初めて猫と生活を始めようとしている飼い主さんは、何もわからずに不安を感じることも多いでしょう。気になる飼育費用をはじめ、飼い始めに最低限必要なもの、予防接種などについて、ビギナーの飼い主さんが知っておきたいことを紹介します。
猫の飼育費用はどのくらいかかるのか?
ねこのきもちで以前アンケートを実施したところ、各費用は、下記のような結果になりました。予想以上にかかっている費用はやはり医療費。そのほかに毎日の食費、消耗品の猫トイレやおもちゃにも、ある程度のお金はかかりますので、参考にしてみて。
・1年間の医療費の目安(持病のない健康な猫1匹の場合)
1万5000~1万9999円……29%
1万~1万4999円……23%
5000~9999円……14%
(持病のある猫の場合)
2万円以上……43%
1万5000~1万9999円……37%
1万~1万4999円……20%
・1カ月間の食費の目安(猫1匹にかかる1カ月のフード代)
2000~2999円……36%
1000~1999円……32%
3000~3999円……20%
4000円以上……12%
(療法食の場合)
3000~3999円……が61%
4000円以上……32%
・1カ月間の猫トイレ、おもちゃの費用の目安(猫1匹の場合)
トイレ砂代の平均500~1000円
おもちゃ代1000円以下が大半
猫を迎えてすぐに必要な猫トイレ
猫を家に迎える初日からなくてはならないのが猫トイレです。猫トイレには、トイレ容器とトイレ砂が必要です。トイレ砂は、猫が好んで使うことが最重要ポイントですが、飼い主さんの扱いやすさも考慮して選ぶといいでしょう。
・トイレ容器
猫用のトイレ容器には、大きくわけてトレータイプと屋根付きタイプがあります。また排泄物の処理がラクなシステムトイレも人気です。
・トイレ砂
おもに5タイプの素材があり、それぞれにメリットがあります。「鉱物系」のおもな原料は粘土鉱物・ベントナイト。固まりが強いので掃除がしやすく、自然の砂に近いので好む猫が多いようです。「木材系」は木や木粉が原料。消臭成分のフィトンチッドやヒノキを使用し、消臭効果が望めるものも。「紙系」はパルプ、再生パルプなどが原料。吸水性が高く、軽くて持ち運びがラクです。「食品系」の原料はおから、コーンスターチなど。土に戻せたり、水洗トイレに流せる製品もあります。「シリカ系」は脱臭・消臭効果が望めるシリカゲルが原料。粒にオシッコが吸収されるため、排尿のたびに尿の塊を捨てる必要がありません。
壁などを傷付けられないために爪とぎ器は必須
猫にとって、本来狩りの道具でもある爪をとぐことは本能です。完全には止められませんから、壁や家具などに爪とぎをされないように、爪とぎ器を用意しましょう。用意した爪とぎ器でとぐ習慣が付くと、壁や家具などが傷付けられる心配が少なくなります。市販されている爪とぎ器の素材は、おもに4種類あります。「段ボール素材」は安価な商品が多く、軽量なので持ち運びに便利です。「カーペット素材」は爪の引っかかりがよく、適度な抵抗感とやわらかさを好む猫もいます。「木素材」は、木くずは出ますが耐久性があります。「麻素材」は爪が刺さりやすく、ホコリやクズがあまり出ません。
食事は1日3回、猫用総合栄養食を与えるのが理想
人と同様に、猫も規則正しく、バランスのいい食事を摂ることが、健康維持の第一歩だと考えられます。日頃から、飼い主さんが猫の食べるものや、食事の回数をしっかり管理していきましょう。
・食事の内容
猫が食べるものは、たんぱく質、脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラルをバランスよく含んだ総合栄養食のフードが基本です。さらに、愛猫の年齢や体質に合ったフードを選ぶといいでしょう。総合栄養食にはウエットフードとドライフードがありますが、どちらを主食にしてもOK。
・食事の回数
健康維持のためには、胃などの内臓を休める時間をつくることが大切。食事は朝・晩・夜食の3回に決め、毎日同じ時間帯に食べさせるのが理想です。猫は夜行性のため、夜中から明け方にかけて行動が活発になり、食欲も増します。朝・晩は少な目に、夜食は多めになるように、フード量を調整しましょう。
コワイ感染症は子猫のうちからワクチンで予防を
感染症とは、ウイルス、細菌、カビなどの微生物が猫の体に侵入して増え、悪さをしてしまう状態。くしゃみ程度の軽いものから、死に至る重いものまで、さまざまな症状が現れます。感染しても猫が健康で抵抗力があり、ワクチン接種で免疫をつけていれば、深刻な状態になることはそれほどありませんから、きちんとワクチン接種をしておきましょう。完全室内飼いで外猫と接触する機会がない猫なら、基本は3種混合ワクチンです。これは猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症を予防します。ワクチン接種のタイミングは、1回目が8週齢、2回目が12週齢、3回目は1才の誕生日(もしくは2回目の接種から1年後)が理想。それ以降は獣医師と相談のうえ、定期的にワクチン接種をしましょう。
出典/「ねこのきもち」2011年4月号『みんなのデータを発表! 愛猫にお金と時間どれくらいかけてる?』(監修:花島秀俊先生)、同2016年5月号『愛猫の長生きと健康を「食」で応援しよう! 目指せ! “キャット・フード・マイスター”』(監修:高野のり子先生)、ねこのきもち特別編集「子ねこのきもち」『子猫が来ると決まったらコレを準備!』『人と猫が仲よく暮らすために慣れさせたいこと6』(監修:玉野恵美先生)、同『病気予防と健康管理のためにしてあげたいこと』(監修:野矢雅彦先生)