猫と暮らす
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【獣医師監修】猫のトリミングの必要性 体の異変に気付くメリットも
今回は、あまり聞きなれない猫のトリミングサロンのサービス内容や一般的な料金形態、自分でトリミング(シャンプー)する際の下準備から実施方法、トリミングサロンの選び方までご紹介します。
この記事の監修

加藤 憲一 先生
相模原プリモ動物医療センター院長
日本大学生物資源科学部獣医学科卒業
麻布大学附属動物病院腫瘍科専科研修医
麻布大学附属動物病院腫瘍科専科非常勤勤務
●資格:獣医師/日本獣医がん学会獣医腫瘍科認定医II種
●所属:日本獣医がん学会
●主な診療科目:一般診療(外科、内科)/腫瘍科/画像診断科
猫のシャンプー、トリミング。したほうがいい?

猫は本能的に身体が濡れるのを嫌がる動物なので、シャンプーをすること自体、猫にとっては強いストレスになります。また、乾かす際のドライヤーの音も風も嫌がる子がほとんどです。
基本的にグルーミングにより自分で体をキレイにしている為、短毛種の場合は、ブラッシングだけでひとまずは十分です。
長毛種の場合は、毛玉が出来て皮膚炎を起こしたりすることがある為、2~3ヵ月に1度くらいの頻度(個体による)でシャンプーしてあげるとよいでしょう。
また、あご下やしっぽの付け根にニキビが出来やすい子や、肥満等でお尻まわりのグルーミングが出来ない子は部分的にシャンプーすることが効果的です。
猫の体に触れることで異変に気付くことも
被毛が活発に抜け替わる換毛期には、猫が舐めとるだけでは追いつかない量の被毛が抜けるため、グルーミングだけに任せておくと部屋中に被毛が舞ってしまうこともあります。
また、シャンプーやトリミングは猫の体に触れることで、猫の異変にも気づきやすくなりますので、病気の早期発見にもつながるメリットもあります。
ですが、いざ自宅でシャンプーし始めたとしても、猫が暴れてセーブしきれずに中断しなければならないこともあるでしょう。
犬のトリミングサロンは聞いたことがあっても、猫のトリミングサロンはあまり聞きなれませんよね。実は猫のための「トリミングサロン」もあります。一般的なトリミングサロンのサービス内容や、料金などを見ていきましょう。
【猫のトリミング】サロンでのサービス内容・費用は?
トリミングサロンのサービス内容
・シャンプー
短毛種:約5,000円~
長毛種:約6,000円~
・オプション
被毛のカット、爪切り、肛門腺絞り、耳掃除、足裏毛カット
シャンプーにプラスするオプション内容によって総金額は異なってきますし、サロンによっても異なりますが、約10,000円前後を目安にしておくといいかもしれません。
動物病院のトリミングでは鎮静剤を使う場合も
猫は縄張り意識が強く、縄張りの外へ連れ出されることにストレスを感じる場合があります。知らない場所や他の猫のニオイがする場所、知らない人に触られることなど、その全てが重大なストレス要因になります。
そのため、嫌がった猫が暴れることによる不測のケガや、ストレスで体調を崩してしまうことも考えられます。そうならないために動物病院でトリミングを行う際は、鎮静剤を使って猫を落ち着かせることがあります。なお、鎮静剤は獣医師のみが扱うことができるもののため、普通のトリミングサロンでは行われていません。動物病院でトリミングをする際、獣医師が必要と判断した場合のみ使用されます。
【猫のトリミング】自宅でトリミングする前の下準備

飼い主さん自身でトリミングする際には、あらかじめ下準備が必要です。
下準備1|爪を切る
シャンプーに慣れていない猫や水嫌いの猫は、嫌なことから逃れる際に爪を出して引っかく可能性があるため、あらかじめ爪を切っておきましょう。方法のひとつをご紹介しますと、まずは猫に覆いかぶさるように、背後から太ももで猫の体全体を固定します。その体勢のまま前かがみになるようにして、猫の爪を押し出しながら爪切りを始めましょう。猫の爪には血管が通っているので、自宅で切る際には爪の先の方だけでOKです。
下準備2|耳掃除
コットンにベビーオイルや猫用のイヤークリーナーをつけ、耳の表面の汚れを拭き取ります。耳アカが黒色や黄緑色になっていたり、ニオイがきつかったりする場合は、シャンプーを中断して獣医師の診察を受けましょう。
下準備3|全体を軽くコーミング
全体を軽くコーミングしながら、毛玉や被毛のもつれなどを取りのぞいて、シャンプーをしやすくしておきます。
【猫のトリミング】愛猫をトリミングしてみよう!

シャンプーでは余分な皮脂や汚れを取りのぞくこと
猫のシャンプーで一番大切なことは、余分な被毛の皮脂や汚れを取りのぞくこと。地肌までしっかりと濡らし、泡をのせたらシャンプーのスタートです。まずは毛の流れに沿って洗い始めましょう。それが終わったら、今度は毛の流れに逆らいながら、優しく洗いあげてください。このとき、肛門腺を絞っておくとよいでしょう。
すすぎは泡が完全に洗い落とされるまで行い、シャンプーの香りが猫に残らないようにしてあげてください。もし汚れがひどい場合は2度洗いをして、しっかりと汚れを洗い流すことが肝心です。
シャンプー後はよく水気を切ってからタオルドライを行い、ドライヤーで完全に乾かします。被毛が濡れたままでいると皮膚が蒸れやすくなってしまい、体温調節がうまくいかずに体調を崩しやすくなるので要注意。最後に毛の流れに沿ってクシを入れ、毛並みを整えて完了です。
基本的に猫は濡れることを嫌がりますので、シャンプーが強いストレスになる可能性があります。無理強いはしないのが基本と考えてください。
トリミングサロンの利用という選択も

トリミングサロンというと、犬のトリミングをイメージすることが多いでしょう。しかし、室内飼いの猫が多くなってきた昨今では、猫のトリミングを行うお店も増えてきています。事前にカウンセリングがあり、愛猫のことをきちんと知ってもらってからトリミングをしてもらえれば、飼い主さんの安心感も増すことでしょう。
トリミングを行ってくれるのは、動物専門の美容師「トリマー」です。ペット全般に対する知識や経験を持ち、日頃から訓練をしています。トリマーに愛猫のお手入れをお願いすることで、皮膚の発疹や痛がる部位の発見、耳アカや目ヤニの異常など、飼い主さんが気付かなかった病気の危険性を示してくれることもあります。
最近はペットショップなどで猫のトリミングを行っているお店もありますが、初めてのトリミングや健康相談をしたいときは、動物病院に併設されたトリミングサロンを訪れるといいでしょう。かかりつけの獣医師に、トリミングサロンの紹介をしてもらうのもおすすめです。
参考/『ねこのきもち』2015年12月号「ふだんの爪切りをステップアップさせるコツとは?」(監修:花島秀俊先生)、同2016年3月号「3月3日は耳の日 正しい方法で病気を防ごう 耳のお手入れ、してますか?」(監修:小林清佳先生)
監修/加藤憲一先生(相模原プリモ動物医療センター院長)
文/HONTAKA
※トリミングの費用についてはあくまで目安ですので、各サロンにお問い合わせください。
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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