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【獣医師監修】愛猫がフードを食べない…食欲不振の原因と対処法

愛猫が突然フードを食べなくなるのには、どんな原因が考えられるのでしょうか。今回は、「元気があるのに食べないとき」と「元気が無くて食べないとき」の2パターンについて、その原因と対処法を解説します。

加藤 憲一 先生

 獣医師
 相模原プリモ動物医療センター院長

 日本大学生物資源科学部獣医学科卒業
 麻布大学附属動物病院腫瘍科専科研修医
●資格:獣医師/日本獣医がん学会獣医腫瘍科認定医II種

●所属:日本獣医がん学会

●主な診療科目:一般診療(外科・内科)/腫瘍科/画像診断科

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【愛猫がフードを食べない】考えられる原因は?

グレーMIX
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫が食欲不振になるケースは意外と多く、飼い主さんを悩ませてしまうことがあります。原因はさまざまで、何らかの病気の症状でフードを食べないこともあれば、元気な様子でもフードを食べないこともあります。たとえ病気が原因では無かったとしても、食事を摂らない状況が続くと栄養が足りなくなり、体力の低下を招いてしまいます。

まずは、猫がフードを食べないときに考えられる原因を「元気があるのに食べない」ときと、「元気が無くて食べない」ときの2つに分けて見ていきましょう。

ケース1:元気だけど食べない

愛猫に元気があるのにフードを食べないときは、以下のような理由が考えられます。

理由① いつもと同じフードが合わなくなった
いつもと変わらず元気な様子なのにフードを食べないときは、愛猫がいつもと同じフードに飽きてしまったのかなと感じるかもしれません。しかし、年齢を重ねるにつれて、それまで食べていたフードの食感や硬さなどが合わないと感じて、食べなくなることがあります。

理由② 切り替えたフードが気に入らない
新しいフードに切り替えたら愛猫が急にご飯を食べなくなってしまった、といったことは無いでしょうか。猫はとてもグルメな生き物で、食べ物の味や香り、そして食感にもこだわりがあり、好き嫌いの意思がはっきりしています。愛猫が、与えたフードを気に入らなければ食べないということもあります。切り替えるときは、慎重に少しずつ慣らしていきましょう。

理由③ 成長期の終了
生後1年を過ぎると体の成長に必要なエネルギー要求量が低下し、自然とフードへの食いつきが落ちることがあります。

理由④ 繁殖期にある
猫は繁殖期になると、食べることよりも異性への興味に気持ちが移ってしまうため、食欲が落ちることがあります。これは去勢手術をしていないオス猫や、避妊手術をしていないメス猫に多く見られ、繁殖期といわれる春、秋、冬に起きやすくなります。

理由⑤ 環境の変化によるストレス
たとえば、いつも使っていたフード用の皿を別のものに替えたり、フードの皿が汚れていたりしたことがきっかけで、フードを食べなくなることがあります。猫はとてもデリケートな生き物なので、ちょっとした変化でも気になり、ストレスを感じることがあります。また、お皿の大きさや深さなどの形が単純に食べづらい場合も、猫がフードを食べなくなる一因となります。

理由⑥ 高齢化
猫は高齢になることで、若いころに比べると食べる量が減ったり、消化吸収の能力が衰えたりしてきます。高齢期の猫は部屋の中でじっとしている時間や寝ている時間が増え、活動量が減るためです。活動量が減少することで筋肉量も減り、同時に基礎代謝も低下します。そのため、1日の必要摂取カロリーも減少します。

ケース2:元気が無くて食べない

食欲不振はさまざまな要因が重なり合って起きることがありますが、愛猫に元気が無い様子などが見られたら、何らかの病気が考えられます。

理由① 口内トラブルや歯のトラブル
たとえば、口内炎や口内の腫瘍、または歯のトラブルなど口の中に病気があるときには食べると痛みがあるので食欲がなくなります。

理由② 消化器系の病気
消化器系をはじめとする全身性の病気が原因で、食べなくなることは多いです。下痢や嘔吐をしていないかなど他の症状にも注意が必要です。
特に膵炎、十二指腸炎、胆管肝炎は三臓器炎と言われ、慢性化しやすい為、適切な治療が必要になります。

理由③ 慢性腎不全
高齢の猫が食欲低下の時は、慢性腎不全などの病気も考えられます。慢性腎不全は猫がなりやすい病気のひとつとも言われ、早期の段階では水をたくさん飲む様子が見られるため、その段階で気づく必要があります。発見が遅れると命にも関わるため、様子見をせず、早めの対策が必要です。最近では早期発見も可能になったので、定期的な健康診断をおすすめします。

理由④ 猫カゼ
猫のカゼ原因ウイルスは潜伏感染といって、症状がなくても体の中に潜んでいるケースが多いです。食欲低下に加えて急にくしゃみや鼻水、涙目や目ヤニ、咳などの症状が出た場合は特に要注意です。

【愛猫がフードを食べない】原因別の対処法

フードを食べてる猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

ケース1:元気だけど食べないときの対処法

①フードが合わなくて食べない
これまでと同じフードが合わなくなったり、新しいフードが気に入っていなかったりなどといった理由の時は、フードそのものを変えるなどの工夫もできます。いつもと同じフードが合わなくなった場合は、一度サンプルなどで別のフードを試してみるのも良いでしょう。ただ、次々とフードを試してばかりいるのは必ずしもいいことではありません。食べなくても元気があるなら、1日程度様子を見てもいいでしょう。

もし新しいフードが気に入らなくて食べないときは、フードの与え方にも注意しましょう。元のフードから新しいフードへ、一気に変えてしまってはいないでしょうか。猫はフードを一度に替えてしまうとびっくりしてしまい、食欲が減退しやすくなります。新しいフードに切り替えるときには、まず元のフードに混ぜて与え始め、徐々に切り替えながら様子を見ましょう。

②環境の変化によるストレスで食べないとき
引越し後の慣れない環境に置かれていると、猫はストレスを感じてフードを食べなくなることもあります。また、フードを入れる容器が汚れていたりしていることも猫にとってはストレスになります。
新しい環境に慣れるまでは、なるべく猫が特に好む食事を適量与えるように工夫してみましょう。フード用の容器もキレイに保ち、水分もしっかり摂れるようにしてみてください。

③高齢で食が細くなった場合は?
高齢によって食べる量が減っている場合、エネルギー消費の減少が理由とも考えられますが、食べる量が減る分、愛猫が必要な栄養素をきちんと摂取できるように気をつけましょう。シニア猫用のフードも多数あるため、獣医師に相談して愛猫の状態にあったものを選んであげると良いでしょう。

ケース2:元気が無くて食べないときの対処法

愛猫がご飯を食べず、さらに元気もないときは、体調を崩していたり病気などで体が弱ったりしている可能性があります。他に呼吸器、消化器症状がないか、全体的に変わったところがないかよく観察してください。子ねこや高齢猫だけに限らず普段は健康な成年期の猫でも、いつもと様子が違うようであれば油断は禁物です。動物病院を早めに受診するようにしましょう。

【愛猫がフードを食べない】食欲不振を解消するためのポイント

ノルウェージャン・フォレストキャット
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
元気があるのにご飯を食べないときは、フードを温めるなどの工夫も食欲不振の解消に効果的です。

ウェットフードや冷蔵していたものは、温めることで香りが立ち、風味も良くなります。このときは、温め過ぎに注意。適温は、ちょうど人肌と同じぐらいです。また、ドライフードはお湯でふやかして温めることで、同様に風味が増します。

少しでも気になったり心配な場合は動物病院へ!

元気が無くてフードを食べないときは、病気の可能性があります。自己判断せずに、早めに動物病院へ連れて行きましょう。また、元気があっても食事を摂らない状態が続くと体力低下を招き、病気につながることもあるので、この場合も動物病院に相談しましょう。
参考/『ねこのきもち』2017年5月号「愛猫の栄養学事典」
監修/加藤憲一先生(相模原プリモ動物医療センター院長)
文/kate
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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