子孫を残そうとする本能のため、猫は発情期を迎えます。しかし、オス猫とメス猫では、発情期の迎え方が大きく異なります。今回は、オス猫が発情期にするお困り行動やトラブルの対処法、去勢手術について解説します。オス猫の飼い主さん必見ですよ!
まずはメス猫の発情期の特徴を理解しよう!
オス猫の発情期に関して詳しく理解するためには、メス猫の発情期についても知る必要があります。まずは、メス猫の発情期の特徴についてみていきましょう。
メス猫の発情期とは
出産や子育てがしやすくなることから、暖かい季節になるとメス猫は発情期を迎えます。生後6~12ヶ月ほどで最初の発情を迎え、その後は年に2、3回発情するようになります。発情期の期間は個体差がありますが、1~3週間程度続くとされています。そしてその間、メス猫は以下のような行動を取り、飼い主さんを困らせることがあります。
メス猫の発情期のお困り行動
・オス猫を呼ぶために大きな声で鳴く
・ニオイを付けるために体を家具にこすりつける
・外へ行こうとする
・マーキングが盛んになる
・食欲がなくなる
・トイレ以外の場所で排せつする
ほかにも、飼い主さんにいつも以上に甘えるなど飼い主さんにとっては嬉しい変化が見られることもあります。
オス猫の発情期とは?
オス猫はメス猫のように発情の時期が決まっていないので、性成熟していればいつでも交尾ができる状態にあります。またオス猫は自ら発情するのではなく、メス猫の鳴き声やフェロモンを感じると、それに誘発されて発情します。一般的には、生後9~12月頃には本格的に発情するようになるとされています。では、オスの発情期にみられるお困り行動にはどのようなものがあるのでしょうか。
大きな声で鳴く
発情したメス猫に誘発されたオス猫は、大きな声で鳴いて「ここにいるよ!」と自分の存在を知らせます。また、これは他のオス猫に対し「近づくな!」というアピールをしているケースもあります。
スプレーする
ニオイの強いオシッコでメス猫を惹きつけたり、他の猫に自分のテリトリーを知らせたりするために、トイレ以外の場所で排せつします。
家から脱走しようとする
発情中のメス猫に会いに行こうと、脱走しようとすることがあります。中には網戸にしていると、自力で開けたり破ったりして逃走する猫も。また、人の出入りにまぎれて玄関から出ていくなど、ちょっとした隙を見計らって脱走するので注意が必要です。
攻撃的になる
メス猫にはない発情期の特徴です。オス猫は、オス猫同士のケンカで生命力の強さをアピールし、メス猫に選ばれるようにするために攻撃的になります。攻撃の矛先はオス猫だけでなく、人に向けられることもあるので、接し方には気を配りましょう。
このような発情中のオス猫のお困り行動は、周囲とのトラブルにもつながるため、しっかりと対策を取る必要があります。では、どのように対処すればいいのでしょうか。
発情期のオス猫のトラブル対策法①騒音
発情期のトラブルといえば「騒音トラブル」。外から聞こえてくる発情中のメス猫の鳴き声を聞こえなくするとともに、オス猫の鳴き声を近所へ響き渡らせないように工夫しましょう。
防音カーテンは重さがあるもの選ぶ
音は振動している物体から生じるため、防音カーテンはずっしりとした重さがあるものがおすすめです。また、音を反射させ吸収させるために、ボコボコした形状のワッフル生地を選ぶといいでしょう。
家具の配置を考えて防音対策
防音のために、壁に専用の遮音ボードを用いる方法もありますが、とても大掛かりで費用もかさみます。まずは、音漏れが気になる壁側にタンスやラックなどの家具を配置してみるのも一つの手です。これだけでも音を吸収し、音漏れを緩和することができますよ。
それでも気になるときは、壁と家具の間に音の吸収材をはさむのもおすすめです。グラスウールなどの素材でできている吸収材なら、通信販売などでも購入可能です。
発情期のオス猫のトラブル対策法②行動
脱走防止対策を取る
猫が脱走しやすい場所は、玄関や窓、ベランダなどです。特に玄関は家族だけでなく、宅配便や来客などの出入り時にも気を付けたい場所です。おすすめの対策方法は、玄関に近づけないようにすること。玄関へ続く廊下に「防止柵」を取り付けるといいでしょう。クギを使わないツッパリ棒タイプのものもあるので、穴が気になる人でも取り付けられますよ。
発情期のオス猫の脱走は、知らないメス猫を妊娠させたり、病気に感染したりと様々なリスクがあります。また、他の人の庭で排泄するなどご近所トラブルに発展する可能性もあるので、しっかりと対策をとりましょう。
掃除などでスプレー行動対策
カーテンや部屋の隅に、プシューっとオシッコするスプレー行為。メス猫を惹きつける目的があるため、ニオイは通常のオシッコよりも強く、普段の拭き掃除ではなかなか消すことができません。さらにオス猫には、一度スプレーした場所に上書きするように繰り返しニオイをつけようとする習性があるので注意しましょう。
しかし、これはオス猫の本能的な行為なので、去勢手術以外でやめさせることは難しいといわれています。スプレー行為を繰り返させないためには、中性洗剤や専用の消臭スプレーでしっかりとニオイを消し、オス猫をその場所へ近寄らせないようにするのがおすすめです。
去勢手術を考えてみよう!
オス猫の発情期には、さまざまな問題行動やトラブルを起こす恐れがあることがわかりました。前述したトラブル対策も猫にとってはストレスになる場合がありますので、去勢手術を受けさせることも有効な手段です。オス猫の発情期に起こるさまざまな問題が改善できる可能性があります。
去勢手術で減る可能性のあるお困り行動
・大声で鳴かなくなる
・脱走したがらなくなる
・攻撃的な行動が減る
・マウンティング行動をしにくくなる
・スプレー行為をしにくくなる
去勢手術はメリットだけではない
去勢手術は、性衝動を誘発するホルモンの分泌元を摘出してしまうので、性的な欲求が少なくなります。そのため、発情期にあるトラブルが減ったり、穏やかな性格になったりすることが多いようです。
しかし効果には個体差があり、去勢手術の時期が遅いと改善されないケースもあります。また、去勢手術後は体重が増加したり、麻酔のリスクもあるので、気になることがあれば、獣医師に相談しましょう。
今回は、オス猫の発情期について解説しました。発情期に交尾ができないのは、未去勢のオス猫にとって強いストレスとなり、寿命にも影響するのだそう。前述通り、太りやすいなどのデメリットはありますが、去勢手術することで生殖器系の病気も予防できるとされています。室内飼いでのトラブルを減らすためにも早期の去勢手術を検討してみてはいかがでしょうか。
参考/「ねこのきもち」2017年5月号『術後の“?”もスッキリ!去勢・避妊手術のすべて』(監修:Pet Clinic アニホス 院長 弓削田直子先生)
「ねこのきもち」2016年9月号『だって猫だもの シリーズ第三弾 “プシュー” っとするときもある…“4大スプレー行動”のお悩み解決せよ!』(監修:聖母坂どうぶつ病院 獣医師 鵜飼佳実先生)
監修/ねこのきもち相談室獣医師
文/HONTAKA
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。