成猫期(1~6才)の初期は、とくに本能による猫らしい行動が増える時期。この時期は、脱走などのトラブルが起こりやすいので注意が必要です。
今回は実際に飼い主さんが体験した、成猫期の猫の“事件”をご紹介。獣医師の徳留史子先生が詳しく解説します。
【1才頃の事件】何度も脱走を繰り返すように……
「一度玄関から脱走して以来、何度も繰り返すようになりました」(神奈川県 C・Nさん)
徳留史子先生の解説
1才頃になって性成熟を迎えると、とくにオスは本能的にメスを求め、外への興味が高まり脱走を試みようとすることがあります。さらに、一度でも外に出ると縄張りが広がったように思い、脱走を繰り返す猫も。ノラ猫と縄張り争いをしてケガをしたり、交通事故に遭ったりする猫も少なくありません。
脱走を防ぐには
玄関はもちろん、脱走経路になりやすい窓辺も対策をしましょう。網戸にする場合は、猫に破られない、開けられないようにしてください。また、脱走を狙う猫は玄関先までついてきがち。そんなときはボールなどを投げて気をそらすとよいので、玄関に常備しておきましょう。
【2才頃からの事件】突然走り回るようになった!
「突然、気が狂ったかのように走り回るようになりました」(三重県 N・Mさん)
徳留史子先生の解説
成長期になると狩猟本能による行動が増えるので、本来狩りをする時間帯である明け方と夕方に、獲物を追いかけるかのように突然走り回ることが増えるケースがあります。
また、体力も増す時期なので、あり余るエネルギーを発散させるために走り回ることもあるでしょう。まれに体の痛みや神経の異常で走り回ることもあるため、おかしいと思ったら獣医師に相談してください。
突然の走り回りを防ぐには?
遊ぶ時間を十分にとってエネルギーを発散させてあげれば、おのずと走り回ることも少なくなるはずです。じゃらしおもちゃで上下運動をうながすなど、運動量の多い遊び方で、エネルギーを発散させてあげましょう。
【2才頃の事件】あごニキビができた
「あごニキビができ、放置していたら炎症を起こして毛が薄くなってしまいました」(東京都 J・Kさん)
徳留史子先生の解説
はっきりとした原因はわかっていませんが、成猫期になると、あごに黒いブツブツ状の分泌物「あごニキビ」がよく見られます。通常、治療は必要ありませんが、細菌感染すると炎症などが起きて治療が必要になることも。炎症が見られたら、早めに獣医師に相談しましょう。
あごニキビのケア方法は?
あごに黒いブツブツが見られたら、自宅でケアをしましょう。人差し指にガーゼを巻いて38℃程度のぬるま湯にひたし、患部をやさしくふき取ってください。ゴシゴシこするのはNGです。
成猫になることで、より猫らしい行動が増える一方、その特徴を理解しておかないとトラブルが起こってしまうことも。考えられるさまざまなケースを知っておき、いざというときにスムーズに対応ができるようにしたいですね。
お話を伺った先生/徳留史子先生(獣医師)
参考/「ねこのきもち」2020年2月号「読者が実際に体験した、年齢別に起こりやすいトラブルや病気がわかる! うちのコ、○才事件簿」
文/田山郁
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。