猫がなめる行動に身づくろい以外の意味があった　　猫や人をなめるときの心理は

猫は舐めるしぐさをよくします。舐めるという行為は、きれい好きな猫の毛づくろいという意味合いだけでなく、さまざまな感情をあらわしていることがあることを知っていますか？
この記事では、猫のかわいらしい舐めるしぐさについて、どんな気持ちが隠れているのかを、哺乳動物学者の今泉忠明先生に伺いました。

猫が自分の体を舐める理由

気持ちを落ち着かせている？キジトラのこたろー君 — ねこのきもち投稿写真ギャラリー

猫が体をよく舐めるのは、野生時代に自分の居場所が敵に知られないよう毛づくろいをして、徹底的にニオイを消す必要があったことの名残のようです。

また、猫の毛づくろいにはブラッシングの意味もあります。
「猫の体をなでてあげたら、その場所を舐め始めた」という経験をしたことはありませんか？　これは、なでられたことが嫌なのではなく、毛並みをもとに戻すために舐めているのです。

猫の起きている時間の半分近くを費やすといわれる毛づくろいには、ほかにも血行促進や体温調節、失敗したときに気分を落ち着かせる「転移行動」の意味合いもあります。また、一説では被毛に当たった日光でできる「ビタミンD」を、なめることで接種する効果もあるといわれています。

猫の舌はなぜザラザラなの？

猫の舌のザラザラは、約300の突起で構成されている「糸状乳頭（しじょうにゅうとう）」と呼ばれるもの。これは、野生時代、獲物の肉をそぎ取るために発達しました。歯と同じ役割で、生後３カ月頃から生えてきます。

飼い主さんを舐めるのは「親愛のシルシ」

猫が飼い主さんの手や顔を舐めるのは、信頼している相手だから。舐めるという行為で「好きだよ」と伝えているのかもしれません。

また、「もっとなでてほしい」「早く起きてほしい」といった要求を舐める行為で示すこともあります。そのほか、舐めることでニオイを付けて、大好きな飼い主さんを「自分のものだ」と安心しようとしている可能性もあります。

ほかの猫を舐めるのも親愛を込めて

自分の体そっちのけで相手を舐めるキジトラの美幸ちゃん — ねこのきもち投稿写真ギャラリー

多頭飼いでよく見られるのが、お互いを舐めあう姿ではないでしょうか。猫は相手を舐めることで親愛の気持ちをあらわし、舐めてニオイを交換することで信頼関係を築きます。そのため、本当に信頼できる相手、家族猫や仲のよい猫同士でしか見られません。
また、母猫や成猫が子猫を舐めるのは、お世話の意味合いもあります。

猫の舐めるしぐさは、自分の毛並みを整えて落ち着くためだったり、相手との絆を深めたりとさまざまな効果があります。猫に舐めてもらったら「信頼しているよ」のサインかも。ますますかわいい存在になりそうですね。

お話を伺った先生／今泉忠明先生（哺乳動物学者川崎市環境影響評価審議会委員「ねこの博物館」館長日本動物科学研究所所長）
参考／「ねこのきもち」18年2月号『よくする行動の謎にせまる！猫を解き明かす5つのN』
文／小泉美筆
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

CATEGORY 猫と暮らす

2023/03/02 UP DATE