多いもの。数時間に及ぶ騒音は、聴覚に優れた猫には、かなりのストレスに。音源から遠ざかれるようにしたり、安心して身を隠せる場所をつくるなど、工夫して

飼い主さんからの疑問「そこが知りたい」②


最近、体に毛が薄くなっている部分を見つけて受診。
獣医さんからは「感染症やストレスなどが原因に考えられるが、患部が小さいので少し様子見しましょう」といわれました。
その後2週間で治りましたが、一時的なものだったのでしょうか?
もしストレスが原因だった場合、再発しやすいですか?

静岡県 K・Hさん
Mちゃん(メス・5才/シャム)
※脱毛の症状で受診したのも5才当時。

短期間で改善したなら一時的なものと考えていいでしょう。 また、再発しやすいです

心因性脱毛症は、脱毛の症状が見られる感染症などの病気を、検査を経て除外してから診断されます。Mちゃんのように短期間で症状が改善され、過剰に毛づくろいしている様子が見られなければ、何らかの原因で一時的に皮膚炎を起こして毛が薄くなっていたと考えていいでしょう。
なお、ストレスが原因で起こる心因性脱毛症の場合は、そのときと同様の強いストレスを感じると、再発することがあります。似た症状にアレルギー性皮膚炎などもあるので、今後もブラッシングの際に被毛の状態をチェックして、気になることがあれば早めに受診することをおすすめします。

イラスト/はなさきロージー
脱毛など皮膚の異変は、ブラッシングやスキンシップしているときに見つけやすいもの。ふだんから猫の体に慣れながら、皮膚の状態をチェックする習慣をつけましょう
先生、ご回答いただきありがとうございました。ご紹介した飼い主さんのエピソードは、あなたの愛猫に起こる可能性もあります。いざというときに思い出し、役立ててくださいね。

お話を伺った先生/重本 仁先生(王子ペットクリニック院長)
参考/「ねこのきもち」2022年4月号『ねこに多い病気、そこが知りたい!』
文/SAY
イラスト/はなさきロージー
※この記事で使用している画像は2022年4月号『ねこに多い病気、そこが知りたい!』に掲載されているものです。
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