愛猫の体調が急に悪化した際、飼い主さんが慌てて何もできなければ、愛猫の命に関わります。普段から情報収集をして、準備と心構えをしておくことがとても大切です。
そこで今回は、急性嘔吐やけいれん、大量出血など、愛猫の急変時にできる応急処置の方法やその際の注意点を、獣医師の小林清佳先生に伺いました。
急性嘔吐
何度も繰り返し激しく吐く、急性嘔吐。何度も激しく嘔吐してぐったりと横たわっている場合、そのままさらに吐いてしまうと吐物を誤嚥するおそれが。吐きそうなしぐさをしたら、優しく猫を支えて起こし、吐きやすい体勢を取らせてあげましょう。
また、吐いた後に水やフードを与えると、胃の検査の妨げになります。何も与えず、速やかに受診しましょう。
けいれん
3才までに最初の発作があり、獣医師よりてんかんがあるなどの診断を受けている場合は、テレビや強い照明を消して静かにしましょう。また、てんかんでもそうでない場合でも、可能ならスマートフォンなどで動画を撮影してください。持続時間を計りながら、眼球の動きやその他の症状を映しておき、けいれんがおさまったら速やかに受診を。
また、舌を噛まないようにと布などを口に入れる飼い主さんがいますが、誤嚥につながる大変危険な行為なので、しないように。
大量出血
事故や鋭利なもので切ったなどの理由で大量に出血している場合、意識がなければ、患部を布で圧迫して止血しながら、すぐに受診してください。意識があると猫が暴れてさらに出血してしまうので、大きめのバスタオルなどで全身をくるみ、猫の動きを抑制しながら動物病院に行きましょう。
後躯麻痺
後ろ足に力が入らずブランとした状態になる、後躯麻痺。これは、主に肥大型心筋症にともなって見られる症状で、心臓でできた血栓が足の付け根の動脈に詰まり、突然後ろ足が麻痺してしまうのです。
血栓が脳や心臓に流れてしまうと命に関わるので、なるべく猫を動かさないようにしながら、至急受診を。猫が暴れてしまうときは、バスタオルなどでくるんで連れて行きましょう。
開口呼吸
口を開けて苦しそうに呼吸することを、開口呼吸といいます。これは、なんらかの理由で肺の機能が落ちて、体に酸素が十分行き渡っていない状態なので、かなり危険です。少しの猶予もないので、猫の姿勢を変えないように、大至急動物病院に行きましょう。
猫を連れて行くときは、猫を入れたキャリーケースを大きなポリ袋に丸ごと入れ、30秒~1分に1回くらいのペースで酸素缶をスプレーする即席の「酸素室」を作ると、延命につながることがあります。
急変時に愛猫を助けられるかどうかは、飼い主さんの行動にかかっているといっても過言ではありません。日頃からあらゆる事態を想定した備えをしておくことが、愛猫を守ることにつながりますよ。
お話を伺った先生/小林清佳先生(モノカどうぶつ病院院長)
参考/「ねこのきもち」2022年2月号『愛猫に突然の異変! そのとき、パニックにならないために準備できること』
文/東里奈
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。