猫の耳はとっても敏感で、何気ない動きから猫の感情の変化を読み取ることができます。ここでは、耳の角度ごとに猫がどのような気持ちになっているのかということや、折れ耳や反り耳の猫の場合にはどのように感情を見分けるかについても解説します。
耳は感情を伝える大切なパーツ
猫は周囲の状況の変化にとても敏感な動物で、察知した状況に応じて顔や体のパーツを瞬時に動かします。外猫が、顔や体のパーツの動きによって周囲の猫と意思疎通を図っている一方で、飼い猫はパーツの動きによって飼い主に気持ちを伝えようとするのです。
そんな顔や体のパーツの中でも、耳は特に敏感な部分で、状況や心情に応じて耳元に27個もある筋肉で耳を巧みに動かします。その動きを見分けることで、猫の気持ちを読み取ることができるのです。
耳の角度別!猫の気持ち辞典
猫の耳は、なんと180度も動くほど可動域が広く、その角度や力の入り具合などによってさまざまな変化を見ることができます。具体的な耳の変化ごとの猫の感情をご紹介します。
力まずにまっすぐ耳を立てているとき
何も感じておらず気持ちが穏やかなときや、暇だと感じているときには、力まず耳をまっすぐに立てていることが多いです。
リラックスして眠いときも、耳を動かさずにこの状態であることが多いので、そのときは一緒に遊ぼうとするよりはそっとしてあげる方が良いでしょう。
一方で、暇だと感じている場合は、耳を動かしていないだけではなく、じっと飼い主の様子をうかがっていることがあります。このような場合には、一緒に遊んであげるのもおすすめです。
外側に反らせているとき
猫が怒っているときや、拒絶を示すときには、耳は力が入って外側に反った状態になります。具体的には、ほかの猫に対して攻撃的な気持ちになっていたり、人に近づいてほしくなかったりする場合に、耳を反らせることが多いです。
拒絶の気持ちの強さに応じて、耳が反る角度も大きくなります。これ以上反らないほど反らせているときは、近づかずにそっとしてあげましょう。
耳を伏せているとき
驚いたり、恐怖心を抱いたりしているときは、耳を頭の後ろに付けるようにペタッと伏せることが多いです。
大きな音にびっくりしたり、猫同士の喧嘩が近くで起こっていたり、また、自分より強い敵が近づいてきたりしたときに、警戒心や恐怖心を感じているサインです。
弱気になっているときでもありますので、優しく声をかけて恐怖心を取り除いてあげるのもひとつの手ですが、このような状況のときは周囲に対する警戒心もとても高まっています。急な声かけを逆に怖がってしまったり、猫の体に触れようとすると反動で引っ掻いたり噛んだりすることもありますので、様子を見ながら緩やかに対応する方が良いでしょう。
ピンと立てて、音の方に向けているとき
動くものを見つけたときや、初めて目にするものを見つけたときには、リラックスしているときよりも耳に力を入れて情報収集をしようとします。耳だけではなく、目もじっと凝らしてあらゆる感覚を研ぎ澄まし、何が起きているのか感じ取ろうとするのです。少し緊張しているときも、耳に力を入れて周囲の状況を察知しようとします。
猫の耳介の先端には房毛が生えており、場合によってはこの房毛までピンと立てて集中し、情報を得ようとします。周囲で発生している音や、観察の対象となる動くものに対する興味・関心が強ければ強いほど、房毛までピンと立てるようです。
顔と違う方向に向けているとき
顔と違う方向に耳を向けるのは、周囲の状況を把握したいときです。好奇心や警戒心が強い場合は、耳だけでなく目や顔を向けて状況を把握しようとしますが、少し気になる程度であれば、耳だけを気になる音がする方に向けて確認をします。
少し外に向けているとき
穏やかな気持ちでのんびりしているときには、耳を少しだけ外側に向けることがあります。怒っているときにも耳を外に向けるのですが、のんびりリラックスしているときは、怒っているときほど耳に力が入っておらず、頭も少し下がっており、表情も眠いときのように穏やかです。
折れ耳、反り耳の猫の感情はこう見分ける
猫の種類によって耳が折れ耳や反り耳で、ピンと立てている状態や反らせている状態が分かりにくいことがあります。しかし、折れ耳や反り耳の猫でも、筋肉の構造は同じため、耳の付け根の動きをよく観察すると、立ち耳の猫と同じように感情を読み取ることができます。
猫は五感を最大限に使って周囲の状況を把握しようとしたり、顔や体のあらゆるパーツを使って気持ちを伝えようとしたりするため、耳の変化だけでは気持ちを十分に理解できない場合には、目やヒゲ、しっぽなどの動きもあわせて観察してみると良いでしょう。
猫の五感の中で最も優れているのは聴力
猫の五感の中で、聴覚が最も優れているといわれています。猫は「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」という五感のうち、暗闇では人の5倍ほど見えるという優れた視力や、ヒゲで空気の流れを感じ取って物にぶつからないように行動できるというほど鋭い触覚など、優れた感覚を持っています。その中でも特に聴覚は、人が聞くことができない高音域の音を聞き分けることができ、その音域はなんと人の3倍ほどだそう。
また、猫が情報を最初にキャッチするのは、耳だといわれています。猫の耳は、発達した筋肉により可動域がとても大きいため、単に幅広い音を聞き分けるだけでなく、周囲の状況を把握するうえで大活躍するのですね!
愛猫の耳をよく見て気持ちを理解しよう
猫はよっぽど怒っているときや敵対心をあらわにしているときなど、感情が強いとき以外は、表情からは感情が分かりにくいこともあります。ぜひ、今回ご紹介した耳の動きごとの猫の気持ちを参考に、顔や体のほかのパーツとともに耳の動きをよく観察して、猫の気持ちを理解してあげてくださいね!
参考/「ねこのきもち」2016年3月号『正しい方法で病気を防ごう 耳のお手入れ、してますか?』(監修:モノカどうぶつ病院院長 小林清佳先生)
「ねこのきもち」2016年6月号『顔を見れば気持ちはわかる、猫も。 ねこの「喜怒愛楽」』(監修:哺乳動物学者 川崎市環境影響評価審議会委員 「ねこの博物館」館長 日本動物科学研究所所長 今泉忠明先生)
「ねこのきもち」WEB MAGAZINE『猫の感情は、耳の角度に出るって知ってた?』
監修/ねこのきもち相談室獣医師
文/くら
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。