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【獣医師監修】猫にマグロを与えるときは注意が必要。与えるメリットとデメリットを解説

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猫にマグロを無条件に与えてはいけません。マグロには猫にとって有効な栄養素が含まれていますが、生の刺身には食中毒や水銀中毒などを起こすリスクがあります。また猫によってはアレルギー反応が生じることもあるため、初めての場合は少量を与えて様子を見るなどの対策が必要です。

この記事の監修

佐野 忠士 先生

猫にマグロを与えるときは中毒症状やアレルギー反応に要注意

白い背景にまぐろの刺身
popovaphoto/gettyimages

「猫は魚が好き」というイメージがありますが、マグロを食べても問題ないのでしょうか?

結論からいうと、少量であれば与えても構いませんが、猫に与える際には気をつけるべきポイントがいくつかあります。

マグロにはタンパク質やタウリン、DHA、EPAといった猫にとってプラスの成分が豊富に含まれていて、摂取することでよい効果が得られますが、その一方で、マグロを食べることによるデメリットもあり注意が必要です。

猫が食べてもよいのは、茹でる・蒸すなどの加熱調理をしたマグロで、人間用のツナ缶のような加工品はNGです。ツナ缶には味付け・油漬け・水煮タイプなどがありますが、そのほとんどが猫が食べるには塩分や油分が多く、これらを食べることで猫の健康を害することにつながります。

また、新鮮ではない生のマグロを与えると、食中毒や水銀中毒、ヒスタミン中毒、チアミン欠乏症を起こす可能性があり危険です。ほかにも、過剰摂取により「イエローファット」が生じたり、そもそもマグロにアレルギーを持っていたりと、さまざまなリスクがあります。

このように、マグロには猫の体に支障をきたす可能性があることを覚えておきましょう。

マグロのおもな栄養素|タンパク質が豊富

部屋の隅でL字に伸びるソマリ
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

マグロ(くろまぐろ/天然/赤身/生)に含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分

エネルギー115kal
水分70.4g
タンパク質26.4g
脂質1.4g
炭水化物0.1g
灰分(無機質)0.9g


マグロ(くろまぐろ/天然/脂身(トロ)/生)に含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分
エネルギー308kal
水分51.4g
タンパク質20.1g
脂質27.5g
炭水化物0.1g
灰分(無機質)0.9g


マグロ(くろまぐろ/養殖/赤身/生)に含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分
エネルギー153kal
水分68.8g
タンパク質24.8g
脂質7.6g
炭水化物0.3g
灰分(無機質)1.3g

文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照

猫がマグロを食べるメリット|タンパク質、タウリン、DHA・EPA、ビタミンB6を摂取できる

やさしいお顔のターキッシュバン
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

まずは、猫にとって嬉しいマグロの栄養素とその効果を紹介します。

タンパク質|エネルギー源となり免疫機能や皮膚、被毛の健康維持に役立つ

マグロは、猫の体作りに欠くことのできないタンパク質を多く含む食材です。中トロ・大トロなどの脂身の部分よりも、赤身に多く含まれています。

タンパク質は肉食動物である猫にとってのエネルギー源であり、免疫機能や筋肉、皮膚、被毛などの健康を維持する効果が期待できます。また、タンパク質は約20種類のアミノ酸から成りますが、マグロには猫が摂るべき11種類の必須アミノ酸がすべて含まれているのも特筆すべき点です。

タウリン|心臓や肝臓、眼などの健康の維持に必要

アミノ酸の一種であるタウリンは、猫の体内で合成できない栄養素です。タウリンには、心臓や肝臓、眼などの健康を維持する働きがありますが、不足すると心臓や網膜の病気につながることがあります。猫にとってタウリンは、食事から積極的に摂るべき栄養素のひとつなので、たまにタウリンを含むマグロを与えるのは有効です

DHA・EPA|抗炎症作用や心機能・腎機能を健康に保つ

青魚に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)およびEPA(エイコサペンタエン酸)は、オメガ3系の必須脂肪酸です。必須脂肪酸は食事から摂取する必要のある栄養素で、抗炎症作用や心機能・腎機能を健康的に保つなど、さまざまな効果が期待できます。とくに網膜や脳の成長をサポートするDHAは、成長期の猫にとって大切な栄養素であるといわれています。

ビタミンB6|補酵素としてアミノ酸の代謝を促す

マグロには水溶性ビタミンに分類されるビタミンB6も含まれています。ビタミンB6には補酵素としてアミノ酸の代謝を促す働きがあり、欠乏すると血液や皮膚などに影響を及ぼし、貧血や皮膚炎、腎機能障害などが起こる場合があります。ビタミンB6には、体外に排出されやすいという特徴があるため、愛猫には食事から継続的に摂取させることが大事です。

猫がマグロを食べるデメリット|チアミン欠乏症やヒスタミン中毒、イエローファットの危険性あり

舌をしまい忘れたトンキニーズ
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

マグロには猫にとってよい栄養素も含まれていますが、猫がマグロを食べることによるデメリットもあります。飼い主さんは以下のようなことに気をつけてください。

チアミナーゼ|過剰摂取によりチアミン欠乏症を発症する恐れあり

マグロにはチアミナーゼという酵素が含まれているため、与えすぎは禁物です。チアミナーゼには、ビタミンB1(チアミン)を分解する作用があり、過剰摂取によりチアミン欠乏症を発症する恐れがあります。チアミン欠乏症が悪化すると、食欲不振や嘔吐のほか、足が麻痺して歩行困難になったり、神経症状が現れたりすることがあり危険です。

チアミナーゼは、マグロのほかイカやタコなどおもに生の魚介類に多く含まれていますが、熱に弱いという特性を持っています。加熱するとその働きは失われるため、猫にマグロを与えるときは生ではなく、加熱したものを与えるとよいでしょう。

ヒスタミン|ヒスタミン中毒により下痢・嘔吐・蕁麻疹などの中毒性反応が出る危険性も

細菌などが増殖した生のマグロを食べると食中毒になることがありますが、その原因のひとつにヒスタミン中毒(ヒスタミン食中毒)が挙げられます。ヒスタミン中毒は、細菌(ヒスタミン産生菌)の持つヒスチジン脱炭酸酵素が、アミノ酸の一種であるヒスチジンをヒスタミンに変化させることで起こり、下痢や嘔吐、蕁麻疹などのアレルギー様の症状を引き起こします。

一度生成されたヒスタミンは加熱しても分解されません。ヒスチジンはとくに血合いの濃い赤身の部分に多く含まれているので、ヒスタミン中毒のリスクを回避するためにもこの部分は猫に与えないでください。

不飽和脂肪酸|「イエローファット」と呼ばれるしこりに注意

生のマグロには、前述したDHAやEPAなどの不飽和脂肪酸が含まれていますが、与えすぎはよくありません。

猫がマグロを継続的にたくさん食べると、皮下や腹腔内の脂肪が酸化して、しこりのような変性や炎症が起こることがあります。これは、不飽和脂肪酸の摂りすぎによる「イエローファット(黄色脂肪症)」という病気の症状です。本来白色であるはずの脂肪が黄色く変化することから、そう呼ばれています。

しこりの部分に痛みを伴うため、触られるのを嫌がったり、歩行がおかしくなったりすることがあるほか、発熱したり、食欲が落ちることもあります。猫にマグロを与える場合は、量や頻度を極力抑えて、与えすぎないように注意しましょう。

ノルウェージャンフォレストキャットの子猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

水銀

魚介類のなかには水銀の含有量が高い種類があります。水銀は食物連鎖の過程で蓄積されていくものなので、マグロなどの大型の魚ほど、多くの水銀を含んでいる可能性が高まります。

ちなみに厚生労働省のサイトによると、日本人の水銀摂取の80%以上が魚介類由来ですが、平均的な日本人の水銀摂取量は心配するレベルではありません。しかし、妊婦は胎児へリスクを回避するために、クロマグロやメバチマグロ、ミナミマグロなどの摂取量を抑えることが推奨されています。このようなことからも、体の小さな猫には与えすぎないようにすること大切です。

食物アレルギー

マグロに含まれるタンパク質により、稀に食物アレルギーを起こす猫もいます。嘔吐や下痢、皮膚炎などのアレルギー反応が現れることもあるため、とくに初めてマグロを与える場合は、まずは少しだけ与えてみて、しばらく様子を見るようにしてください。

また食物アレルギーを持っていない猫でも、突然アレルギーを発症することがあります。マグロによるアレルギー反応が見られたら、猫がほしがっても与えないようにしましょう。

猫にマグロを与えるときの注意ポイント|生や加工品はNG! 加熱したもの調味したものを

ふんわりやわらかな被毛のバーマン
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

猫に与えてもよいマグロの部位と適量の目安、調理方法を確認しましょう。

与えてよい部位

猫にマグロを与えるなら、良質なタンパク質が多くカロリーが少なめな赤身の部分がおすすめです。

脂身の部分はカロリーが高く、肥満や糖尿病につながる恐れがあるため避けたほうがよいでしょう。また中トロや大トロには猫の健康にも役立つDHAやEPAが多く含まれていますが、脂質が多いので、食べすぎるとイエローファットになる危険性もあります。

なお、血合いの部分にはタウリンが多く含まれていますが、前述のとおりヒスタミン中毒を起こす危険性が高いため、猫には与えないでください。

与えるときの適量

猫にマグロを与える場合は、体重に合わせて以下の量を目安にしてください。ただし、あくまでもカロリー上の算出値なので、主食(総合栄養食)の摂取を阻害しない量にとどめることが大切です。

マグロ(くろまぐろ/天然/赤身/生)



猫の体重目安
1日あたりの接種可能目安
4~5kg21g~24g
(刺身約1+1/3~1+2/3切れ)


マグロ(くろまぐろ/天然/脂身/生)

猫の体重目安
1日あたりの接種可能目安
4~5kg8g~9g(刺身約1切れ)


マグロ(くろまぐろ/養殖/赤身/生)

の猫体重目安
1日あたりの接種可能目安
4~5kg16g~18g
(刺身約2/3~約2切れ)


※数値は、避妊・去勢済みの猫で体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出

調理方法

刺身などの生のマグロにはチアミン欠乏症の発症リスクがありますが、その原因物質であるチアミナーゼは、加熱することで不活性化します。そのため、マグロは生の状態では与えず、必ず茹でる、蒸すなどの加熱調理をしてから与えましょう。その際、調味料などで味付けしてはいけません。

また、愛猫にツナやまぐろ節のようなマグロ加工品を与えたい場合は、必ず猫用に加工された商品から選んでください。人間用のツナ缶やマグロ節には塩分や油分などが多く含まれているため、猫の体に悪影響を及ぼすことがあり危険です。

猫にマグロを与えるときは少量を加熱して!

マグロには猫の健康をサポートする良質なタンパク質が含まれていますが、与える量や部位によっては、チアミン欠乏症やヒスタミン中毒、イエローファットなどの病気につながる場合があります。マグロを猫に与えるなら、カロリーが低めの赤身の部分を選び、少量を加熱してから与えるようにしてください。なおマグロの加工品を与える場合は、人間用ではなく猫用に作られたものを選びましょう。

猫には与えてはいけない食べ物があります。確認しておきましょう

監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/倉田千穂
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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