春先の発情期で妊娠した猫が子猫をたくさん産み落とすのは、春から梅雨にかけてです。保護猫活動が盛んになったとはいえ、小さな命は増え続け、危険にさらされることも。もし子猫を見つけたらどうすればいいか、動物保護団体の代表を務める山田さんにうかがいました。
猫を飼っていない人も、突然子猫を発見するかもしれません
子猫を見つけることは、誰にでもありうることです。だからこそ、猫の飼育経験の有無にかかわらず、か弱い子猫と出会ったとき、命を守るためにどうすればいいか知っておけるといいでしょう。
早速、子猫を見つけたときのための覚えておきたい手順をご紹介します。
① 動物病院へ行き、身体検査を受けます
まずは動物病院で猫の全身の状態を確認してもらいましょう。猫の健康状態によっては入院が必要な場合があるので、できるだけ早く受診することをおすすめします。
なかでも以下のような子猫を発見したら、できるだけ早く動物病院へ連れて行きましょう。
へその緒が付いている
へその緒が付いている猫は生後5日以内と考えられ、2時間おきの授乳が必要な状態。また、無理やり取ると細菌感染を起こす恐れがあるので、動物病院で処置してもらいましょう。
ケガをしている
子猫は免疫力が低いので、ケガによっては処置が遅れると障害が残ってしまうことも。できるだけ猫の体勢や状態を変えないように保護し、早急に動物病院へ連れて行きましょう。
体温が低下している
自分で体温調節ができない子猫は、放っておくと急速に体温が低下してしまいます。健康な子猫の体温は38℃くらいなので自分のおでこよりもかなり冷たい場合は危険。カイロや湯たんぽをタオルで包み、体を温めながら受診を。
② 週齢や月齢にあわせたお世話をします
生後約4週までは数時間おきの哺乳や排泄のお世話が必要です。夜中も起きてお世話をする必要があるため、どうしてもお世話が難しい場合は、地域の預かりボランティアさんや獣医師に相談しましょう。約4週間後、離乳期を迎えたら、離乳食や猫トイレが必要に。必要に応じてお世話グッズを用意しましょう。
たとえば、体温調節も大事なお世話の一つ。子猫は、動き回るようになる生後約1カ月までは、自分で体温調節ができません。体温を38℃くらいに維持できるよう、タオルで包んだカイロや湯たんぽを猫の寝床に置いて。
③ 迎え入れられるか検討しましょう
迎えられるなら…お世話グッズを用意します
すぐに必要なフードやトイレ砂は、最近ではコンビニエンスストアなどでも入手できます。また、ケージやトイレ容器、飲食用のボウル類も徐々に準備していきましょう。さらに通院用にキャリーバッグがあると安心です。
迎え入れがどうしても難しいなら…新しい飼い主さんを探しましょう
猫を保護したものの飼うことが難しい場合も。その場合は信頼できる新しい飼い主を探して。譲渡先の家族全員が飼養に同意していることや、飼育環境が整っていること、最期まで責任をもって飼う意思があることなど、直接話を聞いてから譲渡しましょう。
時期的に子猫を発見することが多くはありますが、成猫を見つけないとも限りません。ただし成猫の場合、放し飼いされいている猫だったり、地域でお世話されている「地域猫」の可能性もあるので、保護は慎重に。一時的に保護しなければいけない場合も、警察や保健所に連絡をしてもいいでしょう。
参考/「ねこのきもち」2019年4月号『もしも子猫を保護したら…』(監修 一般社団法人アニマルハートレスキュー代表理事 山田りつこさん)
文/Monika
画像/iStock、Getty Images Plus
イラスト/竹脇麻衣
※この記事で使用しているイラストはねこのきもち2019年4月号『もしも子猫を保護したら…』に掲載されているものです。