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【獣医師監修】猫との引っ越しQ&A|準備やストレスなどの疑問に獣医師がお答え!

今回は、ねこのきもちに寄せられた「引っ越しに関する疑問」を、Q&A方式でご紹介。さらに、引っ越し時に猫が感じやすいストレスの原因や、引っ越し前後にすべき対応などを豆知識としてお届けいたします。少しの心配りが、愛猫の負担軽減につながりますよ。

荒木 陽一 先生

 獣医師
 プリモ動物病院 練馬院長

 東京農工大学農学部獣医学科(現 共同獣医学科)卒業

●資格:獣医師

●所属:日本獣医がん学会

●主な診療科目:一般診療(外科・内科)、救急診療、腫瘍科

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Q. 引っ越しの予定があります。どんなことに気をつければいいですか?

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A. 大きな環境の変化を感じさせないことが大切です。

一般的に、猫は環境の変化に対して、とてもストレスを感じやすい動物であるということを念頭に置きましょう。そのため、引っ越しが決まったら事前準備をしっかりしておくのがおすすめです。引っ越しのタイミングで愛猫のトイレや寝床を新調する場合は、環境が変わる前から使用させ、新しいにおいに慣れさせておくと良いでしょう。

また、ほとんどの猫は、環境の変化だけでなく大きな音にもストレスを感じます。引っ越し当日は静かな空間で過ごせるよう、ケージやキャリーケースに入れてあげるのがおすすめです。そして新居に到着したら、ケージやキャリーケースのまま愛猫を部屋に入れて扉を開けておきます。自ら新しい環境へ足を踏み出せるように見守りましょう。

<豆知識>引っ越し後はあまりかまわないであげて

猫にとっての引っ越しは、縄張りを離れるようなものです。新居に移ったら、愛猫が満足するまで自由に探索させてあげましょう。猫自身が安全を確認できれば、新居を新しい縄張りと思うようになります。

また、引っ越し後に愛猫を気づかうあまり、過度なスキンシップをしてしまうのはおすすめできません。多くの猫は長時間触られることを苦手としています。しっぽをバタバタさせるなど「やめてサイン」が出たら、許容範囲を越えた証拠。引っ越し後も変に気をつかわず、今までどおりに接したり、ときに放っておいたりするのも大切です。

Q. 引っ越しをしてから粗相をするようになりました。どうしたらいいですか?

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A. トイレの置き場所を充分検討しましょう。

引っ越し後、急に粗相をするようになってしまった場合は、愛猫がどこでトイレをすれば良いかわからなくなっているのだと考えられます。もし旧居のトイレ環境に近い場所があれば、そこには必ずトイレを設置し、難しい場合は、「静か」「人の出入りが少ない」「寝床や食器に近くない」等、落ち着いてトイレができる場所を何箇所か作ってあげましょう。

そして「トイレサイン→トイレへの誘導」を繰り返していくうちに、愛猫がトイレの場所を把握し、正しく排泄できるようになります。ただし、あまり監視しすぎると人の目が気になり、マイナスになることもありますので注意してください。また、トイレ以外で粗相をしてしまった際には、その場所のにおいを徹底的に消すことが大切です。

こうした粗相などのお悩みをはじめ、引っ越しにおけるトイレトラブルはとても多く起こります。これは猫が環境の変化をとても嫌うことと関係があります。粗相をしてしまう猫もいれば、ストレスから膀胱炎になってしまう猫もいます。膀胱炎になると血尿が出たり、尿結石など他の病気の引き金となったりする恐れもあります。引っ越し後は、こういった猫の変化も見落とさないような視点が必要です。

<豆知識>猫が受け入れやすい対策を

新居が決まったら、引っ越しの前に何度か愛猫を連れて行き、あらかじめ探索させてあげるのもおすすめです。もしくは、引っ越しが一段落してから愛猫を迎え入れるのもいいでしょう。飼い主さんがいつもどおりであることが、愛猫にとっての安心へ繋がります。

引っ越しだけでなく、部屋の模様替えも猫にとっては一大事です。トイレに限らず、爪とぎ器などの猫グッズがいつもの場所にないと、愛猫をとても不安にさせてしまいます。部屋を自由に行き来できるようにして、新しい環境に慣れさせてあげましょう。

Q. 引っ越し後、どのくらいで猫は新居に慣れてくれますか?

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A. 個体差あり。ストレスを軽減し、早く慣れる工夫をしましょう。

新居に慣れるまでの期間は、個体によって大きく異なります。たとえ引っ越しが済んでも、人の出入りや荷ほどきがあり、飼い主さんもしばらくは落ち着くことができませんよね。そんな状況を猫は敏感に感じとってしまうため、そのストレスが体調不良や食欲の減退に繋がる恐れもあります。

猫は“引っ越し”を理解することができないため、まずは飼い主さんや家族がいつもと変わらない、穏やかな雰囲気で接してあげることが大切です。そして愛猫がくつろげるスペースをいくつか用意し、落ち着いて眠れる工夫をしてあげてください。愛猫がゆっくり眠っているときは、睡眠の妨げにならないようそっとしておきましょう。

愛猫が新居に慣れるまで時間がかかったとしても、なるべくストレスをかけないように配慮してあげることを忘れないでくださいね。

<豆知識>こんなこともストレスの原因に!

引っ越しの過程には、猫のストレス要素がさらに潜んでいます。特に“音”に関するストレスには要注意。引っ越しの前後には、掃除機を使う機会が増えますよね。しかし、掃除機は猫が嫌いな家電の1つ。人以上に動作音が大きく聞こえ、さらに本体が動くので追われていると感じてしまうようです。それからチャイム音も、猫にとっては恐怖の対象。知らない人が来る合図であること、そして突然鳴ることに恐れを抱くのでしょう。

他にも、動物病院などの嫌なことを連想し、「キャリーケースに入ること」にストレスを感じる猫もいます。そして「車」もまた、においや音、揺れなど、猫の苦手なものばかりでストレスを感じやすいので、可能な限り短くスムーズな移動を計画しましょう。また、移動に際してのストレスがあまりにも強い場合は、動物病院へ相談の上、精神安定剤等を処方してもらうのもひとつです。
猫にとって「引っ越し」は、ストレスランキング(ねこのきもち「愛猫のストレス事典」より)で4位になるほど、大きなストレスの原因です。さらにそのランキングには、「大きな音の掃除機」や「乗り物に乗る」、「家に上がる来客」もランクインしており、猫から見た引っ越しの苦労が伺い知れます。

愛猫への負担を軽減するためにも、事前準備やストレスを軽減するための工夫をしっかり行い、飼い主さんも猫も気持ちよく新居での生活を始められるようにしたいですね。

ねこのきもちWEB MAGAZINE「獣医師が答えるQ&A(住まい)」

参考/「ねこのきもち」2016年8月号『猫のQOLを尊重するために知っておこう!』(監修:帝京科学大学助教 動物看護師 小野寺温先生)
   「ねこのきもち」『愛猫のストレス事典』
   ねこのきもちWEB MAGAZINE『獣医師が答えるQ&A(住まい)』
監修/荒木陽一先生(プリモ動物病院 練馬院長)
文/JANE
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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