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人にうつることもある病気、「猫カビ(皮膚糸状菌症)」の治療法は? 獣医師が解説します。

『ねこのきもち』本誌で毎号連載中の「ねこの病気、そこが知りたい!」。実際に愛猫が病気になった飼い主さんが治療中に「知りたかったこと」について、獣医師の重本 仁先生が教えてくれます。

今回は猫カビ(皮膚糸状菌症)についてです。

重本 仁 先生

 獣医師
 王子ペットクリニック院長
 宮崎大学農学部附属動物病院所属

 日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医臨床病理学研究室卒業
 現在 日本獣医生命科学大学獣医外科学教室研究生
 宮崎大学大学院医学獣医学総合研究科(博士課程)
 宮崎大学と共同で先天性門脈体循環シャントの腹腔鏡での術式の研究と開発を行う

●資格:獣医師

●所属:日本小動物内視鏡推進連絡会推進委員/日本獣医再生医療学会理事/日本獣医内視鏡外科研究会東京都獣医師会北支部副支部長 防災/獣医神経病学会日本獣医がん学会日本獣医麻酔外科学会日本小動物歯科研究会/光線温熱療法(PHT)研究会/日本小動物血液透析協会(JSAHA)

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カビ(真菌)が皮膚に付着し、皮膚病を引き起こす病気

猫カビ(皮膚糸状菌症)は、真菌というカビが、猫の毛や皮膚に付着し、増殖することで脱毛などの皮膚病を引き起こします。真菌が付着すると栄養体である菌糸が増殖して被毛や角質に侵入することで感染が成立します。

おもな症状は、脱毛。発症すると、顔周りの毛が円形に抜け、かゆがるような様子を見せることもあります。子猫や猫エイズキャリアの猫など、免疫力が弱い猫や、糖尿病や腎臓病などの基礎疾患があり抵抗力が落ちている猫がかかりやすい傾向に。ほかに長毛猫も発症しやすいよう。また、この病気は人にうつることもあります。人に感染すると腕の内側などに紅斑などができ、強いかゆみを生じます。

猫の治療はシャンプーや外用薬の塗布、抗真菌薬の内服などが行われます。猫が触れた場所に真菌が付着している可能性もあるので、発症と再発防止のために猫が使用したグッズを洗う、処分するなどの対策が必要です。
皮膚糸状菌症が疑われた場合は、真菌に当たると発光する特殊な光を使う検査や、顕微鏡による検査、培養検査などで感染の有無を確認します。
画像/2019年8月号『猫の病気、そこが知りたい!』

猫カビでこんな体験をしました

ペットショップから迎える数日前に、ショップスタッフが左耳の脱毛に気付き、受診の結果、猫カビと判明しました。先住猫がすでにいたので、感染しないように、完治するまでペットショップで治療してもらい迎え入れることにしました。

神奈川県 M・Yさん ノエルくん(オス3才/スコティッシュフォールド)
ノエルを自宅に迎え入れる数日前に、ペットショップのスタッフが左耳付近に脱毛箇所を発見。ペットショップに隣接している動物病院で真菌培養検査をしてもらったところ、猫カビと判明しました。判明後は、先住猫にうつらないようにペットショップ内で療養。その間に様子を見に行くと、脱毛した左耳付近をかゆそうにしていたのを覚えています。その後、完治して迎え入れてからは、先住猫にうつることも、再発することもなく元気に過ごしています。
イラスト/上垣厚子

飼い主さんからの疑問「そこが知りたい」

猫カビと判明してから20日ほどで、左耳の毛がうっすら生えてきたので完治したと診断されたものの、本当に大丈夫か心配で……。
期間や症状の回復など、完治の目安はあるのでしょうか?
また、この20日間、どんな治療をしていたのでしょうか?

毛が生えて再発していないことをしっかり確認できたときが完治の目安。 治療は薬用シャンプーをすることが多いです

完治の目安は脱毛箇所にしっかり毛が生えて、再発していないことです。
今回は大丈夫でしたが、まだうっすらとしか毛が生えていない状態だと、病原体が残っている可能性もあります。おそらく治療はシャンプーがメインだったでしょう。
一般的に、猫カビの治療には抗真菌薬を用いますが、子猫には体への負担が大きく、副作用が出ることも。そのため、薬用シャンプーで治療することが多いです。
イラスト/上垣厚子
先生、ご回答いただきありがとうございました。
実際の飼い主さんの体験談にはヒントがたくさん。いざという時に役立つリアルな情報を引き続きお届けします。
お話を伺った先生/重本 仁先生(王子ペットクリニック院長)
参考/2019年8月号『猫の病気、そこが知りたい!』(監修:王子ペットクリニック院長 重本 仁先生)
文/浪坂一
イラスト/上垣厚子
※この記事で使用している画像は2019年8月号『猫の病気、そこが知りたい!』に掲載されているものです。
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