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【獣医師監修】猫が「膀胱炎」と診断されたら? 腎不全との関係性って?

重本 仁 先生

 獣医師
 王子ペットクリニック院長
 宮崎大学農学部附属動物病院所属

 日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医臨床病理学研究室卒業
 現在 日本獣医生命科学大学獣医外科学教室研究生
 宮崎大学大学院医学獣医学総合研究科(博士課程)
 宮崎大学と共同で先天性門脈体循環シャントの腹腔鏡での術式の研究と開発を行う

●資格:獣医師

●所属:日本小動物内視鏡推進連絡会推進委員/日本獣医再生医療学会理事/日本獣医内視鏡外科研究会東京都獣医師会北支部副支部長 防災/獣医神経病学会日本獣医がん学会日本獣医麻酔外科学会日本小動物歯科研究会/光線温熱療法(PHT)研究会/日本小動物血液透析協会(JSAHA)

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猫がかかりやすい病気のことは、飼い主さんならよく知っておきたいもの。この連載では、毎月ひとつずつ病気を取り上げて解説するほか、実際に体験した飼い主さんの「気になりながら聞けずにいた」疑問に獣医師の重本先生が回答! いざというときに役立つリアルな情報をお届けします。

今回は愛猫が「膀胱炎」にかかったときに、獣医師とどんなコミュニケーションをとればいいのかをご紹介します。

膀胱が炎症を起こし、排尿が困難になる

「膀胱炎」とは、血尿が出たりオシッコが出にくくなってしまったりする病気。猫がとくにかかりやすいとされる、泌尿器疾患のひとつです。

膀胱炎の原因は、おもに3つです。1つめは、結石によるもので、尿中の成分が凝縮して結晶や結石ができ(尿石症)、膀胱が傷付けられて発症します。2つめは細菌性で、免疫力が落ちがちな、高齢猫や闘病中の猫に発症しやすい傾向が。3つめは特発性といい原因の特定は難しいのですが、ストレスが関与していると考えられています。結石や細菌が原因の場合はそれらを取り除く治療が行われ、特発性の場合はストレスの原因を突き止め取り除くことで、症状の緩和を目指します。

膀胱炎は、再発したり、ほかの泌尿器系の病気を引き起こしやすい病気でもあります。いずれの対策も、食事やトイレ環境を整えるなど、日頃の飼い主さんの目配りが一番のカギとなる病気です。
画像/ねこのきもち2020年1月号『猫の病気、そこが知りたい!』
結石による膀胱炎を発症した猫のエコー写真。膀胱(左上の真っ黒な部分)に結石(白い部分)ができています。

膀胱炎でこんな体験をしました

トイレ砂に血が付いているのを発見。排泄しにくそうにしていたので受診すると、結石と細菌による膀胱炎と診断されました。抗生物質を注射してもらってよくなったと思っていたのですが、1カ月後、ぐったりとしていたので慌てて夜間救急で受診。急性腎不全と診断され、翌日に亡くなりました……。

北海道 Y・Wさん うにちゃん(メス・享年3才)
血尿を見るまで愛猫の意見に気付けず、さらに注射ですっかり元気になったと思っていました。ですから急に口臭や口からの出血、体温の低下が見られ、急性腎不全と診断されたときはとても驚きました。もっとしっかり観察していればと思うと、とても悔やまれます。もう二度と愛猫につらい思いをさせないよう、今飼っている猫たちについては、少しの異変でも気付けるよう、より慎重に見守っています。
画像/ねこのきもち2020年1月号『猫の病気、そこが知りたい!』
おとなしい性格だったという、うにちゃん。血尿を見つけるまで、代わった様子は見られなかったそう。

飼い主さんからの疑問「そこが知りたい」

注射で元気にあったように見えたので安心してしまいましたが、確認のため、再度受診したほうがよかったのでしょうか?
また、急性腎不全で亡くなったことと膀胱炎は関係あるのでしょうか?

再検査で感知を確認できれば、腎不全を回避できた可能性も…

細菌性膀胱炎の治療は、原因である細菌がきちんとなくなっているか、尿検査などで経過を見ながら治していく病気です。猫の様子に異変が見られなくなったら完治、というわけではないので、もう一度受診するべきだったのかもしれません。

また、膀胱炎の一因が細菌ということですので、もしまだ完全には治っておらず細菌が残っていたのだとすれば、腎臓にまでその細菌が到達した結果、急性腎不全を発症してしまったなどの可能性も否定できないでしょう。
画像/ねこのきもち2020年1月号『猫の病気、そこが知りたい!』
尿検査で歯顕微鏡で細菌や決勝などの有無を見るほか、専用キットで尿のpHなどを測定します。
先生、ご回答いただきありがとうございました。ご紹介した飼い主さんのエピソードは、あなたの愛猫に起こる可能性もあります。いざというときに思い出し、役立ててくださいね。
お話を伺った先生/重本 仁先生(王子ペットクリニック院長)
参考/2020年1月号『猫の病気、そこが知りたい!』
文/Monika
イラスト/上垣厚子
※この記事で使用している画像は2020年1月号『猫の病気、そこが知りたい!』に掲載されているものです。
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