猫は基本的に移動が苦手な生き物。やむを得ず猫と出かけるときに心配なのは「猫の体調」と、公共の乗りものを利用する際の「周りへの配慮」ではないでしょうか。準備するものや乗せ方のコツを知れば、猫や周りの人のストレスを減らしてスムーズに移動できますよ。
乗りもの移動に欠かせない持ち物
・キャリーケース
通気性がよく、落としても壊れない頑丈なものが◎。ソフトタイプなら、底面がたるまず安定感のあるものがおすすめです。
・ハーネスとリード
キャリーケースが壊れるなどの非常事態に備えて、キャリーケースの中でもハーネスとリードを装着させておきましょう。
・トイレシート
キャリーケースの中に敷くのはもちろん、粗相や嘔吐したときに交換できるよう数枚持っていきましょう。
・タオルや布
キャリーケースの中に敷いたり、ケースを覆って落ち着かせたりすることができます。ふだん猫が使っているものが◎。
・おもちゃやぬいぐるみ
お気に入りのおもちゃをキャリーケースに入れておくと、猫自身のニオイで落ち着きやすくなります。
・ティッシュとゴミ袋
粗相や嘔吐をしてしまったときの掃除用に。ゴミ袋はニオイ漏れしにくいタイプを用意するといいでしょう。
・水とスポイト
移動中は猫をキャリーケースから出すことが難しいため、スポイトでこまめに水(軟水)を与えて。ただし、無理に与えないように注意。
・カイロ
冬の移動の際はキャリーケース内を適温に保てるよう、カイロをタオルに包んで入れましょう。夏の場合は保冷剤を使って。
・酔い止め薬(必要な場合)
乗り物移動が初めての場合や、酔いやすい猫は、動物病院で酔い止め薬を処方してもらうと安心です。
出先で困らないよう、出かける前からキャリーケースに慣れさせておきましょう。
新幹線の乗せ方
手回り品きっぷを買う
新幹線では、ペットを乗せるときに「普通手回り品きっぷ(280円)」が必要です。駅の窓口や改札口などできっぷを購入するのを忘れずに。キャリーケースの大きさは、長さ70センチ以内、タテ・ヨコ・高さの合計が90センチ程度。重さはトータルで10キロ以内と決まりがあります。(平成30年4月現在)
キャリーケースの置き方
新幹線は、座席や足元のスペースが広く揺れも少ないので、基本的には床に置き足で固定しましょう。猫の様子をときどき確認してくださいね。もし隣に人がいなければ、膝の上に抱えて置いてもいいでしょう。
移動の3つのコツ
①ホームで待つときはタオルをかけておこう
電車や放送などの大きな音がする駅のホームでは、猫が強いストレスを感じることも。ホームで待つときはキャリーケースの上からタオルをかけ、なるべく音と視界を遮って。
②最前列や窓際の席を取って
最前列の座席は足元のスペースが広く、人通りのない窓際は静かに過ごせるのでベストな席なのだそう。乗車口から近いので、移動しやすいのもポイント。
③鳴きやまないときはデッキに移動
もし愛猫が激しく鳴き始めたら、周りに迷惑がかからないようデッキへ移動しましょう。走行中は乗車口付近の広いスペースに立っていれば邪魔になりにくいです。また、猫の頭に直接タオルなどをかけると落ち着くことも。
もし、おやつをあげることで猫が落ち着くのであれば、少量ならあげてもいいでしょう。水分を多く含むものが◎。
電車での移動もほぼ同じ?
基本的には電車で移動する際のポイントも新幹線移動とほぼ同じです。手回り品きっぷの値段やキャリーケースのサイズの上限などは、鉄道会社ごとに違うので事前に確認して。
キャリーケースの置き方は、電車の揺れが伝わらないよう膝の上で抱えるのがベストですが、隣の乗客の邪魔になるようであれば足元に。立つ場合は足で固定しましょう。
事前に、できるだけ移動時間が短いルートや、乗り継ぎの移動距離が短いルートを調べておき、猫への負担がなるべくかからないようスムーズな移動を心掛けましょう。
参考/「ねこのきもち」2016年9月号『前準備&乗せ方のコツをレクチャー 乗りもの移動 これで安心・快適・スムーズ!』(監修:猫写真家 1級愛玩動物飼養管理士 東京キャットクラブ(TCC)会員 石原さくらさん)
イラスト/いたばしともこ
文/Richa