猫と暮らす
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猫は自分の毛が暑くないの? 暑さと被毛の関係について獣医師に聞いた!
そこで今回は、ねこのきもち獣医師相談室の先生に、暑さと猫の被毛の関係についてお話をうかがいました。
猫は被毛に覆われているけど暑くないの?
ねこのきもち獣医師相談室の獣医師(以下、獣医師):
「まったく暑くないわけではありません。しかし、多くの動物の被毛には、その種類によって細かな構造や機能は異なるものの、皮膚を紫外線から守ったり、毛と毛のすき間に空気の層を保って断熱効果をもたらしたりする機能などが備わっています。
猫も例外ではなく、全身を覆う被毛によって外気温との間に被毛の厚さ分の空気の層を保ち、暑さや寒さなどの影響から、被毛の下の体を守る壁のような役割を果たしているのです。
ただし、あまりに極端に暑かったり寒かったりする環境では、この空気による断熱効果にも限界が。被毛では遮れないほどの暑さを感じた猫は、それ以上暑さが体に影響しないように、自ら体を守る行動をするでしょう」
猫が暑さから体を守るためにとる行動とは?
獣医師:
「例えば、体に熱が伝わる前にできるだけ涼しい環境に移動したり、体の熱を放出しやすい部分(おなかなど)を冷たい場所に当てて体を直接冷やしたりするでしょう。
また、グルーミングで体をなめる際に唾液を被毛に塗り、その気化熱を利用して体の表面の温度を下げるなど、体に熱がこもらないような工夫もします」
猫が「ハアハア」と口を開けている場合は要注意!
「ほかにも、猫は口を開けてハアハアと呼吸する『パンティング』という方法で、体の熱を外に逃がそうとすることがあります。
しかし、猫は犬に比べてパンティングをしにくい傾向があるため、猫が暑さの影響でパンティングをしているときは、すでに体温が上がってしまって自分では下げられず、体の状態が辛くなっている可能性が。この場合、すぐに涼しい環境に移動させ、水分を取らせて安静にさせるなど、猫が体温調節しやすくなるような配慮が必要です。
なお、パンティングの症状が治まらない際には、熱中症になっているおそれがありますので、かかりつけ医に速やかに連絡をとり、指示を仰ぐようにしてください」
暑さの感じ方は猫種によって違いがあるの?
獣医師:
「暑さの感じ方は、被毛の長さや毛量などの密度によって影響を受けます。
長毛種や、短毛種であっても密度が高く毛量が多い猫種は、被毛の間の空気で外気の暑さを遮る効果よりも、外気の寒さを遮ったり、寒い環境で体温を保ったりする効果のほうが高い傾向に。
そのため、長毛種や被毛の密度が高い猫種は、暑い環境だと体の熱を逃がしにくく、体調を崩しやすいおそれがあります」
暑さ対策のためにしておきたい「被毛のケア」とは?
獣医師:
「被毛の長さに関わらず、まずは毎日こまめにブラッシングをして不要な抜け毛を取り除き、被毛の間の通気をよくしてあげるようにしましょう。ブラッシングは皮膚の血行を促し、被毛の健康を維持するためにも効果的です。
なお、ブラッシングの際には、ピンブラシやコームなど、毛の根元までしっかりとかしてあげられるものに加え、被毛の長さや質に応じてブラシを使い分けるのがポイントです。
例えばアンダーコートを取り除く専用のブラシや、毛玉をほぐしやすいスリッカーブラシ、また、短毛種であれば、毛の間の抜け毛を集めやすいラバーブラシなどを併用すると、お手入れがしやすくなります」
犬みたいにサマーカットはするべき?
獣医師:
「猫にとっては、被毛も皮膚を守るための大切な部位なので、暑さ対策として極端に被毛を短く刈ってしまうのはおすすめしません。サマーカットを考える前に、まずはエアコンで室温を調節するなど、生活環境の工夫から始めるとよいでしょう。
ちなみに、長毛種や被毛の密度が高い猫種などで、暑さの対策のために被毛をカットする際には、毛をすいて毛量を少し減らして通気をよくする工夫をしたり、おなかの部分の毛を少し短くして体の熱を逃がしやすくしたりする方法があります。
愛猫に適したサマーカットを見つけたい場合は、まずトリミングサロンや動物病院で相談をするとよいでしょう」
――ありがとうございました!
取材・文/kagio
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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