猫はよく吐く動物だといわれていますが、なかには病気が隠れていることもあるので油断は禁物です。
そこで今回は、猫のおう吐の症状から考えられる5つの病気について、獣医師の野矢雅彦先生にお話を伺いました。
猫のおう吐の症状から考えられる病気(1)誤食
猫が異物を誤食した場合、食道や胃に異物があるときは吐いて出そうとします。しかし、異物が腸まで到達して詰まると腸閉塞(ちょうへいそく)を起こし、場合によっては命の危機にさらされることもあるので注意が必要です。
愛猫が誤食した際は、無理に吐かせたり取り出そうとしたりせず、すぐに動物病院を受診して獣医師に処置してもらいましょう。
猫のおう吐の症状から考えられる病気(2)すい臓炎(すい炎)
すい臓に炎症が起こると、おう吐のほか、食欲不振やけいれんなどの症状がみられることがあります。すい臓炎には特効薬がないため、吐き気止めなどの対処療法で症状が落ち着くのを待つのが一般的です。
猫のおう吐の症状から考えられる病気(3)腎不全
猫が腎不全になると、食べ物に含まれるカリウム、リン、粗悪なタンパク質を摂取することで血液中の毒素濃度が高くなり、その毒素が脳を刺激しておう吐につながるケースがあります。おう吐のほかにも、尿量や飲水量の増加、貧血やけいれんなどの症状が出ることも少なくありません。
猫のおう吐の症状から考えられる病気(4)中毒
観葉植物、殺虫剤、洗剤や漂白剤、化粧品、消臭剤など、猫が飲み込むと中毒を起こすものは、意外とたくさんあります。体についたものをなめて中毒を起こすケースが多いので、危険な製品は愛猫の目につかない場所に保管するよう心がけましょう。
猫のおう吐の症状から考えられる病気(5)胃腸炎
胃腸炎は胃と腸に炎症が起こる病気で、何度も繰り返しおう吐したり、下痢を起こしたりすることがあります。黄色い胃液や血液が混ざった胃液を吐いた場合は、動物病院で診察を受けましょう。おう吐や下痢の症状があると体内の水分が失われてしまうため、病院で点滴を打って水分を補います。
猫のおう吐は珍しくありませんが、もしかしたら病気が隠れているかもしれません。愛猫のおう吐で気になることがあったら、早めに動物病院で相談してみるといいでしょう。
お話を伺った先生/野矢雅彦先生(ノヤ動物病院院長)
参考/「ねこのきもち」2019年11月号『猫に多い症状からわかる ねこの病気逆引き辞典』
文/東里奈
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。