「ねこのきもち」が猫の飼い主さんに実施したアンケート※によると、約4人に1人が「愛猫が今までに大きな治療・手術をしたことがある」と回答しました。今回は、愛猫が歯周病、毛球症、悪性腫瘍の治療をしたことがある飼い主さんたちの、治療体験談をご紹介。治療の概要や治療費を、獣医師の小林清佳先生監修のもと解説します。
※「ねこのきもち作り隊」284人に聞いたアンケート結果(2023年5月実施)
歯周病
茨城県 K・Yさんの愛猫くうくんは、もともと外猫で猫エイズキャリアでした。歯周病も前から患っていたようで、歯肉に出血があり、ゴハンが食べられなかったため動物病院で治療を開始。しばらくして別の治療法も試すため歯科専門病院に転院しました。歯石除去や歯を抜く手術などでかなり改善するものの完治はせず、2年半以上経つ現在も3~6カ月に一度のペースで通院中です。
くうくんの診療費明細
【手術(日帰り手術で抜歯と歯石除去)】
・注射用薬 4,500円
・全身麻酔 1万5,000円
・抜歯 9,500円
・歯石除去・スケーリング 1万円
・X線検査 1万2,000円 など
支払い 6万2,700円
その他、手術に至るまでの診療費や検査代、薬代や、術後の定期的な再診などを含め
支払い合計(税込) 13万1,670円(保険未加入)
歯周病は治療が長引くことも
歯周病は口腔内で起こる炎症の総称で、猫エイズの猫はとくに発症しやすい傾向が。猫エイズがあると完治が難しく、治療が先々まで続くため診療費もかさみます。重度の歯周病の場合は獣医師と相談のうえ、再度抜歯を検討しても。
毛球症
福岡県 A・Kさんの愛猫きなこくんは、あるとき連続して嘔吐、以来ゴハンを食べなくなったため動物病院を受診したところ、胃腸の働きをよくする薬を処方されました。一時は食欲が回復したものの1週間後に再び嘔吐、食欲不振に。その後検査入院をして腸に毛玉が詰まっていることがわかり、再度入院して手術をしました。
きなこくんの診療費明細
【検査・入院】
・入院(1泊2日) 4,000円
・治療(2日分) 1万4,000円
・血球計数、血液化学検査 1万4,000円
・X線検査 8,000円
・麻酔料 2万円
・内視鏡検査 2万円 など
支払い 8万8,808円
【手術・入院】
・入院(4泊5日) 1万円
・血球計数、血液化学検査 2万600円
・開腹手術 8万円
・静脈点滴 1,000円 など
支払い 14万6,683円
その他、入院以外の検査通院全3回を含め
支払い合計(税込) 27万6,895円(保険未加入)
毛を排出できるように日頃からケアを
吐き出しや排泄ができないほど、毛が胃や腸の中で大きな球状になると手術の必要が。腸に詰まった場合は直ちに手術で取らないと命に関わることがあります。毛玉に配慮したフードや丁寧なブラッシングなど、日頃のケアに気をつけましょう。
悪性腫瘍
千葉県 M・Oさんの愛猫ちびちゃんは元保護猫。猫白血病キャリアでも元気に過ごしていましたが、あるとき呼吸がおかしくなり動物病院を受診。胸水がたまり、心臓を巻き込む形の腫瘍が見つかりました。その後体調は徐々に悪くなり、夜中に何度も様子を見たり、酸素室へ入れたりとできる限り手を尽くしたものの、抗がん剤を1回投与したあとに亡くなりました。
ちびちゃんの診療明細書
【初診】
・超音波検査(胸部、腹部)やX線検査、胸水除去、細胞診(2件) など
支払い 7万9,739円
その他、3回の検査・治療(抗がん剤注射 7,000円)などを含め
支払い合計(税込) 12万5,235円(保険未加入)
抗がん剤治療は継続して行うため診療費の負担は大きめに
ちびちゃんの場合は、初診時に悪性腫瘍かどうかを確認して、おそらく切除困難な部分のため初診から約3週間後に抗がん剤を投与しています。抗がん剤投与はある程度の期間・回数を行うため、費用は高額に。
大切な愛猫の命を預かっている以上、急な病気の治療にも耐えられる備えはしておきたいもの。治療方法などは、獣医師によく聞いておくと安心でしょう。
お話を伺った先生/小林清佳先生(モノカどうぶつ病院院長)
参考/「ねこのきもち」2023年10月号『ありがちトラブルで高額出費も!読者のリアル明細を拝見 ねこの診療費いくらかかった?』
文/小林けい
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。