動物病院にいるときや、手術後に身に着けることが多いエリザベスカラー。どんな目的で作られた道具で、選ぶ際の基準はあるのでしょうか? 手術後以外もあると便利なエリザベスカラーの役割と慣れさせ方を、ねこのきもち相談室の原駿太朗先生に教えてもらいました。
エリザベスカラーとは? 役割と利用法
エリザベスカラーは、猫の患部を保護するための保護具です。傷口をなめたり、噛んだりするのを防ぐために着用します。
エリザベスカラーはケガをしたときや手術後に着用するイメージですが、皮膚に炎症や外傷のある猫がなめて悪化させるのを防ぐほか、点滴や検査を行うときに、人と猫がケガするのを防ぐために使用されることもあります。
そのほかには、猫に爪切りする際に噛まれるのを防ぐため着用することもできるなど、ふだんのお世話でも使い道があります。
エリザベスカラーの選び方
エリザベスカラーにはさまざまな素材や形があるため、それぞれの着け心地や保護力に差があります。そのため常備しているもののほかに、猫の症状や着用期間に合わせて負担が少ないものを用意してあげるといいでしょう。
素材や厚さによって、次のような違いがあります。
薄いプラスチック製
エリザベスカラーのなかで最も一般的なタイプです。素材の軽さから着けたときの違和感が少なく、数週間の着用でも使いやすいのが特徴です。消毒や洗浄をしやすいので衛生面も安心です。
厚いプラスチック製
充分な厚さと留め具の強度から、紹介する4種のなかで最も頑丈なタイプです。絶対に外れてほしくないときの着用に適しています。猫が噛んでも貫通しにくいので安心です。
薄い布製
プラスチックよりも軽く首にかかる負担は少ないですが、柔らかいので猫が患部をなめてしまうことも。そのため、数日程度の短期間使用に適しています。壁などにぶつかっても音が鳴りにくいので、音に敏感な猫におすすめです。
厚い布製
厚みがあり芯のある布タイプは、適度な柔らかさで生活しやすく、保護力が高めです。猫にかかる負担が少ないので、たとえば皮膚の症状など、継続的な治療が必要な場合に適しています。
怖がらない? 嫌がる猫の慣れさせ方
エリザベスカラーは顔まわりの動きが制限されるため、着用を怖がる猫もいます。できれば元気な時に時間をかけて慣れさせておくとよいでしょう。
まずは猫にニオイをかがせて、危険なものではないと認識させます。その後すばやく猫に着用させ、その状態でおやつを与えていい印象を与えましょう。徐々に着用する時間を延ばせば、猫も慣れていけるでしょう。
ふだんのお手入れにも役に立つエリザベスカラー。健康な猫には必要ないと思わず、ひとつ持っておくと便利でしょう。いろいろなデザインが市販されているので、SNSなどで探すと好みのものが見つかるかもしれません。
(監修:ねこのきもち獣医師相談室 獣医師・原駿太朗先生)
参考/「ねこのきもち」2022年5月号『教えて基本のき 術後意外も!あると便利なエリザベスカラー&術後服』
文/小崎華
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。