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【獣医師監修】猫にお茶を与えるときは注意が必要。与えるメリットとデメリットを解説

お茶には猫の健康に役立つ成分が含まれている一方、カフェインやシュウ酸といった猫の体によくない成分も含まれています。ごく少量であれば大きな問題はないものの、積極的に与えるべき飲物ではありません。各種のお茶に含まれる栄養成分と、猫がお茶を飲むメリットとデメリットを解説します。

佐野 忠士 先生

猫にお茶を与えるときはカフェインとシュウ酸に要注意

アイス緑茶。日本の緑茶。
KPS/gettyimages
お茶には、カテキン、カフェイン、L-テアニンなどの成分が含まれていて、そのうちカテキンやL-テアニンなど一部の成分は猫の体に役立つと考えられます。一方で、カフェインやシュウ酸など猫が摂取すると健康を害する成分も含まれています。

お茶には、緑茶や紅茶、ウーロン茶、麦茶などさまざまな種類があり、同じ種類のお茶であっても製品によって含まれる成分の含有量は異なりますが、それらのなかから猫にデメリットが少ないお茶を選ぶのはなかなか難しそうです。

猫の体によい作用を及ぼすカテキンやL-テアニンといった成分は、お茶だけに含まれているものではなく、お茶以外のほかの食品で代用できるので、お茶は猫に積極的に与えなくてもよい飲物といえます。

お茶のおもな栄養素|茶葉を粉末にした抹茶にはタンパク質や食物繊維が豊富

お茶に含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分
※玉露(抽出液100gの場合)
エネルギー5kal
水分97.8g
タンパク質1.3g
脂質0g
炭水化物0g
灰分(無機質)0.5g

※抹茶(粉末)
エネルギー237kal
水分5g
タンパク質29.6g
脂質5.3g
炭水化物39.5g
灰分(無機質)7.4g

※紅茶(抽出液100gの場合)
エネルギー1kal
水分99.7g
タンパク質0.1g
脂質0g
炭水化物0.1g
灰分(無機質)0g

※ウーロン茶(抽出液100gの場合)
エネルギー0kal
水分99.8g
タンパク質0g
脂質0g
炭水化物0.1g
灰分(無機質)0.1g

※麦茶(抽出液100gの場合)
エネルギー1kal
水分99.7g
タンパク質0g
脂質0g
炭水化物0.3g
灰分(無機質)0g

文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照

猫がお茶を飲むメリット|病気予防と老化防止。体脂肪減少効果やリラックス効果にも期待

首を傾けて左斜め上をじっと見つめる目がまん丸のスコティッシュフォールド
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫の体にプラスになるお茶の作用とは何でしょうか?お茶に含まれる栄養成分のうち、猫の健康に役立つ成分を紹介します。

カテキン|抗酸化作用、抗ウイルス作用、殺菌作用、抗アレルギー作用など

お茶に含まれる成分のなかでも、健康効果が期待できるものとして注目されているのがポリフェノールの一種である「カテキン」です。脂肪の消費促進とコレステロールの吸収抑制作用があるとして、人間では「トクホ(特定保健用食品)」として認められています。そのほかにも抗酸化作用ほかさまざまな健康効果が期待できるといわれていて、猫に関しても同じような作用が役立つのではと考えられています。

ちなみに、お茶に含まれるカテキンの量は、品種や栽培条件、茶葉を摘み取った時期によって異なります。もっともカテキンの含有量が高いのはせん茶で、続いて番茶、玉露、紅茶、ほうじ茶、ウーロン茶となっています。

L-テアニン|神経の緊張を解きほぐし、リラックスさせる効果に期待

L-テアニンは、お茶に含まれる旨味成分のアミノ酸です。L-テアニンには、ストレスを和らげ、リラックスさせる効果があることが、人間への実験で明らかになっています。「お茶を飲むとホッとする」という感覚が科学的に裏付けられたことは、大変興味深いですね。

残念ながら、今のところ猫でも同じようにリラックス効果が得られるのかどうかはわかっていませんが、獣医師の指導のもとで使用する猫の処方食のなかには、リラックス効果が特発性膀胱炎予防を期待して、L-テアニンが使われているものもあります。

猫がお茶を飲むデメリット|カフェイン中毒、尿路結石、アレルギーにも注意

後ろ足であごの下を毛繕いしている怖い顔の白黒の猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫にとってデメリットになるお茶の成分について、以下に紹介します。

カフェイン|過剰摂取は頻脈や呼吸促迫、痙攣など、カフェイン中毒の原因に

カフェインは「アルカロイド」という有機化合物の一種で、中枢神経を刺激し、覚醒させる作用があります。そのため眠気を覚ますためのガムやドリンクなどに使用されています。さらに、近年では自律神経の働きを高めたり、集中力を高めることで作業能率を上げたりする効果も注目されています。しかしながら、これは人間がカフェインを摂取する際のメリットであり、猫にとっても同様とはいえません。

人間でもカフェインを過剰摂取をすると、目眩や心拍数の増加、興奮、震え、不眠症、下痢、吐き気など健康上の問題を生じる場合があります。厚生労働省もカフェインを多量摂取しないよう注意を呼びかけているほどです。

ましてや猫は人間より体が小さく、少しの量の摂取でも人で「かなりの量」を摂取してしまうのと同じ状況となってしまうことが多いです。また、カフェインに対して強く反応が出てしまうことが多い(≒感受性が高い)ので、わずかな量でもカフェイン中毒になり、頻脈や呼吸促迫、異常興奮、痙攣などの症状を引き起こす恐れがあります。

以下にさまざまなお茶に含まれるカフェイン含有量を紹介します。

  • 抹茶 320mg

  • 玉露 160mg

  • 紅茶 30mg

  • 煎茶 20mg

  • ほうじ茶 20mg

  • ウーロン茶 20mg

  • 玄米茶 10mg

  • 【参考】コーヒー 60mg


※90℃のお湯で浸出(使用する茶葉の量と浸出時間はお茶により異なる)した場合の100mlあたりのカフェイン含有量

出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)第2章(データ)|文部科学省

このように、カフェインの含有量は、同じ種類のお茶でも商品によって異なります。
とくに、抹茶や玉露は、コーヒーよりもカフェイン含有量が多いので、猫には与えないほうがよいでしょう。

ちなみに、猫のカフェイン摂取による致死量は、猫の体重1Kgあたり80~150mgといわれています。つまり、体重4kgの猫なら、320~600ml、5Kgなら400l~750ml。せん茶に含まれるカフェインは、100mlあたり約20mgなので、猫がせん茶を400ml以上飲んだら命が危ない計算になります。

玉露の場合は、さらに含有量が多く100mlあたり約100mlのカフェインを含んでいるので、80ml以上で危険ということになります。実際には、猫が一度に100mlのお茶を飲むことは現実的ではありませんが、カフェインが猫にもたらすデメリットについては、個体差や猫の年齢、体調によって差があるので、一概にどれくらいまでなら大丈夫と示すことはできません。

シュウ酸|過剰摂取はシュウ酸カルシウム結石の原因に

食物アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して過剰反応することによってさまざまな症状を引き起こすものです。あまりイメージがないかもしれませんが、お茶にも少量ながらタンパク質が含まれているので、アレルギーになる可能性がゼロではありません。

ちなみに、タンパク質の含有量は、茶葉100g中、せん茶24.5g、玉露29.1g、紅茶20.3g、ほうじ茶とウーロン茶は微量、玄米茶0g。実際には浸出液を飲むので多量の摂取量とはなりませんが、何らかの食物アレルギーがある猫や、初めて猫にお茶を与える場合、また初めて舐めてしまった場合などは、その後の体調に変化がないかよく観察しましょう。

もし、お茶を舐めたり飲んだりしたあとで、体をかゆがるしぐさや下痢、嘔吐などがあれば、猫が飲んだ(であろう)お茶の量、種類、時間、症状などのメモを持参のうえ、獣医師の診察を受けてください。

お茶を猫に与えるならカフェインとシュウ酸に注意。健康成分はほかの食品やサプリで代用可能

お茶にはカテキンやL-テアニンなど猫の健康に役立つ成分が含まれていると同時に、カフェインやシュウ酸といった猫にとって危険な成分が含まれています。お茶の成分で得られるメリットは、キャットフードやほかの食品、サプリメントでも代用できるので、あえてお茶を積極的に与えるのはやめましょう。
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
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