大好きなもののたとえで「猫にまたたび」という言葉がありますが、なぜ猫はまたたびが大好きなのでしょうか? またたびの正体やまたたびをもらった猫の反応、与えていい量、与える際の注意点などを、ねこのきもち獣医師相談室の岡本りさ先生に教えていただきました。
そもそも、またたびって何?
またたびとは、白くて小さな花を咲かせるマタタビ科マタタビ属のつる植物です。「夏梅」という別名で呼ばれることもあり、日本では山地などに広く自生しています。
またたびが猫に与える効果
またたびにはマタタビラクトンと呼ばれる臭気物質が含まれています。この物質が猫の口蓋(こうがい)の奥にある、フェロモンを感知するヤコブソン器官で感知されると、中枢神経を刺激して猫が興奮を起こします。また、またたびに含まれるフェニルエチルアルコールという物質の作用により、猫がヨダレを垂らすことも。
個体差がありますが、またたびを使った猫には次のような変化があらわれます。
またたびによる反応
- 興奮する
- ヨダレを垂らす
- またたびに体をこすり付けて喜ぶ
- のどをゴロゴロ鳴らして機嫌がよくなる
- 酔っ払ったようになる
なかには効かない猫もいる
またたびによる興奮はフェロモンを感知する器官が刺激されることによって起こるため、発情期を迎えていないメス猫や性的に未熟な子猫に与えても、あまり反応を示さないことがあるようです。
この興奮が性的興奮によるものなのかはわかっていませんが、去勢・避妊手術を受けた猫は発情しなくなり、またたびへの反応も薄くなる傾向があるといわれています。
何才から?またたびの適切な量
またたびは、嗅覚と神経系が充分に成長した生後6カ月~1才以降に与えるのがよいとされています。気になる場合は、かかりつけの獣医師に相談してみるといいでしょう。
猫に与えていい量
平均的な体重の成猫の場合、1回に与えていい量は0.5g程度(耳かき半量~1杯分)とされています。与える頻度は、多くても1週間に2回までにとどめ、連日与えるのは避けましょう。
厳密な適量は商品のタイプによって変わるため、パッケージに記載されている分量を守って使用してください。初めて与える場合は、既定の分量よりごくごく少量から始めると安心です。
与えてはいけない猫は?やり過ぎの注意点
またたびは強い興奮を伴うことも多く、体に負担がかかる場合があります。そのため、体調が悪くなるおそれがある、生後間もない子猫やシニア猫、心臓などに持病がある猫には与えないほうがいいでしょう。また、それ以外の猫でも、体調が悪いときや病気のときは使用を控えましょう。
なぜ?与え過ぎがいけない理由
袋をひっくり返すなどして、猫が大量のまたたびをかぶってしまった場合は注意が必要です。またたびは中枢神経を麻痺させて快楽を与えるので、麻痺のレベルが強いと呼吸困難に陥る心配が。脳に酸素が行き渡らない時間が長くなると障害が残ったり、命の危険にさらされたりするおそれがあります。猫に苦しそうな様子が見られた場合はもちろんですが、心配な場合はすぐに動物病院を受診しましょう。
猫の喜ぶ姿が見たくて、つい多めに与えたくなってしまうかもしれませんが、強い興奮を伴うまたたびの使用には注意が必要です。正しい与え方を知ったうえで、猫の体調と相談しながら安全に使ってくださいね。
(監修:ねこのきもち獣医師相談室 獣医師・岡本りさ先生)
参考/ねこのきもちWEB MAGAZINE『獣医師が解説|効かない猫も?またたびの効果・危険性・上手な与え方』
文/小崎華
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。