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【動画つき】獣医師が解説する子猫の鳴き声のヒミツ〜鳴き声の種類と対処法〜

子猫は自分の力だけでは生きていけないので、親猫にこうして欲しいという要求を鳴き声で発信しています。微妙な鳴き声の違いに気づけるようになれれば、要求している事柄や、小さな変化に気付けるようになります。
また、飼い猫は成猫になっても、飼い主に対してかなり鳴き声を使います。これは一説によると猫の親子間のコミュニケーションを人とのコミュニケーションに応用しているからと言われています。子猫の時から鳴き声をいくつかを把握することは、成猫になってもコミュニケーションをとる上で役立ちます。

見津 友啓 先生

1)基本的な猫の鳴き声の種類

猫の声は今のところ16~20種類ほど動物学者によって分類されています。
これらは猫の発声をソノグラフ分析という解析で分類しているので、人の耳で分かるものからうまく聞き分けられないものまで含まれています。その研究では基本的な均一もしくは純粋な発声のグループと、2つから3つの純粋発声が混ざった混合発声からからなるグループにタイプを分類されています。

以下にまずは成猫で分類されている鳴き声のいくつかを紹介していきます。

■Murmur 口を閉じてくぐもった声

リズムカルな拍動を伴う。社会的交流、懇願、非威嚇的といった意思を表す。

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■Growl うなり声

低い喘鳴の声で長い。敵対的な意味を持つ。

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■Squeak キーキー声

きしむような高い声。食餌の予感に関係したり、交尾後の雌が発したりする。

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■Shriek キンキン声

大きな高い声。痛みや恐怖、攻撃行動を意味する。

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■Hiss シューという声

敵対的な表情で口を開け、歯をむき出す。攻撃的な態度だが守勢的であからさまな攻撃行動は避ける。警告的な意味合いと考えられる。

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■Spit フーッとうなる

Hissの前後の短い声。

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■Chatter 歯をカチカチ鳴らす

捉えられない獲物を目の前にした時など欲求不満な時に発せられる。TweetやTweedle 、Chirpといった鳴き声も同様の意味合いがあると言われる。

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■Purr 喉をゴロゴロ鳴らす

満足、吸乳、甘え、状況によっては不安や緊張時に見られる。

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■Chirr チャー声

母猫が子猫を呼ぶ声。コロコロと鳴く。BrrpやMhrnと呼ばれる様々なチャー声を発しながら子猫に近づく様子が観察される。これらの鳴き声には子猫の吸乳、排尿、排便を刺激する働きがあるかもしれない。猫同士でも友好的で相手を呼び寄せるときにも発せられる。

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■Chirp チーチー鳴く声

母猫のBrrpやMhrnと呼ばれる様々なチャー声と同様の効果があると考えられている。
また、Chatterのように欲求不満の時に発せられることもある。

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■Mew ミャオ

高い、中程度の長さの声。位置や確認、励ましといった母猫と子猫の間での
相互作用に関係する。

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■Moan うめき

低く長く続く声。世話をしたがる、吐き戻し、懇願を意味する。

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■Meow ニャオ

おそらく猫の鳴き声の中で最も多くの変異があると考えられている。
あいさつ、世話したがる、交流を求める意味があると考えられる。猫が自分の存在を示したり、人間の注意を引こうとしたり、欲しいものが欲しいときに不利が生じると発する。

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■Call コール

非常にうるさい口を閉じた状態で発せられる口にこもった声。発情中で交尾を求める雌や戦いの最中の雄で確認される。

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■Grunt ブーブー鳴く声

特別難しいことをしていない限り、成猫ではあまり見られない。出生時によく聞かれる。

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2)子猫の鳴き声のパターン

そもそも子猫は特にどういう時に鳴くのでしょうか。生後二か月くらいまでは、基本的に食餌、排泄、不安、に関連したものが中心になるでしょう。
4カ月くらいからは感謝に対しても発声するという報告もあります。成長するにしたがって行動や感情が発達し成猫と同様に怒りや恐怖の度合いで鳴き声を使い分けたり、遊びを要求したりするようになってきます。
それぞれの要求や感情別に見ていきましょう。

1.食餌

食餌に関してはお腹がすいて欲しがっている時、吸乳中に鳴き声が聞かれます。特に小さい時はミーミー鳴いていることがほとんどですが、大きくなるにつれていわゆるキーキー声も含まれるようになってきます。
お乳を飲むときにゴロゴロ喉を鳴らしながら乳を揉む行為が見られ、これは乳汁の分泌を促進するためと考えられているようです。

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2.排泄

自分でまだ排泄できない時はもちろん、自分で排泄できるようになった時や、成猫になっても排泄の前後で鳴くことがあります。

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3.不安

母親や飼い主がいない、また自分の身動きが取れない時などに発することがあります。
生後二か月以内だと鳴いているようなのにしっかりと声が発せられていないことがあります。これは人間には聞き取れない超音波として発せられています。

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4.遊びたい

遊びたいときも、飼い主に対して鳴き声を交えて訴えてくることが多いです。ケージなどに入れていると出してほしいと要求して鳴くことも多いです。

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5.怒り・恐怖

怒り関しては猫に詳しくない人でもああー怒っているなとわかるのではないでしょうか。
子猫でも生後1カ月もすれば怒りや恐れからシューだとかフーとうなるようになってきます。ただし飼い猫でまだ小さいときは警戒心が薄く、好奇心が旺盛なので怒る機会というのは少ないことが多いです。ただし野良猫の子猫は警戒心が強いので威嚇してくることがよくあります。

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3)子猫が鳴き止まない時のパターンと対処法

ミーミーかわいく鳴いているうちはいいですが、色々試しても鳴き止まないと不安になりますね。子猫と言っても大きくなってくると声量もかなり大きくなってくるため、ご近所への迷惑も不安になります。子猫が泣き止まない理由としてはどういったことが考えられどう対処するのが良いかお話ししていきます。

1.食餌・排泄に問題がある

なかなか、声だけで何を要求しているのか完全に判別するのは初めのうちは難しいことが多いので、まずは食餌、排泄について確認してみましょう。ご飯を食べさせ忘れていないか、量は足りているか、好き嫌いで残していないかをチェックします。

ご飯はばっちりということであれば排泄の確認をします。まだ自分で排泄をうまくできない時期であれば、食後に訴えてくることがあるでしょう。肛門や陰部を刺激して排泄を促しましょう。ある程度成長して訴えてくる場合は、トイレが清潔に保たれているか確認してみましょう。トイレがきれいで使える状態でも排泄前や排泄時、排泄後に大騒ぎする子はけっこう多いです。

2.遊び足りない・寂しい

子猫で食餌、排泄以外で鳴きやまない原因として多いのは遊び足りない時や寂しいときです。子猫の時は遊び盛りなので、いっぱい遊んであげましょう。昼間や寝る前に遊んであげられないと夜鳴きがひどくなる原因となることもあります。これはもちろん成猫にも言えることです。
寂しくて不安になっていることで鳴いているようであれば、母猫が子猫にするようにやさしく声をかけて念入りにスキンシップを取ってあげてください。

3.ケージから出たい

ケージに入れていると出してほしいと鳴いてせがむことがあります。こういった時は出してあげたくなりますが、食餌や排泄がしたそうとかではなく、単に出してほしいと鳴いているのであれば、あきらめて鳴きやむまで出さない方が、ケージから出たい時に鳴くという習慣がつかずに済みます。
鳴きやんだら出してあげることでおとなしくいい子にしていれば出してもらえると理解するようになります。ケージでいい子にしていられるようにするトレーニングは周りに迷惑がかからないよう、日中にするのが良いでしょう。

4)危険信号かもしれない子猫の鳴き声

とても幼い子猫は先述の通り、不安などの有害ストレスを受けると超音波で鳴くため声が聞こえないことがあります。ある程度成長している子であれば単に不安になっているだけのこともあるでしょうが、生後1カ月未満では注意が必要かもしれません。
ひどく弱ったりしていないか、体調の変化が無いか、環境の変化に対応できているか注意深く観察してストレスの原因を取り除いてください。

排泄に関して、子猫に多いというわけではありませんが、おしっこやウンチの排泄時に痛みを伴っているパターンもあり得るので、普段はそんなに鳴かないのに急に排泄前後で鳴くようになったり、排泄中にやたら鳴くようになったりしたら、一度病院に相談した方が良いでしょう。

生後3週まで難聴の子猫はそうでない子猫と比べ、鳴き声が大きく低いという報告があります。お家で生まれた子猫で他の子と比べて、大きい低い声で鳴く子猫は注意が必要かもしれません。

5)鳴き声の意味を知ることの意義

鳴き声の意味が分かっていると、当然子猫が何を求めているか気づくのが早くなります。
また、不安に感じている時に母猫の鳴きまねをして声をかけたり、母猫の鳴き声の録音を聞かせてあげたりすることで、うまくいけば早く不安を取り除くことができるかもしれません。
はじめに述べたように、飼い猫は成猫になっても鳴き声によるコミュニケーションを多用しています。鳴き声に対し人間がどういう反応をするかを学習して、人間を操作しているという説もあります。
鳴き声というのは猫のコミュニケーションツールの一つであり、理解することでお家の猫ちゃんとより深く意思疎通できるようになることでしょう。

まとめ

 子猫はその時々の感情や要求によって鳴き声を使い分けてコミュニケーションを図っており、飼い猫の場合は成猫になっても人とのコミュニケーションをとる上でその名残がある。
 特に若い子猫での声が聞き取れない鳴き方の時は強いストレスを受けている可能性がある。
 普段鳴かないタイミングでやたら鳴いたり、他の子猫と少し違う鳴き声を発する子猫は、何か異常をきたしている可能性もある。
 鳴き声によるコミュニケーションを理解することで、子猫との関係をより深く築くことができる。

今回色々な鳴き声を紹介しましたが、人間同様に猫それぞれ声色はそれぞれなので、大切なのは皆さんの家族である猫ちゃんが、どのタイミングでどのような鳴き声を発しているかよく観察することです。
どのような意味で鳴いているのかを考えながら観察することで、鳴き声の意味はもちろん、他のボディランゲージや表情も理解できるようになり、意思疎通がより深くなります。今まで気づけなかった異常にも気付けるようになるかもしれません。
子猫の鳴き声に耳を傾けることから猫との絆を深めていってはいかがでしょうか。
参考文献:
「犬と猫の行動学」 C.Thorne 監修 山崎恵子・鷲巣月美訳 (インターズー)
「動物行動医学」 K.Overall 著 森裕司監修 (チクサン出版社)
監修/見津友啓先生(パティ動物病院院長)
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