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【獣医師監修】猫にコーヒーは絶対にNG。飲んだり舐めてしまったときの症状と対処方法

猫にとってコーヒーは中毒を起こす危険なものです。猫にコーヒーを与えてはいけません。飼い主さんのコーヒータイムの際は、愛猫が誤飲しないよう、細心の注意が必要です。最悪の場合、死に至ることもある猫のカフェイン中毒。その原因と症状、誤飲してしまった場合の対処法を紹介します。

佐野 忠士 先生

猫にコーヒーを与えてはいけない。命の危険あり

古い木製のテーブル上にビスケットと散乱コーヒー豆カップでコーヒー カフェラテ アートの猫泡顔
ValentinAyupov/gettyimages
人間にとっては嗜好品のコーヒーですが、犬や猫にとっては中毒の原因となる飲み物です。最悪の場合は命を落とす危険性もあります。

猫の場合は、犬のように飼い主さんと一緒にカフェに行く機会はないかもしれませんが、家で毎日コーヒーを飲む習慣のある飼い主さんは多いでしょう。もし猫が興味を示したとしても、コーヒーは猫に絶対に与えてはいけません。

コーヒーに含まれるカフェインは、猫に中毒症状を引き起こすたいへん危険なものです。
飲ませるのはもちろんのこと、テーブルの上にこぼれたコーヒーを愛猫が舐めたりしないよう、コーヒーカップは猫の手の届くところに置かず、こぼれたコーヒーはすぐに拭き取ってください。

もちろん、コーヒーが入っているものはすべてNG。「ミルクで薄めてあるカフェオレならOK?」と考えるのもいけません。カフェオレはミルクを加えてもおいしく感じられるよう、通常のコーヒーより濃く抽出してある場合があり、ミルクが半分だったとしても含まれるカフェインの量が多いことに変わりはないからです。

猫がコーヒーを摂取したときに見られる症状|興奮、嘔吐、下痢、けいれん、呼吸不全など

ケージの中のハンモックに仰向き加減に横になり、くりくりした目で斜め上をじっと見ている白×茶のMIX
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫がコーヒーを飲んでしまい、カフェイン中毒になった場合は、以下のような症状が現れます。

中毒を疑う症状として認められるもの

〈初期症状〉

  • 興奮して落ち着きがなくなる

  • よだれが多くなる

  • 呼吸が速くなる


こうした期症状が見られた場合は、初期だからと軽く考えず、ただちに動物病院を受診することをおすすめします。

〈中期症状〉

  • 嘔吐

  • 下痢

  • 失禁などの粗相をする


初期症状を過ぎると、嘔吐や下痢など中毒症状が見られるようになり、ぐったりとしてきます。
ただちに動物病院を受診し、獣医師の指示に従ってください。

〈重篤症状〉

  • けいれんする

  • 筋肉が硬直する

  • 呼吸不全を起こす


これらの症状が見られるとたいへん危険です。猫のカフェイン中毒は重篤な場合、1分1秒が命に関わる可能性があり、最悪の場合、死に至ることもあります。すぐに動物病院を受診し、獣医師の指示に従ってください。

症状が出るまでの時間

猫の個体差によりますが、多くの場合はコーヒーを誤飲してから1〜2時間後に中毒症状が現れるといわれています。

ただし、先述した危険な量の目安はあくまでも一つの目安です。少量でも誤飲してしまった(誤飲したことが疑われる)場合には、必ずかかりつけの獣医師に連絡してすぐに対応してください。

猫がコーヒーを飲んだり舐めたりしてしまった場合の対処方法

花のチャームがついた首輪をしている、鼻の頭が黒い白猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
万が一、愛猫がコーヒーやカフェイン成分を含む食べ物を口にしてしまい、先に挙げた症状が見られた場合は、自己流で吐かせようとするなどの処置はせず、速やかに動物病院で診察を受けてください。

症状が見られたら速やかに病院へ

病院に行く際には、以下の内容をメモしていくと診察や処置がスムーズに進みます。

  • コーヒーやコーヒー関連食品を誤飲・誤食した時間(何時間前か)

  • どんな種類のコーヒーまたはコーヒー関連食品を誤飲・誤食したのか(パッケージなどがあるとベター)

  • 誤飲・誤食したおおよその量


まずは、飼い主さんがパニックにならないことが大切です。万が一のときでも落ち着いて行動できるよう、深夜でも受診できる動物病院を探しておくことをおすすめします。

病院での治療方法

猫のカフェイン中毒の治療法としては、症状を緩和させる対症療法のみとなります。解毒剤などはありません。
胃の中にある有毒成分を吐き出させることで症状がおさまるケースもあります。そのためにも、愛猫がコーヒーを誤飲したのを発見したら、早く診察を受けることが大事です。

なお、胃の中の物を吐き出させる「催吐処置」は、獣医師が行うべき医療行為のひとつです。飼い主さんが無理に吐かせようとするのはとても危険なので、絶対にしないでください。

病院で行うおもな治療は以下のとおりです。

◇催吐処置

胃の中身を吐かせる「催吐処置」を行う場合があります。猫が嘔吐を催しやすい薬剤を使い、体に負担をかけないよう注意しながら行われます。

◇点滴・投薬

 症状を改善するために、点滴や経口での投薬が必要になるケースもあります。

猫がコーヒーを飲んだり舐めたりしてはいけない理由|カフェイン中毒は命に関わる危険あり

車の中で背もたれの上に乗って、後ろの窓の向こうを見ているキジトラ
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫の体に害を及ぼすのは、コーヒーの含まれる「カフェイン」という成分です。
コーヒーには、「カフェイン」や「ポリフェノール」など、人間の健康を増幅させる効果があるといわれている成分が多く含まれています。しかし、人間にとってメリットが多い成分であっても、猫にとってもよいとは限りません。
「カフェイン」が猫にどんな作用を及ぼすものなのか、正しく理解しておきましょう。

カフェイン|中枢神経を刺激し、興奮させる

カフェインは「アルカロイド」という有機化合物の一種。中枢神経を刺激し、覚醒させる作用があるため、眠気を覚ます効果や利用効果があるといわれています。さらに、近年では自律神経の働きを高めたり、集中力を高めることで作業能率を上げたりする効果も注目されています。

一方で、人間でもカフェインを過剰摂取すると、目眩や心拍数の増加、興奮、震え、不眠症、下痢、吐き気など健康上の問題を生じる場合があります。最近、カフェインを多く含むドリンクを過剰に飲んで体調を崩す人が出たことから、厚生労働省もカフェインを多量摂取しないよう、注意を呼びかけているほどです。

ましてや犬は人間より体が小さく、人間にとって少しの量を摂取しても猫にとっては「かなりの量」を摂取してしまうのと同じ状況となってしまいます。わずかな量でもカフェイン中毒になる恐れがあると覚えておきましょう。

コーヒーを使った菓子などもNG 、カフェインレスにも要注意

液体状のコーヒーはもちろんのこと、コーヒー牛乳やコーヒー豆、コーヒーのパウダー、またカフェインを含むキャンディーやクッキー、ケーキなどのお菓子類も、カフェイン中毒の原因となるため猫に与えてはいけません。

また、「カフェインレスコーヒー」も要注意。じつは、カフェインレスコーヒーはカフェインを90%以上除去したもので、「カフェインゼロ」ではないからです。

愛猫にキャットフード以外のものを与えるときは、必ず含まれる成分をチェックし、カフェインが含まれているものは絶対に与えないでください。

危険な量の目安

猫がコーヒーを誤飲した場合の危険量目安は以下のとおりです。
体重1kgあたり100g〜200gが致死量だといわれています。
猫の体重目安危険な量の目安
4~5kg400g~500g

コーヒー以外にもカフェインを含む食材に要注意!

カフェインを含む食材はコーヒーばかりではありません。以下にカフェインを含むおもな飲み物と、100g中に含まれるカフェイン量を紹介します。

  • 紅茶 30mg

  • 玉露 160mg

  • 煎茶 20mg

  • ウーロン茶 20mg

  • コーラ 10mg〜13mg

  • 栄養ドリンク 30mg〜50mg


カフェインの含有量は商品により異なります。いずれも一般家庭に常備している飲み物が多いので管理を徹底しましょう。

猫のコーヒー誤飲を防ぐ方法

紺色のエリザベスカラーをつけている白い猫(頭、耳は茶色)
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
飼い主さんが意図的に愛猫にコーヒーを与えなくても、日常生活の中には猫がコーヒーを誤飲する危険性がたくさんあります。誤飲してしまうケースの例と、コーヒー以外に猫に与えてもよい飲み物を紹介します。

猫がコーヒーを誤飲してしまうケースは?

猫はコーヒーの匂いを好まないといわれていますが、コーヒーをテーブルの上や床にこぼしたときや、コーヒーを抽出した後のコーヒー豆カスをゴミ箱に入れたときなどは、飼い主さんが目を離した隙に誤飲する可能性があるので注意が必要です。

コーヒーの代わりに猫が飲めるものは?

コーヒーの代わりに猫が飲めるドリンクを知っておくと、愛猫と一緒のおやつタイムやカフェタイムが楽しくなるかもしれません。

麦茶

麦茶にはカフェインが含まれていないので、中毒の心配がありません。水を飲みたがらない猫の水分補給にも役立つでしょう。

ただし麦茶にはミネラルが豊富に含まれているので、腎臓病を患っている猫や加齢で腎臓の機能が低下している猫には負担になる場合があります。愛猫の体調や年齢などを考慮して与えるようにしましょう。何らか病気がある場合は、必ずかかりつけの先生に相談することをおすすめします。

100%ジュース

果物を絞った100%ジュースは猫が飲んでも大丈夫です。
猫が食べられるフルーツを使ったジュースなら、ビタミン、カリウム、カルシウムなどフルーツ類の栄養をそのまま摂取させることができます。

ただし、市販の100%フルーツジュースは、糖分を加えているものも多く、飼い主さんが考えている以上に高カロリーです。また、猫の体に有害な原材料が使われている可能性もあるので、飼い主さんがフルーツを絞った手作りジュースを与えるほうが安心です。

カフェイン中毒の原因となるコーヒーは猫に与えてはいけない

人にとってはおいしいコーヒーでも、猫にとっては命を脅かす恐れがある危険なものです。愛猫の健康を守るのは、飼い主さんの責任です。コーヒーに含まれるカフェインが猫に及ぼす害をよく理解し、愛猫がコーヒーやカフェイン成分を含む食品を誤飲・誤食しないよう細心の注意を払いましょう。
猫には与えてはいけない食べ物があります。確認しておきましょう。
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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