猫がいる家に人の赤ちゃんが来ると、先住猫が赤ちゃんを見守るような素振りを見せることがあります。猫は群れで行動しない動物といわれているのに、なぜ、赤ちゃんを大切に扱ってくれるのでしょうか? その理由を動物看護師の小野寺温先生に教えてもらいました。
猫の思考は自分が軸になっている
猫は基本的に単独行動をする動物です。そのため、猫が仲間などの他者のために行動することはあまり考えられません。どのような行動をとるべきか決めるときの軸は、すべて自分にあります。
自分にとってより快適で、より安全と判断した行動をとることで、自分の身を守っているのです。
こちらのお写真は、初めて赤ちゃんに会ったときの福太郎くんです。そっと様子をうかがっていますね。
例外で、子育て中の母猫は子猫のために行動する
猫は自分中心に行動する動物といっても、なかには例外もあります。子育て中の母猫は、子猫のために行動します。子供のために獲物を取り、近づいてきた猫に威嚇するのです。
Renardちゃんの家にも赤ちゃんが来ました。新しい家族が増えて、不思議そうに眺めています。
人の赤ちゃんに母性が湧くこともある
もうひとつの例外として、猫は幼い存在に対して、母猫の気持ちになって行動することがあるようです。母猫じゃない猫が人の赤ちゃんを守ろうとするような行動を見せるのは、そうした背景も考えられるでしょう。
スヤスヤ眠る赤ちゃんのそばで優しい目をむけているのは、茶々丸くん。一番小さい赤ちゃんを見守るのが、茶々丸くんの仕事になりました。
家猫が人の赤ちゃんを見守るような行動をとるのは、単なる偶然ではありません。幼い存在を前に母性が目覚め、守ろうとしているのでしょう。赤ちゃんの護衛が1匹増えたと思うと家族も心強いですね。
お話を伺った先生/小野寺温先生(帝京科学大学講師 動物看護師)
参考/「ねこのきもち」2022年8月号『喜怒哀楽に嫉妬や感謝… 専門家が判定します 猫にある? ない? この気持ち』
文/小崎華
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。