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【獣医師監修】安全なキャットフードを選ぶには?5つの基準とQ&A
たくさんの種類があるキャットフードですが、大切な愛猫には安全なものを与えたいですよね。そんな飼い主さんに安全なキャットフード選びの基準を解説します。Q&Aもありますので参考にしてください。
安全・安心なキャットフードを選ぶためのポイント
1) 添加物はない方がいい?
ペットフードには品質を保つため、酸化防止剤などの添加物が含まれているものが多いです。猫の健康を害する心配のない範囲で使用されていますので、「無添加が絶対よい!」という方以外は神経質になりすぎる必要はないかもしれません。そもそも、体に危険を及ぼすものは添加物として認められていません。
例えば、酸化防止剤のBHAやBHTは人間の指定添加物として安全性が科学的に確認されており、食品に使用することが許可されています。
また、栄養バランスを整えるために添加物を入れる場合もあります。
2) グレインフリー(穀物不使用)または穀物は少量がよい?
もともと完全な肉食動物である猫はでんぷんの消化は犬ほど上手ではありません。しかしながら、アルファ化(熱と水を加え調理すること。例えば米→飯、小麦→パン)した穀類由来のデンプンがフードの40%程度までであれば問題なく消化吸収できることが分かっています。
そんな猫に穀物を与える理由、それは「栄養のバランスを整える」ためです。肉食ばかりだと偏る栄養も穀物などで調節すると猫の体調も良くなることがあります。そもそも、生の穀物を食べると体に負担がかかるのは人間も同じです(お米も炊いて食べますよね)。そして、たんぱく質が多すぎると、高齢期には内臓に負担がかかることがあります。
ただ、フードに使用されている穀物の中で、アレルギー反応が見られる場合は場合はグレインフリーのものを選ぶと良いかも知れません。逆に言えば、アレルギーなどがなければ、グレインフリーのものがとくに体に良いというわけではありません。
3) 十分なたんぱく質がある
キャットフードには、十分なたんぱく質と猫に必要なアミノ酸組成を備えていることが大切。基本的には、総合栄養食を与えることでクリアできるでしょう。
4) 成分のバランスが取れている
上記で挙げたポイントをおさえつつ、成分に偏りのないものが好ましいフードです。フードそのものの栄養バランスにも注目しましょう。栄養バランスが取れているかの指針は、「総合栄養食」という記載があるかどうか。総合栄養食であれば、そのフードだけでも猫の栄養バランスはおおむね良好に保たれます。
5) メーカーでの品質管理が徹底されている
栄養バランスがよく、成分についても問題ないフードが見つかったら、最後にメーカーの品質管理が行き届いているかを確認しましょう。原材料の仕入先が安全、製造工程が明解など、メーカーでのフードに対する取り組みを調べておくのもいいでしょう。製造時期や品番ごとにどこへ出荷されたか、製造後の製品テストをメーカーサイドがきちんと行っているかも、信頼できるメーカーを見極めるためのチェックポイントとなります。ペットフード安全法では製造・輸入を行う事業社に帳簿をつけることを義務づけていますのでトレーサビリティー(流通経路の追跡可能性)は全てのメーカーが行っているというのが前提になっています。そのため、理論上は国内では安全でないペットフードは販売されていないことになります。
ここまでは、安全なフード選びに必要なチェックポイントを解説してきました。猫の体質や習慣といった点に着目すると、フード選びの目も自然と養われていきます。大切な愛猫が毎日口にするものですから、安心して与えられるフードを選びましょう。
こんな場合どうする?キャットフード選びQ&A
Q : 複数飼いで年齢幅がある場合はどんなフードを選んだらいい?
A:理想を言えば、フードを与える場所や時間などを分けて、それぞれのライフステージに合ったフードを与えることがおすすめです。食事の時には猫をケージなどに入れて、それぞれに合ったフードを与える方法があります。とは言え、それぞれに合ったフードを複数用意して、別々に与えるのは簡単ではありません。別々に与えるのが難しいときにはどうすればいいのでしょうか。
例えば、成猫とシニア猫が同居している場合には、すべてのフードをシニア猫用にすることが一つの方法です。シニア猫用のフードであっても、「総合栄養食」であれば成猫が栄養不足になることはありません。シニア猫用のフードは腎臓への負担を考えて、リンの含有量を調整したものがありますが、「総合栄養食」なら成猫の基準を満たしています。
子猫と成猫が同居している場合なら、積極的におすすめはしませんが、すべてのフードを子猫用にすることが一つの方法です。ただし、子猫用のフードは一般的にカロリーや栄養価が高いため、成猫に与える場合は太らせないよう、十分に注する必要があります。
子猫とシニア猫が一緒にいる場合は、難しいかもしれませんが、できる限り食事を分けて与えることをおすすめします。
Q : 尿路結石症にも対応した安全なフードはある?
A:尿路結⽯症と診断された場合は、尿路結石症の⾷事療法に対応した療法⾷などが販売されています。尿路結⽯の原材料となる物質が制限されていたり、栄養素を調整することで尿路結⽯が出来づらい尿pHにしたりすることで、尿路結⽯症の治療や予防に役⽴つフードです。
何らかの理由で尿が濃くなりすぎて、通常であれば尿に溶けているはずのミネラルが溶けきれなくなって結晶や結石になってしまったのが尿路結石症です。尿が濃くなりすぎないように、尿量を増やすように工夫されていたり、結石ができにくいpHになるように栄養バランスが調整されていたりします。療法⾷は治療を目的としたフードですから⾃⼰判断せず、必ず獣医師の指導のもと、与えてください。
尿路結石症と診断されたわけではなくても、尿路結石症が心配だという場合は、療法食でなくても下部尿路の健康ケアに特別に配慮されたフードもありますので、ペット専門店などで相談してみると良いでしょう。
上記2つのようなお悩みや、その他にも様々な疑問やお困りごとをお持ちの方は多いと思います。
現在は、様々なケースに対応できるフードが販売されています。多くの世代の猫に与えられるものや、病気の予防に特化したものなど、特徴をよく知って賢く取り入れていきましょう。動物病院やペット専門店にも相談すると良いでしょう。
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