目ヤニが多い、鼻水が出るといった、寒い季節に見られやすい猫の目・鼻・口に現れる症状。そんな粘膜の症状・病気について、王子ペットクリニック院長の重本仁先生の解説のもとご紹介します。さらに、すぐに実践できる対策も一緒にお届けします。
粘膜に症状が現れる病気の原因って?
粘膜に症状が現れる病気の原因の一因として、「寒暖差」と「乾燥」があります。人と同じように、猫は5度以上の気温の変化があると自律神経の働きが低下し、免疫力が落ちます。また、空気が乾燥していると、粘膜も乾きがちに。それらが原因となり粘膜のバリア機能が落ちるので、粘膜に症状が現れる病気が増えるのです。
乾燥シーズンに気を付けたい「感染症」
鼻やのどの粘膜から、ウイルスや細菌が侵入することで引き起こされる感染症。粘膜に症状が現れる感染症には、どんなものがあるのでしょうか?
目の粘膜に現れる「結膜炎」
ウイルスや細菌に感染し、白目やまぶたの裏の「結膜」と呼ばれる粘膜が炎症を起こした状態が結膜炎です。頻繁に目ヤニや涙が出て、目が開かなくなることもあります。
鼻の粘膜に現れる「鼻炎」
鼻の粘膜が炎症を起こしてしまう鼻炎は、病原体を流し出そうと鼻水が出て、さらに症状が悪化すると膿のようなドロッとした鼻水になります。ウイルスに感染するほか、アレルギーが原因になることもあります。
口の粘膜に現れる「口内炎」
口の中が腫れて強い痛みを伴う口内炎は、猫カゼを引き起こすウイルスに感染したり、口内の細菌が増殖したりして起こります。口内がただれ、猫が食事を嫌がるように。よだれが出たり、口臭がすることもあります。
乾燥シーズンにかかりやすい「猫カゼ」
目・鼻・口の粘膜に炎症が起き、さまざまな症状が出てくるのが特徴の猫カゼ。人の風邪のように、発熱や鼻水などの症状が出ます。また、結膜炎や口内炎になることも。再発しやすく、重症化すると死に至ることもあります。
免疫力を高めるためにできること
粘膜に症状が現れる病気の対策には、室温・湿度を一定に保ってあげることが大切です。室温は、26~28度。湿度は、50~60%を目安にキープしましょう。また、ストレスを感じることも免疫力が低下する原因に。トイレの清潔さを保ったり、大きな生活の変化を与えないようにしたりして、ストレスを軽減してあげるとよいでしょう。
また、食事と適度な運動も大切。栄養バランスのよい総合栄養食を与え、数分でもいいので毎日遊んであげましょう。楽しく遊んであげることで、ストレス発散にも繋がります。
愛猫の変化をよく観察しながら、楽しく向き合って
ご紹介した粘膜の病気はごく一部。毎日愛猫と向き合う時間をつくって、変化にいち早く気付いてあげることが大切です。不安なことがあれば獣医師に相談をしながら、大切な愛猫と楽しく向き合って過ごしていきましょう。
参考/「ねこのきもち」2017年3月号『猫にも花粉症が!?春はとにかく気を付けたい 粘膜に症状が現れる病気』(監修:重本仁先生)
文/いちのへ
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。