いつ起こるかわからない災害に備えて、日頃から準備をすることはとても大切です。ただし、何を準備するべきかは、飼い主さんと猫の環境や状況によって異なることも。
基本的に備えるべきものから、猫に合わせた“カスタム防災”の方法まで、人と動物の防災を考えるNPO法人アナイス代表の平井潤子さんに教えていただきました。
“そのとき”家にいる愛猫のために……室内の安全対策を見直そう!
キャリーケースとケージをふだんから開放
キャリーケースやケージは常に開放して、猫に自由に使わせるようにしましょう。それらの場所が「安全な場所」と猫が覚えてくれれば、いざというときに反射的に逃げ込んでくれるかもしれません。
飲み水は複数カ所に設置
被災時に、飼い主さんが家で猫と一緒にいるとは限りません。場合によっては「猫が誰もいない家で数日過ごすことになるかもしれない」ということを念頭に置いて、せめて水だけは飲めるよう、どれかがこぼれてもいいようにふだんから水は複数ヵ所に置きましょう。
危険な物は固定&しまう
震災時、家具や猫グッズが倒れて猫にぶつかったり、逃げ道を塞いでしまったりするおそれもあります。食器棚などは転倒防止器具でしっかり固定し、割れると危ないものは出しっぱなしにせず収納する習慣をつけると安心ですね。
最低限準備しておきたい避難アイテムは「代用が利かないもの」&「何にでも使えるもの」
食事用品
最低でも1週間分のフードと水を用意しましょう。持ち運びやすさを考慮して、ウエットフードは缶よりパウチタイプがおすすめ。割れない素材の器も忘れずに。
洗濯ネット&キャリーケース
洗濯ネットは、避難場所で猫に巡回診療を受けさせる際などにも使えます。猫が見えるように目の粗いネットが○。キャリーケースはリュック型やハードタイプなどさまざまな種類があるので、状況を踏まえて選びましょう。
猫との写真
猫と飼い主さんが一緒に写っている写真は、万が一愛猫と離れてしまったときに探す手掛かりになるだけでなく、保護された愛猫を引き取る際に「自分の猫です」と証明することにも役立ちます。
ペン・粘着テープ・カッター・袋
アイテムを補強したり、持ち物に猫や自分の名前を書いたりと、あれば何かと便利なのがこの4点です。避難先で手に入れた段ボールで、いろいろなアイテムの代替品を作れることも。
状況や猫に合わせて、避難アイテムを“カスタム”しよう
複数飼いの場合
複数匹を連れ出す場合は、猫だけでも手一杯になりがち。そのようなときでも、フードだけは極力持ち出しましょう。
避難する際に道路に問題がなければ、猫も荷物もまとめて運べる台車があると便利です。また、リュック型キャリーケースを用意しておけば、両手が自由になるのでより多くの荷物を運ぶことが可能になります。
繊細なコがいる場合
性格や体調に問題を抱えている猫には、負担軽減のアイテムを追加しましょう。
・食欲不振でも食べやすい【ペースト状おやつ】
・保温や防音に使える【タオル】
・検査結果数値表や薬、療法食など【医療アイテム】
などを準備すると安心です。
普段からハードタイプのキャリーケースに慣れさせておき、いざというときにそれごと移動できれば、避難所生活でのストレスも軽減できるでしょう。
アイテムの準備以外にも、マイクロチップを装着・登録しておいたり、ワクチン接種を済ませておいたりと、猫の健康や安全を守るためにできることはいろいろあります。
災害は恐ろしいですが、“備えあれば患いなし”ともいいます。愛猫のために、普段からの備えをいま一度見直してみてはいかがでしょうか。
お話を伺った先生/平井潤子さん(NPO法人アナイス代表 新潟県中越大震災動物救済本部監事 東日本大震災東京都動物救援センター運営管理部門副センター長)
参考/「ねこのきもち」2018年9月号『猫も環境もそれぞれ違うから―― 愛猫を救うのはカスタム防災です』
文/緒方るりこ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。