猫は年を取ると、腎臓の機能が低下しやすくなります。「慢性腎臓病」は、一度かかってしまうと長い付き合いになる病気です。特に、食事管理はとても大切になってきます。今回は、猫の腎臓病の主な症状や原因、治療法などについて解説します。
猫の腎臓病って?
「慢性腎臓病」は、特にシニア猫がかかりやすいといわれており、ゆっくりと進行していくことから長い付き合いになる病気です。
慢性腎臓病には、“不治の病”のイメージが強くあり、診断されると落ち込んでしまう飼い主さんもいることでしょう。
腎臓は“ネフロン”という組織の集合体でできています。ネフロンが何らかの理由で壊れてしまうと、腎臓の機能が低下し、血液にたまった老廃物を体外に排出できなくなります。
また、ネフロンは一度壊れてしまうと再生しないため、病気は徐々に進行してしまうのです。
こんな症状が出たら疑って!
水をよく飲む
普段の1.5倍以上の水を飲むようになった場合、慢性腎臓病を疑いましょう。飲水量の変化には気付きにくいかもしれませんが、猫砂の固まりが増えたり大きくなったりすることで気付くケースもあります。
おしっこの回数や量が増え、尿の色が薄くなる
おしっこの回数や量が、普段の2倍以上になったら注意が必要。腎臓の機能が低下すると尿を凝縮することができなくなり、色は薄くなります。
その他の症状も
- 便秘になる
- 食欲が落ちる
- ときどきおう吐する
- 進行すると痩せる
薄い尿をたくさんするので脱水気味になり、便秘になる猫もいるようです。
また、体内の毒素を排出しにくくなるため、おう吐や食欲が落ちるなどの症状が見られることもあります。
腎臓病の原因は?
高齢化
腎臓病の主な原因は年齢によるものです。7才以上の高齢期になると、ほとんどの猫は腎臓の機能が衰え始め、徐々に慢性腎臓病になっていくといえるでしょう。
尿道閉塞
尿道栓子や結石などが原因で尿道が詰まった状態になると、排尿が困難になり腎臓病や尿毒症を引き起こします。
急性腎障害
「急性腎障害」は、尿路の異常や毒物による中毒、交通事故による障害など、さまざまな原因から急激に腎臓の機能が低下していく病気です。
毒素や老廃物が体中を巡るので、早急に処置をしないと命にかかわることも。
症状が回復した後も、後遺症として慢性腎臓病になってしまうおそれが大きいといわれています。
炎症・感染
尿路の炎症や細菌・ウイルス感染がきっかけで腎臓病を引き起こすことも。
脱水
脱水症状により腎臓に流れ込む血液量が減ると、腎臓病の原因になることがあります。
毒物・薬物
毒性のものを口にした中毒症状として、腎臓病に陥ることも。腎毒性のある薬物の投与でも、腎臓病を発症する場合があるそうです。
他の病気がきっかけで
高血圧、糖尿病、腫瘍など、他の病気が原因で腎臓病が引き起こされたり、合併症として発症したりすることがあります。
品種・家族性
慢性腎臓病の治療法は?
最初は、食事療法から始めるのが一般的です。獣医師の指導の下、低タンパク質・低リンの慢性腎臓病管理用の療法食を与えます。
中期に入ると、食事療法を継続しつつ水分の補給も行います。ウエットフードを活用するのもよい方法です。口から水分をとれないようであれば、皮下輸液(点滴)で脱水症状を緩和します。
猫の年齢や病気の進行具合によっては、治療薬を投与するケースもあるようです。
慢性腎臓病は、長い付き合いになる病気ですが、食事療法などを適切に行えば進行を遅らせることもできる病気です。
個体差などもありますので、猫の様子を観察しながら獣医師としっかり連携を取って、上手に付き合っていきましょう。
参考/「ねこのきもち」WEB MAGAZINE『猫の腎臓病とキャットフードについて|症状や対処法、療法食まで』(監修:獣医師 へリックス株式会社代表取締役社長 ペット栄養学会理事 ペットフード協会新資格認定制度実行委員会委員長 徳本一義先生)
文/gyo
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。