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【獣医師監修】猫にみかんを与えるときは注意が必要。与えるメリットとデメリットを解説

猫にみかんの小房の中の果肉を少し与えるくらいなら問題ないでしょう。ただし、猫がみかんを好むかどうかは別の話です。猫は柑橘系の酸っぱい香りを嫌う傾向にあります。また、みかんの皮に含まれるリモネンという成分を摂取すると、中毒症状が現れることもあるので注意が必要です。

佐野 忠士 先生

猫にみかんを与えるときは皮に含まれるリモネンに要注意

テーブルの上のみかん
taka4332/gettyimages
みかんには、猫にとっても有用なビタミン類が含まれています。猫がみかんを好むかどうかは別にして、後述するいくつかの注意ポイントを守ったうえで与える分には害にはならないでしょう。

ただ、みかんをはじめ柑橘系の酸っぱい香りが苦手な猫は多くいます。その理由は、野性時代に、「酸っぱい匂い=肉の腐敗臭=有毒」であると判断していた名残ではないかといわれています。そのため、愛猫がみかんをはじめ柑橘類を積極的に欲しがることはないかもしれません。

また、好みの問題だけでなく、みかんなどの柑橘類の皮には猫が中毒症状を引き起こすリモネンという成分が含まれています。飼い主さんは、愛猫にみかんを与える際には取り扱いに十分に注意する必要があります。

みかんのおもな栄養素|水分が豊富!炭水化物も多め

キャットタワーで落ち着くシンガプーラ
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
みかん(うんしゅうみかん/砂じょう(薄皮を除いた果肉)/普通/生)に含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分

エネルギー49kal
水分87.4g
タンパク質0.7g
脂質0.1g
炭水化物11.5g
灰分(無機質)0.3g

文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照

猫がみかんを食べるメリット|ビタミンA・E・D、カリウムを摂取できる

ひょっこり顔を出すミヌエット
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
みかんに含まれる成分のうち、猫にとってメリットとなるおもな成分とそれぞれの特徴を確認しましょう。

ビタミンA|眼や皮膚、被毛の健康に役立つ

みかんに含まれるビタミンAには、眼が暗闇に順応する機能を正常に保つ働きがあります。また皮膚や被毛の健康をサポートする効果もあるといわれています。

ビタミンE|細胞の酸化ダメージを軽減

みかんにはビタミンEの一種「α-トコフェロール」が含まれています。α-トコフェロールには、活性酸素による酸化ストレスを軽減して、細胞膜を酸化ダメージから守る働きがあります。また、老化による病気を予防するほか、治癒にも役立つといわれています。

ビタミンC|抗酸化作用が期待できる

柑橘系であるみかんには、ビタミンCが豊富に含まれています。ビタミンCには抗酸化作用があり、加齢や運動による酸化ストレスを抑制する効果が期待できるうえ、関節炎を予防する働きもあるといわれています。

猫はビタミンCを体内で合成できるため、食事から摂取すべき必須栄養素には位置づけられていませんが、体内で合成される量だけでは不十分だとする研究結果もあります。5歳をすぎるとビタミンCの合成能力が落ちてくるとも言われているので、定期的な体外摂取は有効といえます。

カリウム|エネルギー代謝や神経伝達、心機能の働きをサポート

みかんはカリウムの含有量が豊富な食材のひとつです。カリウムには、ナトリウムと一緒に体内の水分バランスを整える働きがあるほか、エネルギー代謝や神経刺激の伝達、心機能の健康にも関わっています。カリウムとナトリウムのバランスが崩れると体に不調をきたすことがあるため、バランスよく摂取する必要があります。

なお、高齢の猫で罹患しやすい腎臓の異常のある場合には、カリウムの排泄能に問題が生じていることが多いです。心臓が悪い場合にも注意が必要です。定期的な健康診断で猫の状態をしっかり知っておいてからみかんをあげるようにするとよいでしょう。

猫がみかんを食べるデメリット|リモネンによる中毒症状や食物アレルギーに注意

ゴージャスなサイベリアン
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
みかんに含まれる成分のなかには、猫にとって有害なものもあります。おもな成分とデメリットを知っておきましょう。

リモネン|中毒症状に注意

みかんの皮に含まれるリモネンは、単環式モノテルペンという化合物の一種です。柑橘類の皮に含まれている植物精油で、揮発性があり、特有の甘酸っぱい芳香を持っています。

人間がリモネンを食べると肝臓で代謝されて尿とともに排出されますが、猫はリモネンの代謝に必要な酵素を持っていないので分解することができません。そもそも肉食動物である猫は、植物の含有成分を代謝する酵素を体内で作り出せないのです。そのため、少量を口にしただけでも、嘔吐や下痢、皮膚のかぶれ、運動失調、手足の震えなどの中毒症状を引き起こすことがあります。過剰摂取すると、意識障害を起こして寝たきりになったり、最悪の場合は死に至るケースもあるため注意が必要です。

猫がみかんの皮を口にしないように、皮の処理には注意してください。また、抽出されたリモネンは、アロマオイルや香水、食器用洗剤などにも使われることがあります。猫のいる家庭では、リモネンが含まれているものは使用しないほうが安心でしょう。

食物アレルギー|下痢や嘔吐、皮膚炎に注意

みかんにはタンパク質が含まれていますが、猫がタンパク質を含む食材を食べると、まれに食物アレルギーを起こすことがあります。どの食材がアレルゲンになるのかわからないので、タンパク質を含む食材を与えるときはまずは少量を与えて、下痢や嘔吐、皮膚炎などのアレルギー性反応が現れないか、様子を見るようにしましょう。

猫にみかんを与えるときの注意ポイント|果肉のみ与えてOK。皮に含まれるリモネンに注意!

とろ~んとしたお顔のミヌエット
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫にみかんを与えるときの注意ポイントを確認しましょう。

与えてよい部位

みかんの皮をむき、消化に悪い薄皮や白い筋(アルベド)は取り除いて、果肉の部分のみを与えましょう。前述のとおり、みかんの皮には猫に有害なリモネンという成分が含まれているので、猫に与える果肉にむき残した皮が付いていないか気をつけてください。

与えるときの適量

猫にみかんを与える場合は、体重に合わせて以下の量を目安にしてください。ただし、あくまでもカロリー上の算出値なので、主食(総合栄養食)の摂取を阻害しない量にとどめることが大切です。
また、猫の年齢や健康状態によっては、特定栄養素の過剰摂取につながることもあるので注意しましょう。

猫の体重目安1日あたりの摂取可能目安
4~5kg49g~57g(小サイズ約1~1+15/19個)

※数値は、避妊・去勢済みの猫で体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出
※接種可能目安は、みかん小サイズ(可食部約45g)=約1~1+15/19個、中サイズ(可食部約75g)=約16/25~19/25個、大サイズ(可食部約121g)=約2/5~19/40個、特大サイズ(可食部約152g)=16/51~19/51個です。

そのほかの注意事項

みかん缶やみかんゼリーなどに入っているみかんは薄皮がむいてありますが、人間用に加工されたものには砂糖などが使われているため、猫に与えてはいけません。

みかんを好まない猫は多いので無理に与える必要はない

猫にみかんの果肉を少し与える程度なら問題ありませんが、みかんに限らずそもそも柑橘類を好まない猫も多いので、無理に与える必要はないでしょう。なお、みかんの皮には猫にとって有害なリモネンが含まれているため、皮をむくときに猫に与えるみかんの果肉につかないように十分注意してください。
猫には与えてはいけない食べ物があります。確認しておきましょう
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/倉田千穂
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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