野生の猫は、年に1回、気候が穏やかな時期に子猫を生みます。子猫を生むまでの冬の終わりから春にかけての期間は、猫の発情、つまり「恋の季節」といえるでしょう。
ちなみに飼い猫は、野生の猫より多く、年に2、3回発情期があります。「完全室内飼いだし、去勢・避妊手術をしているし」と、「恋」とは無縁に思うかもしれませんが、飼い猫も「恋」をします。次のようなしぐさが見られないか、確認してみてください。
メスに見られる「恋」のしぐさ
「恋」のしぐさはメスとオスで違いが見られます。まずはメスに見られるしぐさです。
飼い主さんにすり寄ってくる
恋の季節の訪れを敏感に察したメスは落ち着きがなくなり、あちこちに自分のニオイをこすり付けようとするしぐさをし始めます。すり寄るのは物にだけでなく、飼い主さんの足や手にすることも。自分の顔周りやわき腹などをスリスリとこすり付けるようになります。
のたうちまわる
仰向けに寝転び、のたうちまわるように、くねくねと体をねじって転げまわります。一度発情すると、こうしたしぐさが1週間程度続きます。
お尻を叩いてとせがんでくる
腰を上げて足踏みをするようなしぐさは、飼い主さんに対して「しっぽの付け根を叩いて刺激して!」というおねだりのしぐさ。メスのしっぽの付け根は性的快感を得られる部位なので、発情の季節には多くみられることも。
オスに見られる「恋」のしぐさ
馬のりになる
馬のりは、まさに交尾の姿勢。去勢手術をした飼い猫のオスでも交尾欲求が高まることがあるため、相手の性別に関係なく同居猫や人の足などにまたがることがあります。
猫によっては、季節を問わずこのしぐさが見られることも。
陰部を舐める
メスの発情行動に反応したオスは、頻繁に陰部を気にして舐めるようになります。
なお、オスは発情したメスがいたらすぐに応じられるよう、最初の反応から1カ月ほどはその衝動が続きます。
このほか、飼い猫でも、室内でマーキングしたり、外の猫を見て唸ったりといったしぐさも見られるようになります。
飼い主さんに甘えるようなしぐさをするなど、かわいい一面も見られる「恋の季節」ですが、飼い猫にとってはストレスがたまりやすい季節。毎日少しでも遊んだり、爪とぎ環境を充実させたりと、ストレス発散の場を設けてあげるようにしましょう。
参考/「ねこのきもち」2018年4月号『春は猫もソワソワ、ワクワク。猫の恋劇場』(監修:哺乳類学者 「ねこの博物館」館長 日本動物科学研究所所長 今泉忠明先生、東京大学附属動物医療センター行動診療科 獣医師 菊池亜都子先生)
文/小泉美筆
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。