猫がのどを鳴らすゴロゴロ音。「どうやって鳴らしているの?」「どんな意味があるの?」と不思議に思ったことはありませんか?今回は、東京農業大学教授の太田光明先生に、猫のゴロゴロ音にまつわるトリビアを教えていただきました。
猫のゴロゴロ音は、どうやって鳴らしている?
猫がゴロゴロとのどを鳴らす仕組みは、実はまだよくわかっていません。ただ、音を出すような特別な組織は見当たらないことから、おそらくのどの内側の筋肉である内喉頭筋(ないこうとうきん)を、呼吸に伴って振動させることで発しているのだと考えられます。
そもそも猫がのどを鳴らすのは、「傷を治すため」という説が有力です。野生時代、猫はネズミや鳥など自分より小さい獲物を捕食していましたが、相手の抵抗により小さな傷が絶えませんでした。このため、傷を早く治す効果が得られる低周波音を自分で発する技術を身につけたのではないかといわれています。
ストレスを感じているときの周波数は普段と違う?
ゴロゴロ音の周波数は20~120Hzくらいの幅がありますが、機嫌がよいときは基本的に25Hz前後。ストレスを感じてゴロゴロ音を発することもあり、そのときは40Hz前後になることが多いようです。
チーターやピューマも、のどをゴロゴロ鳴らす!
大型ネコ科動物のうち、チーターやピューマはのどを鳴らします。これらの動物は猫と同じように単独生活をし、自分より小さな動物を捕食するため、狩りのときに小さな生傷が絶えないからだと考えられます。これに対して、自分より大きな獲物を捕食するライオンなどは、同じネコ科でものどを鳴らす可能性が低いでしょう。
のどを鳴らさない猫もいる
猫がのどを鳴らすのは遺伝的なものですが、子猫時代に母猫の鳴らし方を真似て、母猫とのコミュニケーションのなかで技術を習得すると考えられています。したがって、生後すぐに母猫から離れた猫は、鳴らす技術が十分ではなく、のどを鳴らさない可能性もあるでしょう。
まだまだ謎の多い猫のゴロゴロ音。あらためて、愛猫のゴロゴロ音に耳を澄ませてみてくださいね。
お話を伺った先生/太田光明先生(東京農業大学農学部バイオセラピー学科動物介在療法研究室教授)
参考/「ねこのきもち」2019年10月号『人も猫も幸せになるあの音のナゾに迫る! ゴロゴロ音オン・エアー』
文/柏田ゆき
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。