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「糖尿病」にかかりやすい猫は? 病気で低血糖を起こしたときの見極め方は?獣医師が解説します

猫がかかりやすい病気のことは、飼い主さんならよく知っておきたいもの。
この記事ではそんな病気の解説のほか、実際に体験した飼い主さんの疑問について、獣医師の重本先生が回答します。

重本 仁 先生

 獣医師
 王子ペットクリニック院長
 宮崎大学農学部附属動物病院所属

 日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医臨床病理学研究室卒業
 現在 日本獣医生命科学大学獣医外科学教室研究生
 宮崎大学大学院医学獣医学総合研究科(博士課程)
 宮崎大学と共同で先天性門脈体循環シャントの腹腔鏡での術式の研究と開発を行う

●資格:獣医師

●所属:日本小動物内視鏡推進連絡会推進委員/日本獣医再生医療学会理事/日本獣医内視鏡外科研究会東京都獣医師会北支部副支部長 防災/獣医神経病学会日本獣医がん学会日本獣医麻酔外科学会日本小動物歯科研究会/光線温熱療法(PHT)研究会/日本小動物血液透析協会(JSAHA)

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今回は「糖尿病」にかかりやすいのはどんな猫か、病気による低血糖を起こしたときの見極め方は? といった疑問を取り上げます。

体内で糖が利用できず、高血糖となり、さまざまな合併症を引き起こす病気

糖尿病とは、体内で糖が利用できず、血糖値が高くなっている状態のこと。尿に糖が出る症状から見つかることもあります。すい臓からインスリン(ホルモン)が完全に出なくなることで高血糖を引き起こすⅠ型タイプと、生活習慣などによってインスリンが充分に作用しなくなるⅡ型タイプがあり、猫は大半がⅡ型です。
インスリンは作用が弱まると、体内でケトン体という物質が増え、ケトアシドーシス(体液のpHの酸性化)となって細胞が壊れることが。その状態が続くと毛細血管が詰まり、腎不全や肝不全などの合併症を起こし、命を落としかねません。
糖尿病の治療は、療法食や経口血糖降下薬、インスリン注射が中心。猫の場合は、甲状腺ホルモンの影響などで高血糖になることがあり、しっかり診断する必要があります。

糖尿病の初期症状

・水をしきりに飲む
・何度もオシッコをする
・食欲が以上に増す
イラスト/みやしたゆみ

飼い主さんからの疑問「そこが知りたい」① 

愛猫は体重9kg超えで太っていました。
やはり猫も肥満だと糖尿病のリスクが高まるのでしょうか?
また、オスに多いと聞きますが本当ですか?
東京都 M・Oさん Gくん(オス・享年18才)
※糖尿病を発症したのは13才当時

猫も肥満だと糖尿病のリスクは高く、オスに多いのも事実です

糖尿病には体型・性別・年齢が関係しています。その中でも肥満は、極めて関連深いと考えられています。肥満になるとインスリンの働きが弱まりやすくなり、細胞に糖が取り込まれにくくなります。また、肥満の猫は食事の量も多いので、食べ過ぎによる糖の摂取量が過剰になるのも一因です。
性別で見ると、性ホルモンが影響しているのか、約7割がオスというデータもあります。
また、年齢では、5才以上の猫がなりやすい傾向にあります。これは加齢とともに、インスリンの分泌量が減るためだと考えられています。

飼い主さんからの疑問「そこが知りたい」②

愛猫にインスリン注射での治療を続けていますが、20才と高齢のため、体調のすぐれない日が多く……。
インスリンの効き過ぎで低血糖を起こしているのか、加齢によるものなのかわかりません。
飼い主でも低血糖を見極める方法はありますか?
北海道 N・Kさん Uくん(オス・20才)
※糖尿病を発症したのは10才当時

家庭用の簡易血糖値測定器で確認できます

本来、糖尿病はインスリン注射を打つことで、血糖値を安定させて治療しますが、効き過ぎてしまうと低血糖を起こす場合が。この状態が続くと命に関わるため、かかりつけ医に連絡して、すみやかに処置してもらう必要があります。
低血糖になるとふらついたりしますが、高齢猫はもともとじっとしている時間が長いため、低血糖で体調が悪いのか、老化なのかを見た目で見極めるのは難しいでしょう。確実に確認するには、血糖値の測定が必要です。以前は動物病院でのみ測定できましたが、近年では家庭で使える簡易血糖値測定器があります。使用の際は、獣医師からレクチャーを受けましょう。
イラスト/みやしたゆみ
家庭用の簡易血糖値測定器には、耳などから微量の血液を採取して測定するもの、専用のセンサーを体に装着して測定するものがあります。
先生、ご回答いただきありがとうございました。
ご紹介した飼い主さんのエピソードは、いつか愛猫に起こることも考えられます。
いざというときには役立ててくださいね。
お話を伺った先生/重本 仁先生(王子ペットクリニック院長)
参考/2020年8月号『ねこに多い病気、そこが知りたい!』
文/SAY
イラスト/みやしたゆみ
※この記事で使用している画像は2020年8月号『ねこに多い病気、そこが知りたい!』に掲載されているものです。
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