猫と暮らす
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【獣医師監修】猫にお茶を与えるときは注意が必要。与えるメリットとデメリットを解説
お茶には猫の健康に役立つ成分が含まれている一方、カフェインやシュウ酸といった猫の体によくない成分も含まれています。ごく少量であれば大きな問題はないものの、積極的に与えるべき飲物ではありません。各種のお茶に含まれる栄養成分と、猫がお茶を飲むメリットとデメリットを解説します。
佐野 忠士 先生
酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授
酪農学園大学附属動物医療センター集中治療科診療科長
日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)卒業
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻博士課程修了
北里大学獣医畜産学部および同大学獣医学部勤務
日本大学生物資源科学部獣医学科勤務
●資格:獣医師/博士(獣医学)/世界的獣医心肺蘇生ガイドラインインストラクター(RECOVER インストラクター)/CCRP
●所属:日本獣医麻酔外科学会/日本獣医学会/日本獣医師会/日本動物リハビリテーション学会/動物臨床医学研究所/日本麻酔科学会/日本臨床モニター学会
●主な診療科目:麻酔科/集中治療科
●書籍:『asBOOKS チームで取り組む獣医師動物看護師のためのICU管理超入門』/『as BOOKS チームで取り組む獣医師・動物看護師のための輸液超入門』/『動物看護師のための麻酔超入門・改訂版』 など多数
猫にお茶を与えるときはカフェインとシュウ酸に要注意
お茶には、緑茶や紅茶、ウーロン茶、麦茶などさまざまな種類があり、同じ種類のお茶であっても製品によって含まれる成分の含有量は異なりますが、それらのなかから猫にデメリットが少ないお茶を選ぶのはなかなか難しそうです。
猫の体によい作用を及ぼすカテキンやL-テアニンといった成分は、お茶だけに含まれているものではなく、お茶以外のほかの食品で代用できるので、お茶は猫に積極的に与えなくてもよい飲物といえます。
お茶のおもな栄養素|茶葉を粉末にした抹茶にはタンパク質や食物繊維が豊富
※玉露(抽出液100gの場合)
エネルギー | 5kal |
---|---|
水分 | 97.8g |
タンパク質 | 1.3g |
脂質 | 0g |
炭水化物 | 0g |
灰分(無機質) | 0.5g |
※抹茶(粉末)
エネルギー | 237kal |
---|---|
水分 | 5g |
タンパク質 | 29.6g |
脂質 | 5.3g |
炭水化物 | 39.5g |
灰分(無機質) | 7.4g |
※紅茶(抽出液100gの場合)
エネルギー | 1kal |
---|---|
水分 | 99.7g |
タンパク質 | 0.1g |
脂質 | 0g |
炭水化物 | 0.1g |
灰分(無機質) | 0g |
※ウーロン茶(抽出液100gの場合)
エネルギー | 0kal |
---|---|
水分 | 99.8g |
タンパク質 | 0g |
脂質 | 0g |
炭水化物 | 0.1g |
灰分(無機質) | 0.1g |
※麦茶(抽出液100gの場合)
エネルギー | 1kal |
---|---|
水分 | 99.7g |
タンパク質 | 0g |
脂質 | 0g |
炭水化物 | 0.3g |
灰分(無機質) | 0g |
文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照
猫がお茶を飲むメリット|病気予防と老化防止。体脂肪減少効果やリラックス効果にも期待
カテキン|抗酸化作用、抗ウイルス作用、殺菌作用、抗アレルギー作用など
ちなみに、お茶に含まれるカテキンの量は、品種や栽培条件、茶葉を摘み取った時期によって異なります。もっともカテキンの含有量が高いのはせん茶で、続いて番茶、玉露、紅茶、ほうじ茶、ウーロン茶となっています。
L-テアニン|神経の緊張を解きほぐし、リラックスさせる効果に期待
残念ながら、今のところ猫でも同じようにリラックス効果が得られるのかどうかはわかっていませんが、獣医師の指導のもとで使用する猫の処方食のなかには、リラックス効果が特発性膀胱炎予防を期待して、L-テアニンが使われているものもあります。
猫がお茶を飲むデメリット|カフェイン中毒、尿路結石、アレルギーにも注意
カフェイン|過剰摂取は頻脈や呼吸促迫、痙攣など、カフェイン中毒の原因に
人間でもカフェインを過剰摂取をすると、目眩や心拍数の増加、興奮、震え、不眠症、下痢、吐き気など健康上の問題を生じる場合があります。厚生労働省もカフェインを多量摂取しないよう注意を呼びかけているほどです。
ましてや猫は人間より体が小さく、少しの量の摂取でも人で「かなりの量」を摂取してしまうのと同じ状況となってしまうことが多いです。また、カフェインに対して強く反応が出てしまうことが多い(≒感受性が高い)ので、わずかな量でもカフェイン中毒になり、頻脈や呼吸促迫、異常興奮、痙攣などの症状を引き起こす恐れがあります。
以下にさまざまなお茶に含まれるカフェイン含有量を紹介します。
- 抹茶 320mg
- 玉露 160mg
- 紅茶 30mg
- 煎茶 20mg
- ほうじ茶 20mg
- ウーロン茶 20mg
- 玄米茶 10mg
- 【参考】コーヒー 60mg
※90℃のお湯で浸出(使用する茶葉の量と浸出時間はお茶により異なる)した場合の100mlあたりのカフェイン含有量
とくに、抹茶や玉露は、コーヒーよりもカフェイン含有量が多いので、猫には与えないほうがよいでしょう。
ちなみに、猫のカフェイン摂取による致死量は、猫の体重1Kgあたり80~150mgといわれています。つまり、体重4kgの猫なら、320~600ml、5Kgなら400l~750ml。せん茶に含まれるカフェインは、100mlあたり約20mgなので、猫がせん茶を400ml以上飲んだら命が危ない計算になります。
玉露の場合は、さらに含有量が多く100mlあたり約100mlのカフェインを含んでいるので、80ml以上で危険ということになります。実際には、猫が一度に100mlのお茶を飲むことは現実的ではありませんが、カフェインが猫にもたらすデメリットについては、個体差や猫の年齢、体調によって差があるので、一概にどれくらいまでなら大丈夫と示すことはできません。
シュウ酸|過剰摂取はシュウ酸カルシウム結石の原因に
ちなみに、タンパク質の含有量は、茶葉100g中、せん茶24.5g、玉露29.1g、紅茶20.3g、ほうじ茶とウーロン茶は微量、玄米茶0g。実際には浸出液を飲むので多量の摂取量とはなりませんが、何らかの食物アレルギーがある猫や、初めて猫にお茶を与える場合、また初めて舐めてしまった場合などは、その後の体調に変化がないかよく観察しましょう。
もし、お茶を舐めたり飲んだりしたあとで、体をかゆがるしぐさや下痢、嘔吐などがあれば、猫が飲んだ(であろう)お茶の量、種類、時間、症状などのメモを持参のうえ、獣医師の診察を受けてください。
お茶を猫に与えるならカフェインとシュウ酸に注意。健康成分はほかの食品やサプリで代用可能
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
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