獣医療の進歩により、猫も長寿化が進んできています。しかし、健康に長生きするためには日頃のお世話が大切です。今回は、猫の「睡眠時間」について獣医師の藤井仁美先生に解説していただきました。また、読者の方の愛猫にまつわる睡眠環境の課題と対策をご紹介します。
心と体を休められる環境とは?
野生時代の猫は単独行動をしていたため、つねに神経を張りつめながら眠っていたのではないかと考えられています。
一方で、野生時代に比べると、現代の猫は室内で暮らし安眠できる環境にいますが、その繊細さは変わらないようです。
約16時間と1日の大半を睡眠に費やす猫にとって、睡眠の環境はとても大切になります。グッズや照明などを工夫し、心と体が休まる環境づくりを心がけましょう。
睡眠時間の要注意サイン
愛猫を見るといつも起きていたり、日中寝ている様子がなく深夜まで起きていたりするなど、睡眠時間が極端に短い場合、近所の工事音などでストレスを感じている可能性があります。反対に、人の声かけにも反応しないほど深く眠っている場合は、聴力の低下や体の不調のおそれも。
どちらも心当たりがある場合は、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
読者に聞いた! 睡眠に関する悩みの解決策
休む場所を選択してもらう
高いところに登れるようになった生後半年くらいから、少しずつ猫タワーを増やしていったMさん。愛猫のオレオくん(オス・3才)は、来客時や室温が気になるときなど、状況に合わせて快適な場所を選択して休んでいるようです。また、一緒に遊んだりおやつを食べたりなど遊び場としても活用しています。
先生からコメント
猫は高い場所を好むため、猫タワーなら誰にも邪魔されずにゆっくりと休めていいのでしょう。猫タワーを複数設置できない場合も、家具などで高い場所へ移動できるようにするといいですね。
布をかけて「おやすみモード」に
愛猫のめいちゃん(メス・3才)と、ごろうくん(オス・3才)の飼い主さんは、愛猫たちを迎えて初めての冬に、すきま風対策でケージに使い古しのシーツをかけました。すると今ではシーツをかけると「寝る時間」だと認識し、2匹ともゆっくりと眠ってくれるそうです。
先生からのコメント
迎えてすぐに始めたというのが効果的だったかもしれません。飼い主さんから眠りのスイッチを入れてあげることで、猫も安心して眠れるようになります。
愛猫がどれくらい睡眠をとっているのか、よく観察してみましょう。極端に短かったり長かったりする場合は、環境を整えながら調整していきたいですね。
お話を伺った先生/藤井仁美先生(獣医師 獣医行動診療科認定医 ペット行動カウンセラー)
参考/「ねこのきもち」2023年10月号『今からできることばかり 猫の健康長寿 秘訣は「食う」「寝る」「遊ぶ」にあった!』
文/山村晴美
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。